老齢年金の繰下げを途中でやめたい!可能かどうかと手続き・注意点を解説

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

「繰下げ申請をしたけど、やっぱり今すぐ年金を受け取りたい…」「途中でやめたら税金や手続きはどうなる?」と不安に思う方は少なくありません。

実は、老齢年金の繰下げはまだ一度も年金を受け取っていない状態であれば途中でやめることが可能です。ただし、①現時点の増額率で受け取り開始する方法②過去にさかのぼって一括受取する方法があり、それぞれで税金や社会保険料の負担が大きく異なります。

本記事では、繰下げをやめる2つの方法とその違い、注意点、手続きの流れをファイナンシャルプランナーの視点から解説します。

老齢年金の繰下げを途中でやめられる2つの方法

繰下げをやめたい場合、次の2つの方法から選べます。

方法① 現時点の増額率で受け取り開始

請求時点までの繰下げ月数に応じて、年金額が増額された状態で受給を始められます。例えば67歳で請求した場合、約17%の増額となります。

メリット: 税金や社会保険料の急増を避けやすく、生活設計が安定します。

注意: 支給は請求の翌月分から。すぐに資金が必要な場合は早めの請求準備が必要です。

方法② 最大5年分までさかのぼって一括受取

請求時点から最大5年分までさかのぼり、未受給分をまとめて受け取る方法です。繰下げに応じた増額も含まれます。

メリット: まとまった資金を確保できるため、大きな支出に対応できます。

注意: 一括で多額の収入が発生するため、所得税や住民税、国保や介護保険料の負担が大きくなるリスクがあります。

注意ポイント

現時点での受取か、一括受取かで税負担や社会保険料が大きく変わります。ライフプランや必要資金に合わせて慎重に選択しましょう。

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繰下げをやめるときの手続き方法

途中でやめる場合には「請求手続き」が必要です。次のステップで進めます。

1. 必要書類を準備する

年金請求書、マイナンバー確認書類、年金手帳、住民票や戸籍謄本、年金受取口座の通帳などを準備します。

2. 受取方法を選び書類に記入する

「現時点から受け取る」か「さかのぼって一括受取」かを選択し、年金請求書に記入します。

3. 年金事務所または年金相談センターへ提出する

書類を年金事務所や年金相談センターへ提出します。郵送や電子申請(マイナポータル)も利用可能です。

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繰下げをやめる前に知っておきたい注意点

途中でやめる前に、次の点を理解しておきましょう。

・一度受給を開始すると再度繰下げはできない
・請求翌月から支給開始となる>br>
・一括受取は税金や保険料が増える可能性がある

FPに聞く!老齢年金の繰下げに関するリアルな疑問

途中でやめるかどうかは将来の生活に直結するため、多くの方が不安を抱えています。読者代表(34歳・女性)がFPに質問しました。

34歳・女性

途中でやめた場合、年金額はどのくらい増えるのですか?

スマホdeほけん

65歳以降は1か月ごとに0.7%増額されます。例えば67歳で請求すれば約17%の上乗せになります。

34歳・女性

さかのぼって一括で受け取ると税金はどのくらいかかりますか?

スマホdeほけん

一括受取は所得が急増するため、住民税・国保料・介護保険料が上がる可能性があります。事前に試算しておきましょう。

34歳・女性

基礎年金だけやめて厚生年金は繰下げ続行できますか?

スマホdeほけん

はい、可能です。基礎年金と厚生年金は別制度なので、片方だけ請求することができます。

34歳・女性

途中でやめたあとに「やっぱり続けたい」と思ったら戻せますか?

スマホdeほけん

一度請求してしまうと繰下げは再開できません。やめる前に慎重な検討が必要です。

34歳・女性

迷ったときは誰に相談すべきですか?

スマホdeほけん

年金事務所か、ライフプラン全体を踏まえたシミュレーションができるFPへの相談が安心です。

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Q&A:老齢年金の繰下げを途中でやめるときの疑問

Q&A

Q1. 途中でやめても年金額は増えたままですか?

A. はい。請求時点までの繰下げ月数に応じた増額が確定し、その後は減額されることはありません。

Q2. 繰下げをやめるときの請求はいつから有効?

A. 請求した翌月分から支給が始まります。急ぎで必要な場合は早めに準備しましょう。

Q3. 一括受取を選ぶとどんなリスクがありますか?

A. 所得急増により税金や社会保険料が増える点です。医療費自己負担割合が変わることもあります。

Q4. 途中でやめる割合はどれくらい?

A. 繰下げ請求者自体が少数派で、全体の1〜2%程度にとどまります。

Q5. 繰下げをやめるか続けるか、どちらが得ですか?

A. 寿命やライフプランによって異なります。長生きなら増額年金が有利ですが、資金需要が大きければ一括受取が有効です。

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まとめ

老齢年金の繰下げは、まだ受給していなければ途中でやめることが可能です。方法は「現時点の増額率で受け取り」か「さかのぼって一括受取」。どちらを選ぶかで、税負担やライフプランへの影響が大きく変わります。

判断に迷う場合は、年金事務所やFPへの相談がおすすめです。専門家と一緒にシミュレーションし、後悔のない選択をしましょう。

監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

老齢年金の繰下げは「長生きリスクに備える有効な手段」ですが、途中でやめられる柔軟性もあります。大切なのは、一括受取による税・保険料負担の跳ね上がりと、現時点受給による安定キャッシュフローの違いを理解することです。制度の仕組みを踏まえ、自分や家族のライフプランに合った選択を検討しましょう。迷う場合は年金事務所やFPに相談し、数字でシミュレーションするのが後悔しないコツです。