スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「過去に肺炎で入院したことがあると、もう医療保険には入れないのではないか」と心配される方は少なくありません。すでに完治していても、「告知で断られるかもしれない」という不安から、新たな保障づくりや老後資金の備えに踏み出せないケースも見られます。
結論からお伝えすると、肺炎の既往歴があっても医療保険に加入できる可能性は十分にあります。ただし、完治からどのくらい時間が経過しているか、再発歴の有無、入院の内容や期間、現在の年齢や基礎疾患の有無などによって、加入可否や選べる商品タイプは大きく変わります。
この記事では、肺炎を経験した方がどのような条件で保険に入りやすくなるのか、審査で重視されるポイントと注意点、公的保障でカバーできる範囲、さらに家計や老後資金に無理のない備え方まで、体系的に整理して解説します。将来の医療費リスクに備えたい方は、ぜひ全体像の把握に役立ててください。
肺炎でも保険に入れる可能性はあるのか
「肺炎の既往=保険加入は難しい」というイメージを持たれがちですが、実際の審査では、罹患時の重症度や治療内容、その後の経過などを総合的に評価したうえで可否が判断されます。
まずは、どのような点が審査でチェックされるのかを整理しておくことが重要です。基準を知っておくことで、自分の状況が通常の医療保険に近いのか、緩和型など別タイプを検討すべきかの目安が見えてきます。
以下に、肺炎経験者の審査で特に重視される代表的な基準をまとめました。
一つひとつの項目を自分の経過と照らし合わせることで、おおよその加入可能性をイメージしやすくなります。
肺炎経験者が審査で見られる主なポイント
完治後の経過期間
肺炎が医学的に「治癒」と判断され、その後に再発や追加治療がなく経過しているかどうかは、審査上の大きな判断材料になります。
実務上は、完治から2〜3年程度が経過しており、その間に新たな治療歴がない場合、通常の医療保険での引受が検討されやすいといった目安が用いられることが多いです。
肺炎の種類と重症度
細菌性やウイルス性など、急性の肺炎で短期間の入院・点滴治療で改善したケースは、比較的リスクが低いと評価され、通常の商品に通りやすい傾向があります。
一方で、間質性肺炎など慢性疾患に関連する病型や、長期の酸素療法が必要になるタイプでは、再発・増悪リスクが高いとみなされ、条件付き加入や商品選択の制約が生じやすくなります。
直近の検査・治療状況
退院後の経過観察で、定期的な通院や追加検査が不要になっているか、あるいは検査で異常が指摘されていないかといった点も重視されます。
胸部X線やCT、血液検査の結果が安定しており、炎症所見や影が残っていない場合は、医学的リスクが低いと判断されやすく、審査上もプラスに働きます。
生活習慣による再発リスク
喫煙習慣や睡眠不足、過度な飲酒、体重コントロールの状況などは、呼吸器系の疾患全般に影響する要素として見られることがあります。
禁煙に取り組んでいる、生活習慣を改善しているといった情報は、再発リスクの低減につながる要素として評価されることもあります。
保険会社ごとの審査基準差
同じ「肺炎の既往歴」であっても、どの範囲までをリスクとみなすか、どの時点から通常引受に切り替えるかといった考え方は、保険会社ごとに差があります。
そのため、ある会社では加入不可でも、別の会社では条件付きであれば加入できるといったケースも珍しくありません。複数社の基準を比較する視点が欠かせません。
肺炎の既往歴で加入可否が分かれやすいポイント
肺炎歴がある場合、どの要素が「加入可能」と「加入困難」の分岐点になりやすいのかを知っておくと、自分に合った保険タイプを選びやすくなります。
ここでは、審査で特に影響が大きい項目を整理し、チェックリストの形で確認していきます。
以下の項目を一つずつ見ていくことで、自身の状態がどのゾーンに近いか、おおよそのイメージがつかめます。
加入可否が分かれやすいチェック項目
完治からの経過年数
告知書では「過去2年以内の入院・手術」「過去5年以内の特定疾病」といった聞き方がされることが多く、この期間を外れているかどうかが通常審査の入口になります。
完治後の無治療期間が長いほど、再発リスクは低いと評価されやすくなり、結果として加入しやすい商品が増える傾向にあります。
入院日数・治療内容
数日の入院と点滴、内服治療のみで改善したケースは、比較的軽症の肺炎として扱われることが一般的です。
一方で、ICU管理が必要だった、人工呼吸器やNPPVを用いたといった場合には重症度が高いと判断され、その後の経過が良好でも審査が厳しめになる可能性があります。
再発や通院の有無
退院後に同様の症状で再び受診している、あるいは同じ肺炎を繰り返している場合は、慢性的なリスクとして評価されやすくなります。
反対に、通院や薬の継続が不要な状態で安定している場合は、再発リスクが低いと見なされ、加入可能性が高まります。
基礎疾患の有無
COPD(慢性閉塞性肺疾患)や気管支喘息、糖尿病、心疾患などの基礎疾患を持つ場合、肺炎の重症化や再発リスクが高いと評価されることがあります。
そのため、肺炎単体だけでなく、基礎疾患のコントロール状況や治療歴も含めて、総合的に判断されるのが一般的です。
年齢と現在の健康状態
高齢になるほど既往症を持つ人は増えますが、その実情を踏まえ、60歳以上でも加入しやすいよう設計された保険商品も多くなっています。
一方で、若年層であっても、喫煙習慣や健康診断での異常所見が重なっている場合には、条件付き引受や保険料の割増が検討されるケースがあります。
注意ポイント
肺炎の既往歴を軽く見て告知しなかったり、「大したことがないから」と自己判断で申告を省略してしまうと、告知義務違反に該当する可能性があります。診断名・入院日数・治療内容は、正確に伝えることが契約を守る前提条件です。
肺炎経験者が選びやすい保険タイプ
肺炎の既往歴がある場合でも、「どの程度のリスクと見なされるか」によって選べる保険タイプは変わります。やみくもに商品を探すのではなく、自分の状況に合うゾーンを把握したうえで候補を絞り込むことが大切です。
ここでは、加入難易度に応じて代表的な3タイプの特徴を整理し、家計負担と保障内容のバランスを検討する際の材料にしていきます。
通常の医療保険・生命保険
完治から一定期間が経過し、その後の通院や再発がない場合は、まず通常の医療保険や生命保険での加入を目指すのが基本です。
一般の保険商品は保険料水準が比較的抑えられ、入院・手術・先進医療など幅広い保障を備えやすいため、条件を満たすなら第一候補として検討する価値があります。
引受基準緩和型保険
通常の審査では断られる可能性がある場合でも、告知項目を絞った引受基準緩和型保険であれば、加入できるケースが増えます。
ただし、その分保険料は通常商品より高めに設定されており、加入後1年間は給付額が一部抑えられる「削減期間」が設けられている商品もあるため、条件の確認が欠かせません。
無選択型保険
「健康状態に関する告知が一切不要」という無選択型保険は、過去の病歴にかかわらず加入できることが最大の特徴です。
一方で、保険料は3タイプの中で最も割高になりやすく、また一定期間は保障が制限される待機期間が設定されていることも多いため、最後の受け皿として位置づけるのが現実的です。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常の医療保険 | 保険料を抑えながら幅広い保障を確保できる | 告知内容によっては加入不可となる場合がある |
| 引受基準緩和型 | 持病があっても加入しやすい設計になっている | 保険料が高めで、削減期間が設けられることがある |
| 無選択型 | 告知不要で加入できるためハードルが低い | 保険料負担が大きく、待機期間中は保障に制限がある |
肺炎で使える公的保障制度と自己負担の目安
民間保険を検討する前に、「公的な医療保障でどこまでカバーできるのか」を把握しておくことは、家計にとって非常に重要です。
ここでは、肺炎で入院した場合に活用できる代表的な制度と、自己負担がどの程度になるのかの目安を確認しておきましょう。
高額療養費制度
高額療養費制度は、1カ月あたりの医療費が一定額を超えた場合に、超過分があとから払い戻される仕組みです。
たとえば年収370万〜770万円程度の世帯であれば、自己負担の上限はおおよそ8万円前後となり、それを超える金額は公的医療保険から給付されることになります。
難病医療費助成制度
間質性肺炎など一部の慢性肺疾患は、難病医療費助成制度の対象となり、認定を受ければ所得に応じて自己負担額の上限が引き下げられます。
重症化しやすい病型の場合には、公的助成を前提としたうえで、民間保険でどこまで上乗せするかを考えることが合理的です。
注意ポイント
公的保障は、あくまで「医療行為そのもの」に対する自己負担を軽減する仕組みです。差額ベッド代や入院時の食事代、家族の交通費や付き添いの負担、入院による収入減などはカバーされないため、これらは民間保険や貯蓄で補う必要があります。
家計と老後資金を守るための保険設計の考え方
肺炎の既往歴があるからといって、できるだけ手厚い保障を詰め込めば安心、というわけではありません。重要なのは、「医療費リスクへの備え」と「毎月の保険料負担」そして「老後資金の確保」のバランスをどう取るかという視点です。
ここでは、肺炎経験者が医療保険を検討する際に意識しておきたい、保険設計の基本的な考え方を紹介します。
実際の手出し額を基準に設計する
肺炎での入院では、病型や入院期間によって総医療費が80万〜90万円に達するケースもありますが、高額療養費制度を利用することで自己負担額は一定水準まで抑えられます。
その一方で、差額ベッド代や入院中の雑費、家族の交通費などは自己負担のまま残るため、数万円〜十数万円程度の「実際の手出し」が発生することを前提に、必要な給付額を組み立てると現実的です。
保障は最小限から始める
不安が先行すると、あれもこれもと特約を付けたくなりますが、保険料が膨らみすぎると長期的な継続が難しくなり、結果として家計や老後資金の圧迫につながりかねません。
まずは入院・手術といった優先度の高い保障に絞って加入し、家計の余裕とライフステージの変化を見ながら、必要に応じて特約や別の保険を追加していくステップ設計が、実務的にも続けやすい方法です。
FPに聞く!肺炎の既往歴がある人の保険選びQ&A
肺炎を経験したことがある方からは、「いつから申し込めるのか」「どの程度まで告知が必要なのか」など、具体的な不安や疑問が多く寄せられます。
ここからは、そうした疑問に対してファイナンシャルプランナーがポイントを押さえて回答していきます。
34歳・女性
肺炎が治ってすぐでは、やはり医療保険は通りにくいですか?
スマホdeほけん
はい、完治直後は多くの商品で告知対象期間に含まれますので、通常の医療保険は慎重な判断になりがちです。主治医から「治癒」とされているか、経過観察が不要かといった点を確認したうえで、一定期間の安定を待って申し込むのが現実的です。
34歳・女性
軽い肺炎なら告知しなくていいと聞きました。
スマホdeほけん
告知書で問われている期間内の入院や治療であれば、軽症かどうかにかかわらず申告が必要です。自己判断で「軽いから大丈夫」と告知しないと、あとで給付の際に告知義務違反とみなされるリスクがあるため注意してください。
34歳・女性
緩和型は入りやすい分、損になりやすいのでしょうか?
スマホdeほけん
引受基準緩和型は、加入しやすさと引き換えに保険料が高めに設定されています。そのため、すべてを手厚く補うのではなく、入院・手術など必要性の高い部分に絞って契約し、削減期間の有無や給付条件をしっかり確認したうえで活用することがポイントです。
34歳・女性
公的保障があるなら民間保険は不要ですか?
スマホdeほけん
公的保障で自己負担は軽減されますが、差額ベッド代や食事代、収入減などはカバーされません。家計の貯蓄状況や家族構成を踏まえ、最低限必要な金額を民間保険で上乗せする設計がバランスのよい考え方です。
34歳・女性
長期入院になった場合が不安です。
スマホdeほけん
長期化のリスクに備えるには、医療保険だけでなく、高額療養費制度や傷病手当金、そして生活費を支える貯蓄を組み合わせて考えることが重要です。老後資金と治療費用の口座を分けて管理するなど、目的別に資金を整理しておくと安心感が高まります。
肺炎と保険加入に関するよくある質問
Q1. 肺炎の入院費用はどの程度ですか?
A. 病型や入院日数によって変動しますが、検査や点滴治療を含めると総医療費が80万〜90万円程度になるケースもあります。
高額療養費制度の利用で自己負担は抑えられる一方、差額ベッド代や雑費は別途かかるため、その分をどう準備するかがポイントです。
Q2. 完治後どれくらいで通常保険に入りやすいですか?
A. 一般的な目安としては、2〜3年程度の無治療期間があると通常の医療保険が検討されやすくなります。
ただし、商品によって告知対象期間は異なるため、具体的には各保険会社や募集資料で条件を確認することが大切です。
Q3. 肺炎は告知義務の対象になりますか?
A. 告知書で定められた期間内に入院や治療を受けている場合は、肺炎であっても告知義務の対象です。
告知事項に該当する治療歴を申告しないと、後に給付が支払われないリスクがあるため、医療機関での受診内容は正確に伝えるようにしましょう。
Q4. 緩和型の告知内容はどのようなものですか?
A. 多くの緩和型医療保険では、「直近の入院・手術歴」や「ここ2年以内のがん・心筋梗塞など特定疾病の有無」といった、比較的少ない項目に絞って告知を行う仕組みになっています。
Q5. 肺炎既往歴があると保険料は上がりますか?
A. 通常の医療保険では、肺炎そのものを理由に保険料が上乗せされることは少なく、年齢と保障内容が基本になります。一方、緩和型や無選択型を選ぶ場合は、仕組み上どうしても保険料水準が高くなる点を踏まえて検討する必要があります。
まとめ:肺炎の既往歴があっても備えは作れる
肺炎の既往歴があるからといって、一律に医療保険へ加入できなくなるわけではありません。完治からの経過期間、入院の重症度、基礎疾患や生活習慣などを総合して評価した結果、通常の医療保険に加入できるケースも多く存在します。
仮に通常商品が難しい場合でも、引受基準緩和型や無選択型の保険、公的医療保障を組み合わせれば、必要な範囲の備えを整えることは十分に可能です。大切なのは、正確な告知を前提に、家計と老後資金への影響も踏まえながら、過不足のない保障設計を行うことです。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
肺炎の既往歴がある方の保険選びでは、完治後の経過と再発リスク、基礎疾患の有無が大きな判断材料になります。まずは告知内容に該当する期間と治療歴を整理し、通常型で通る可能性があるかを確認することが基本です。
通常型が難しい場合は緩和型や無選択型も選択肢になりますが、保険料と保障のバランスに注意が必要です。公的保障で補えない自己負担や収入減を見積もり、家計と老後資金に無理のない範囲で備えを作ることをおすすめします。