スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「夫婦で受け取る年金が月15万円だと、本当に生活が成り立つのか」「節約だけで老後資金の不足を補えるのか」と不安を抱える方は少なくありません。
定年退職後は現役時代と比べて収入が一気に減少するため、今の生活水準をどこまで維持できるのか、家計が長期的に続くのかが大きな心配ごとになりますよね。
公的年金は仕組み上、短期間で大きく増やすことが難しいため、現実的な生活設計と不足分の埋め方をあらかじめ考えておくことが欠かせません。
本記事では、年金月15万円の場合のおおよその手取り額や平均的な老後生活費とのギャップ、生活レベルのイメージ、そして現役世代から取り組める備え方について、家計全体の視点から整理します。
年金月15万円で夫婦の暮らしは成立する?まず現実を整理
公的年金だけで暮らしていけるかどうかは、「毎月必要となる生活費」と「年金の受給額」との差をどう埋めるかによって決まります。
まずは平均的な年金額や老後の支出水準と比較しながら、年金月15万円という前提で、どの程度の家計ギャップが生じやすいのかを整理しておきましょう。
ここでは、最初に確認しておきたい論点を5つに絞ってまとめます。
自分たちの家計状況を重ね合わせながら読み進めることで、「どのくらい不足しそうか」という感覚が、より具体的なイメージに近づいていきます。
年金月15万円の現実を決める5つの視点
1. 年金月15万円の手取り目安
年金収入にも税金や社会保険料がかかりますが、高齢期は各種控除が大きく、所得税・住民税がほとんどかからない、あるいは非課税となるケースも少なくありません。
一方で、介護保険料や国民健康保険料などは年金から天引きされるため、支給額が月15万円でも実際に口座へ振り込まれる手取りは、おおむね月13〜14万円程度が目安になります。
2. 平均的な老後生活費との差
公的統計などで示される高齢夫婦世帯の標準的な年金受給額は月23万円台が一つの目安とされており、年金月15万円という水準は、そのおよそ6割程度にとどまる水準です。
また、高齢夫婦世帯の実際の平均支出は25万円前後とされるため、年金月15万円では理論上、毎月の家計が赤字になりやすく、赤字分を貯蓄や別の収入で補う前提の生活設計が必要になります。
3. 成立しやすい家庭の条件
年金月15万円でも生活が成立しやすいのは、住宅ローンや家賃の負担がほとんどない持ち家世帯で、かつ一定の金融資産や退職金を確保しているケースなど、いくつかの条件がそろっている場合です。
老後の生活費は住居費の影響を大きく受けるため、自分たちが「持ち家か賃貸か」「今後も住み続ける前提かどうか」といった住まいの条件を確認することが、家計の土台を考えるうえで非常に重要になります。
4. 不足が出やすい支出項目
毎月の食費や光熱費、最低限の日用品費だけであれば、工夫次第である程度抑えることができても、家電の買い替え費用、子や孫の冠婚葬祭への出席費用、入院時の差額ベッド代や雑費といった不定期支出が重なると、一気に家計のバランスが崩れやすくなります。
年金収入が少ないほど、このような臨時支出をどのようにカバーするかが、家計を安定させるうえでの大きなポイントになります。
5. 長生きリスクと家計の持続性
60代前半でリタイアした場合、公的年金を主な収入源とする生活は20〜30年という長期にわたる可能性があり、短期間の黒字・赤字だけでなく、資産が「何年持つのか」という時間軸での管理が重要になります。
「毎年いくら取り崩せば、何歳まで資金が持つか」を一度試算しておくことで、漠然とした不安を、具体的な老後資金計画へと置き換えやすくなります。
注意ポイント
年金月15万円で日々の生活がギリギリ成り立っていても、医療費や介護費、家の修繕費などの突発的な支出が重なると、短期間で貯蓄が目減りしやすくなります。毎月の節約だけでなく、「臨時支出のための備え」を家計の中に組み込む発想が欠かせません。
生活費の平均と比べてどれくらい厳しい?
年金月15万円で生活できるかどうかを判断するには、感覚ではなく「平均的な支出水準」との差を数字で捉えることが有効です。
もちろん実際の生活費は地域や住まいの形、健康状態によって変わりますが、平均値とのギャップを知るだけでも、「どこを優先的に対策すべきか」が見えやすくなります。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 年金月15万円 | 税負担が比較的軽く抑えられる場合がある | 平均的な支出水準と大きなギャップが生じやすい |
| 高齢夫婦の平均支出 | 実際の生活実感に近い目安として使える | 住居費や地域差により実態とズレることがある |
| ゆとりある老後費 | 旅行や趣味なども含めた理想的な暮らしを描ける | 年金だけで到達するのは難しく、資産や就労収入が前提になりやすい |
平均支出との差は月10万円前後になりやすい
高齢夫婦世帯の平均支出が約25万円と仮定すると、年金月15万円では、理論上、毎月10万円前後の不足が生じる計算になります。
この不足分は、預貯金の取り崩しやパート収入、年金以外の運用収入などで補っていく必要があり、「どの手段をどの程度組み合わせるか」が老後設計の重要な検討ポイントになります。
年金月15万円の夫婦生活レベルをシミュレーション
次に、年金月15万円という前提で、どのような支出配分になりやすいかを、具体的な数字のイメージを交えながら確認していきましょう。
実際の生活費は地域の物価や家族構成、持病の有無などによって大きく異なりますが、ひとつのモデルケースとして参考にしてみてください。
月15万円の標準的な支出配分イメージ
たとえば、家賃4万円、食費4万円、光熱費と通信費で2万円、残りを日用品・交通費・雑費として配分すると、月15万円の枠内で最低限の生活を維持することは可能です。
ただしこの水準では、旅行や趣味、衣服や美容、子や孫への援助といった「ゆとりの支出」に回せる余裕はほとんどなく、医療費や介護費が増えたタイミングで簡単に赤字転落してしまう点が大きな課題となります。
年金月15万円でも安心して暮らすための3つの対策
年金月15万円という前提を変えられないのであれば、「不足を前提」に家計を再設計し、収入と支出の両面から調整していくことで、老後の生活を安定させることは十分に可能です。
負担感の少ない対策から順番に取り入れていくことで、無理なく継続しやすい老後資金プランに近づけていきましょう。
ここでは、年金月15万円の不足を埋めるうえで、基本となる手段を全体像として整理します。
老後資金の課題は、「収入を増やす」「支出を減らす」「資産を計画的に取り崩す」という三つの方向性を組み合わせる発想が重要です。
年金月15万円の不足を埋める5つの手段
1. 固定費を徹底的に下げる
老後の家計では、住居費・保険料・通信費といった固定費の水準が、毎月の収支バランスを大きく左右します。賃貸の場合は、家賃の低い物件への住み替えや公営住宅の活用などで、住居費を抑えられる余地がないか検討してみましょう。
また、車の維持費や複数の保険契約、固定電話など、生活に必須とは言い切れない支出を整理していくことで、年金収入の範囲内でも安定しやすい家計構造に近づけることができます。
2. 医療・介護費の備えを作る
日本には高額療養費制度があり、一定額を超える医療費は払い戻しを受けられる仕組みになっていますが、入院時の食事代や差額ベッド代、日用品、交通費などは自己負担となり、まとまった支出になりがちです。
将来の介護についても、介護保険サービスを利用しても自己負担分は生じるため、家計の中に医療・介護費のための予備資金を数十万円単位で確保しておくと、不測の事態にも対応しやすくなります。
3. 年金以外の収入源を持つ
体力や健康状態と相談しながら、シニア向けのパートや短時間労働、在宅ワークなどで一定の就労収入を確保できると、月数万円の上乗せでも家計の安定度は大きく変わります。
また、65歳以降も働ける見込みがある場合は、老齢年金の受給開始を繰下げて増額を図る選択肢もあり、就労収入で生活費を賄いつつ将来の年金額を引き上げるという設計も検討に値します。
4. 資産形成制度を活用する
現役世代のうちから備える前提にはなりますが、新NISAは運用益が非課税となるため、長期・積立・分散を基本にすれば、老後までの時間を味方にして不足分を補う力強い手段になります。
iDeCoも老後資金専用の積立として有効ですが、受け取り開始年齢などの制約があるため、家計のキャッシュフローと合わせて早めに計画しておくことがポイントです。
5. 貯蓄の取り崩し計画を立てる
年金だけでは足りない分を貯蓄で補う場合、なんとなく取り崩すのではなく、「毎年いくら取り崩すと、何年間生活費を支えられるのか」を試算したうえで、取り崩しペースを設計しておくことが大切です。
取り崩し計画を自分で立てるのが不安な場合は、家計のキャッシュフロー表を作成してくれる専門家に相談し、長期的に無理のない取り崩し方を一緒に検討すると安心感が高まります。
注意ポイント
節約は老後の家計管理において重要ですが、生活の満足度を大きく下げるような我慢ばかりに頼ると、長い老後のどこかで続かなくなってしまいます。満足度の低い支出から優先的に削りつつ、「心のゆとり」を保てるラインを探ることが大切です。
FPに聞く!年金月15万円の暮らしを現実的に整えるコツ
数字だけを見ると厳しさが目立つ一方で、「具体的に何から手をつければよいのか」が分からないまま不安だけが大きくなるケースも少なくありません。
ここでは、34歳女性の視点でよくある疑問を想定し、ファイナンシャルプランナー(FP)が対策の優先順位や考え方のコツを解説します。
34歳・女性
夫婦で年金月15万円だと、本当に生活できないのでしょうか?
スマホdeほけん
家賃負担がほとんどなく、ある程度の貯蓄がある場合は、生活レベルを調整しながら成立させることも可能です。ただし、多くの家庭では平均的な生活費との差が大きいため、年金だけに頼らず、何らかの上乗せ策を組み合わせる前提で考えておく必要があります。
34歳・女性
不足分は節約だけでなんとかできませんか?
スマホdeほけん
節約で削れる支出にはどうしても限界があり、特に医療・介護や住居費など、一定以上下げにくい項目もあります。固定費の見直しは大切ですが、あわせて就労収入や資産運用で不足分を補うなど、複数の手段を組み合わせる考え方が現実的です。
34歳・女性
医療費が増えたときが心配です。
スマホdeほけん
高額療養費制度を活用すれば自己負担額は抑えられますが、入院中の食費や日用品、付き添いの交通費などは別途かかります。また、介護サービス利用時には一定の自己負担も発生しますので、家計の中に医療・介護のための予備資金を確保しておくと安心です。
34歳・女性
貯蓄はどれくらい取り崩していいのか迷います。
スマホdeほけん
まずは年金収入と必要生活費の差額を年間ベースで算出し、その金額を何年間取り崩すと資産がどう減っていくかをシミュレーションすることが重要です。長期のキャッシュフロー表を作ることで、「このペースなら何歳まで持つ」といった見通しが立ちやすくなります。
34歳・女性
老後資金対策はいつから本気で始めるべきですか?
スマホdeほけん
老後資金づくりは、早く始めるほど毎月の負担を抑えながら準備でき、資産運用の時間も長く取れます。現役のうちから新NISAやiDeCoなどを活用しておくと、年金月15万円になったとしても不足幅を小さくできる可能性が高まります。
年金月15万円の夫婦生活に関するQ&A
最後に、年金月15万円を前提にした老後生活について、よくある疑問をQ&A形式で整理します。
不安の焦点を整理し、自分の家計で何を優先すべきかを考えるための手がかりにしてください。
Q1. 年金月15万円の手取りはいくらくらいですか?
A. 所得税や住民税は控除の影響で非課税になるケースも多い一方、介護保険料や健康保険料が天引きされるため、手取りはおおむね月13〜14万円程度になると考えられます。
実際の控除額は地域や加入保険の種類によって異なるため、一度ねんきん定期便や年金事務所で具体的な試算を確認しておくと安心です。
Q2. 夫婦で年金月15万円は平均よりどのくらい低いですか?
A. 標準的なモデル世帯の年金額が月23万円台とされているため、月15万円は平均的な水準の約6割程度にとどまります。
その分、生活費との差が生じやすくなるため、現役時代から老後資金の上乗せや支出圧縮の準備を進めておくことが重要です。
Q3. 持ち家なら年金月15万円でも暮らせますか?
A. 住宅ローンや家賃の負担がない持ち家の場合、住居費が小さい分だけ年金月15万円でも成立しやすくなりますが、固定資産税や修繕費といったコストは引き続き発生します。
屋根や給湯器などの大規模修繕費用をどう準備するか、臨時支出に耐えられる貯蓄があるかどうかも含めて判断することが大切です。
Q4. 老後の不足はどんな方法で補うのが現実的ですか?
A. 現実的なのは、固定費の見直しによる支出の圧縮、可能な範囲での就労収入の確保、新NISAなどを活用した資産形成、そして貯蓄の計画的な取り崩しを組み合わせる方法です。
一つの手段だけに頼るのではなく、家計に無理のない順に複数の手段を組み合わせることで、長期的に続けやすい対策になります。
Q5. 老後資金の相談はどこにすればいいですか?
A. 公的年金の受給見込み、老後の生活費、退職金や金融資産、住宅ローンの残債などをまとめて整理したい場合は、FPへの相談が有効です。
第三者の視点で数字を見える化してもらうことで、自分たちの家計に合った対策が具体的になり、漠然とした不安を行動につなげやすくなります。
まとめ|年金月15万円の不足は「早めの計画」で小さくできる
夫婦で年金月15万円という水準では、手取りが13〜14万円程度にとどまりやすく、高齢夫婦世帯の平均的な生活費と比べると、年金だけで暮らしを完結させるのは厳しいケースが多くなります。一方で、持ち家で住居費が小さい、十分な貯蓄があるといった条件がそろえば、工夫次第で成り立たせることも不可能ではありません。
重要なのは、現状を正しく把握したうえで、固定費の見直し、医療・介護への備え、就労収入や繰下げ受給の検討、新NISAやiDeCoなど資産形成制度の活用、計画的な貯蓄の取り崩しといった手段を早めに組み合わせていくことです。行動を前倒しするほど選択肢は広がり、年金月15万円という前提でも、より安心感のある老後に近づいていくことができます。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
年金月15万円という数字だけを見ると不安が先立ちますが、重要なのは「生活費との差がどのくらいか」を具体的に出すことです。不足額が見えれば、固定費をどれだけ下げるか、就労や資産形成でどこまで補うかの判断が一気に現実的になります。
老後は長期戦です。無理な節約だけに頼らず、家計が続く形で対策を組み合わせることが大切です。必要であれば専門家と一緒にキャッシュフローを作り、納得できる老後資金計画に整えていきましょう。