国民年金基金と新NISAはどっちがいい?老後資金づくりで迷わないための比較ガイド

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

老後資金の準備を考え始めると、「国民年金基金と新NISAのどちらを優先すべきか」「自分にはどっちが合っているのか」と迷う方は少なくありません。どちらも税制優遇があり、コツコツ積み立てるほど将来の安心感は高まります。

ただし、仕組みやリスクの性質はまったく違います。なんとなく始めてしまうと、「思ったより使いづらい」「期待したほど増えない」と感じてしまうことも。この記事では、両制度の特徴と違いを整理し、あなたの家計や価値観に合った選び方をわかりやすく解説します。

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国民年金基金と新NISAの違いをざっくり整理

国民年金基金は、自営業・フリーランスなど「国民年金第1号被保険者」が、公的年金だけでは不足しがちな老後の年金額を上乗せするための制度です。

いわゆる「確定給付型」で、将来の受取額の見通しが立てやすく、掛金が全額所得控除になるのが大きなメリットです。

一方、新NISAは、自分で投資信託や株式などの金融商品を選び、運用益に税金がかからない形で資産形成ができる制度です。

年間投資枠は合計360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円までと大きく、長期の資産づくりに向いています。

どっちがいい?4つの比較ポイントで全体像をつかむ

国民年金基金と新NISAは、一見似ていても「何を重視する制度か」が異なります。

迷ったときは、次の軸で比べてみると整理しやすくなります。

まずはチェックしたいポイントを一覧にしました。

それぞれの項目を読みながら、自分の家計にどちらが合いそうかイメージしてみてください。

1. 節税メリットの違い

国民年金基金の掛金は「全額所得控除」の対象です。

そのため、拠出した年から所得税・住民税が軽くなり、節税効果をすぐに実感しやすいのが特徴です。所得が高い人ほど、税負担の軽減効果は相対的に大きくなります。

新NISAは、掛金そのものではなく「運用益が非課税」になる制度です。

運用で利益が出たときに、本来かかるはずだった約20%の税金がかからないため、長期で運用するほど複利効果とあわせてメリットが効いてきます。

2. 運用方法とリスク

国民年金基金は確定給付型で、加入者自身が投資先を選ぶ必要はありません。原則として運用リスクを直接負わず、「将来いくらぐらい受け取れるか」が事前にイメージしやすい仕組みです。

一方、新NISAは投資信託や株式などで運用するため、相場が好調なら資産を大きく増やせる可能性がありますが、状況によっては元本割れのリスクもあります。

3. 資金の引き出しやすさ

国民年金基金は「老後の年金づくり」が目的のため、原則として老齢給付が始まるまで引き出せません。

加入後に自分の都合で脱退や中途解約はできないので、生活費や緊急資金とは切り離して考える必要があります。

新NISAは、保有している商品を売却すればいつでも現金化できます。売却した元本分の非課税枠は翌年に復活するため、ライフイベントにあわせて柔軟に使えるのが魅力です。

4. 老後資金の安定性

国民年金基金では「終身年金」を選べるため、長生きすればするほど安心材料になります。毎月の受取額が決まっているため、老後の家計の見通しが立てやすくなります。

新NISAは、老後時点の資産残高と相場環境によって、取り崩せる金額が変わります。老後の生活費として使う場合は、「何%ずつ取り崩すか」といった運用ルール作りが重要です。

5. 役割分担と併用の考え方

国民年金基金は、老後の生活費の「土台部分」を作る守りの制度。

新NISAは、資産の「成長」やゆとり資金を狙う攻めの制度と捉えるとイメージしやすくなります。

両方を同時に使うことも可能なので、「どちらか一方しか選べない」と考える必要はありません。目的ごとに役割を分けて併用すると、家計全体のバランスが取りやすくなります。

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節税メリットの違い|すぐ効く基金と、あとから効いてくる新NISA

「税金がどのタイミングで軽くなるか」も、両制度の大きな違いです。

自分の所得水準や、いつ節税効果を感じたいかで向き・不向きが変わります。

国民年金基金は、掛金が全額所得控除の対象です。

その年の課税所得が減るため、拠出した年から所得税・住民税の負担が軽くなります。特に所得が高い人ほど、節税額が大きくなりやすいのがポイントです。

新NISAは、拠出時点の節税はありませんが、運用期間中に得られた配当や売却益に税金がかからない仕組みです。

長期で運用を続けて利益が膨らむほど、「本来ならかかっていた税金」を抑えられ、結果的に老後の資産残高を増やしやすくなります。

運用方法・リスクの違い|「安心の確定給付」か「成長を狙う運用」か

「どれくらい増えるか」より「確実にもらえること」を重視するのか、ある程度のリスクをとって「増やすこと」を狙うのかで、選ぶべき制度は変わってきます。

ご自身や家族のリスク許容度、働き方の安定度を意識しながら考えてみましょう。

国民年金基金は、将来の年金額があらかじめ定められている確定給付型です。

投資判断を自分でする必要はなく、運用のプロが長期運用を行うため、加入者は基本的に運用リスクを直接負いません。ただし、物価上昇(インフレ)には必ずしも連動しないため、長期間にわたるインフレ局面では、年金の「実質的な価値」が目減りする可能性があります。

新NISAは、自分で選んだ投資信託や株式の値動きに応じて、資産が増えたり減ったりします。

長期の分散投資を前提にすれば成長を取り込みやすい一方、短期的な相場変動で元本割れになるリスクもあるため、「長く続ける」「分散させる」といった運用ルールが欠かせません。

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資金の引き出しやすさ|流動性の差が家計の安心度を左右する

老後資金は長期戦ですが、その途中で教育費や病気、親の介護など、まとまったお金が必要になる場面もあります。

そのときに「どこまで取り崩せるか」は、家計の安全度に直結します。

国民年金基金は、原則として老齢年金として受け取るまで引き出せません。

自分の都合による脱退や中途解約はできないため、生活防衛資金や近い将来に使う予定のあるお金を入れてしまうと、いざというときに困ってしまう可能性があります。

新NISAは、必要に応じて保有商品を売却すれば、いつでも現金化できます。

売却した元本分の生涯非課税枠は翌年に復活するため、ライフイベントに応じて柔軟に使えるのが特徴です。ただし、頻繁な売買は運用効率を下げる原因にもなるため、「長期保有を基本」にしながら必要な場面だけ取り崩すイメージが安心です。

注意ポイント

国民年金基金は「途中で引き出せないお金」として位置づける必要があります。まずは生活防衛資金(目安として生活費の3〜6か月分以上)や、近い将来に使う予定の資金を確保したうえで、無理のない掛金を決めることが重要です。

老後資金の安定性と、両制度の使い分け戦略

老後の安心感は、「毎月どれくらい安定した収入があるか」で大きく変わります。

国民年金基金と新NISAの役割を分けて考えると、必要な老後資金の全体像が見えやすくなります。

特徴 メリット 注意点
国民年金基金 将来の受取額がイメージしやすく、終身年金を選べば長生きに強い 途中解約できず、インフレで実質価値が目減りする可能性
新NISA 運用益が非課税で、インフレにも対応しやすい資産成長が狙える 相場次第で元本割れの可能性があり、取り崩し計画が必要
併用 「安定収入」と「成長余地」の両方を取り入れ、老後資金を厚くしやすい 基金掛金とNISA投資額の配分設計を自分で考える必要

イメージとしては、国民年金・国民年金基金・iDeCoなどで老後の「基本生活費」をカバーし、新NISAで「ゆとり費」やインフレ対策分の資産を育てるイメージです。

老後に必要な生活費や不足額を試算したうえで、「どの部分を基金で、どの部分を新NISAで補うか」を決めると、漠然とした不安が具体的な行動に変わっていきます。

あなたに合うのはどっち?タイプ別の判断軸

制度の特徴がわかってきたら、「自分はどのタイプに近いか」で考えてみましょう。

働き方・収入の安定度・リスクへの向き合い方によって、おすすめの組み合わせは変わります。

以下のタイプ別の視点を参考に、当てはまるところをチェックしてみてください。

複数に当てはまる場合は、併用を前提に配分を考えるのがおすすめです。

1. 国民年金基金が向きやすい人

・自営業やフリーランスで、公的年金だけでは老後が不安な人
・「いくらもらえるか」を事前に把握しておきたい人
・所得水準が高く、所得控除による節税効果をしっかり活かしたい人

こうした方は、国民年金基金で老後の「ベースとなる年金」を厚くするメリットが大きくなります。

2. 新NISAが向きやすい人

・長期でコツコツ積み立てて、運用で資産を増やしたい人
・老後資金に加え、教育費や住宅資金など複数の目的にも柔軟に使いたい人
・途中でお金が必要になる可能性も考えつつ、流動性を重視したい人

新NISAは目的を問わず使えるため、「老後だけでなく、人生全体の資産形成に使いたい」人と相性がよい制度です。

3. 併用が向きやすい人

・安定した収入があり、老後資金づくりに毎月ある程度まわせる人
・将来の年金額も増やしたいが、インフレ対策もしておきたい人
・守りと攻めのバランスをとって、老後資金を厚くしたい人

こうした方は、国民年金基金で「最低限の老後生活費」を確保し、新NISAで「ゆとり+インフレ対策」の資産形成を行う二本立てが有力な選択肢になります。

4. まず生活防衛を優先すべき人

・いざというときの貯蓄が少なく、急な出費に弱い家計の人
・ローンや教育費など、近い将来の大きな支出を多く抱えている人

この場合は、国民年金基金や新NISAの前に、現金で生活防衛資金(生活費の3〜6か月分以上)を優先的に確保するのが先です。余裕資金が生まれてから両制度を検討しても遅くはありません。

5. FP相談が特に役立つ人

・収入の変動が大きく、毎年の家計が読みづらい自営業・フリーランスの人
・教育費・住宅ローン・老後資金など、複数の目標が重なっていて優先順位に悩む人

こうしたケースでは、1人で判断するよりも、FPにキャッシュフロー表を作ってもらいながら「基金と新NISAに、毎月いくらずつ振り分けるか」を決めた方が、現実的で続けやすい計画になりやすいです。

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FPに聞く!国民年金基金と新NISAのリアルな疑問

制度の概要はわかっても、「実際にどう選ぶか」「どちらを優先するか」は悩みどころです。よくある疑問をFPへのインタビュー形式で整理しました。

34歳・女性

国民年金基金と新NISA、どちらを先に始めるのが良いのでしょうか?

スマホdeほけん

生活防衛資金が確保できている前提でお話しすると、「今すぐの節税効果を重視したい」「公的年金の上乗せを優先したい」方は基金からでも良いでしょう。一方で、運用に慣れて資産を増やしたい方や、老後以外の目的にも使いたい方は、新NISAから始めた方が続けやすい傾向があります。

34歳・女性

自営業で収入の波が大きいのですが、国民年金基金に入っても大丈夫ですか?

スマホdeほけん

基金は途中で自由にやめられないため、収入が落ち込んだときの負担も考える必要があります。まずは無理のない掛金で始めること、そして不足分を新NISAなどの任意の積立で調整する方法もあります。収入変動が大きい場合は、掛金を固定しすぎない工夫が重要です。

34歳・女性

新NISAの元本割れが怖いのですが、どう考えればいいですか?

スマホdeほけん

短期の値動きに一喜一憂すると不安が大きくなります。長期積立と分散投資を前提に、「10年以上使わないお金」で運用すれば、リスクは相対的に下がりやすくなります。家計に支障がない金額で始めて、慣れてきたら増額するくらいの感覚が安心です。

34歳・女性

併用するときの掛金と投資額の配分はどう決めれば良いですか?

スマホdeほけん

まず老後に必要な最低生活費を計算し、そのうち公的年金だけでは足りない部分(不足額)を確認します。その不足分の一部を国民年金基金で埋め、残りを新NISAなどの運用で補うイメージです。老後の「ベース収入」をどの程度まで基金で確保したいかを決めると、配分が決まりやすくなります。

34歳・女性

結局どちらが得か、数字で比較したいときはどうすれば良いですか?

スマホdeほけん

国民年金基金の掛金・想定年金額、新NISAの想定利回り・積立額を入力して、複数パターンのシミュレーションを出すのが近道です。ご自身で作ることもできますが、不安があればFPに「基金多めプラン」「NISA多めプラン」「半々プラン」などを試算してもらうと、納得感のある結論を得やすくなります。

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国民年金基金と新NISAに関するよくある質問

最後に、制度選びの際によくある疑問をQ&A形式でまとめました。

細かい条件や最新情報は、公的な案内や金融機関の資料で必ず確認しましょう。

Q1. 国民年金基金の掛金上限はいくらですか?

A. 国民年金基金とiDeCoなどの個人型年金の掛金には、合計額の上限があります。加入状況によって上限額が変わるため、「自分はいくらまで拠出できるか」は公式情報や窓口で必ず確認しましょう。

Q2. 新NISAの年間投資枠と生涯非課税枠はどうなっていますか?

A. 新NISAでは、年間投資枠が「つみたて投資枠120万円」と「成長投資枠240万円」の合計360万円です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までとなっています。

Q3. 国民年金基金は途中でやめられますか?

A. 原則として、自分の都合で脱退や中途解約はできません。掛金の減額や一時的な納付停止など、一定の見直しは可能な場合がありますが、加入前に「老後まで無理なく続けられる金額か」を慎重に検討することが大切です。

Q4. 新NISAは売却すると非課税枠が戻りますか?

A. 売却した商品の取得額と同じ金額分の生涯非課税枠は、売却の翌年以降に再び使えるようになります。ただし、その年の「年間投資枠」は復活しないため、売却するタイミングには注意が必要です。

Q5. どちらか一方に決められないとき、最終的にどう判断すればいいですか?

A. 大まかな考え方として、「安定的な年金収入を増やしたいなら国民年金基金」「長期運用で資産を増やしたいなら新NISA」です。ただし、家計や老後資金の不足額によって最適な組み合わせは変わります。可能であれば数字に基づくシミュレーションと、専門家のアドバイスを組み合わせて判断するのがおすすめです。

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まとめ|制度の役割を理解して、あなたの家計に合う老後資金づくりを

国民年金基金は、節税しながら将来の年金を上乗せしていく「安定型」の制度。

新NISAは、非課税で運用益を育てていく「成長型」の制度です。

どちらが良いかは、「いまの所得水準」「収入の安定度」「老後資金の不足額」「リスク許容度」によって変わります。

老後の生活の土台づくりには国民年金基金、インフレ対策やゆとり資金づくりには新NISAと、役割を分けて併用するのも有力な選択肢です。まずは無理のない積立額から始め、必要に応じて見直しながら、早めに老後資金の不安を小さくしていきましょう。

監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

国民年金基金と新NISAは、「どちらが得か」という一択の議論ではなく、「どんな役割を持たせるか」を決める制度です。国民年金基金は受取額の見通しが立ちやすい反面、資金が拘束されやすく、新NISAは自由度が高い反面、運用リスクを自分でコントロールする必要があります。

まずは老後の必要生活費と公的年金の見込額を整理し、不足する金額を見える化してみましょう。そのうえで、「どこまでを確定給付でカバーしたいか」「どれくらいを運用で増やすか」を決めると、制度選びの軸がはっきりします。迷う場合は、FPと一緒に複数パターンのシミュレーションを作り、納得できる形でスタートするのが安心です。