スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「60代でも本当に医療保険は必要?」と悩む方は少なくありません。入院日数や医療費が増え始める年代だからこそ、家計や老後資金への影響を考えた設計が重要です。
本記事では、公的制度と自己負担の境目を整理し、差額ベッド代などの実費まで含めて必要度を判定。選び方・見直しのコツをプロ視点で解説します。
60代の医療保険は必要?結論と判断の全体像
60代は入院・通院が増えやすく、公的制度だけでは実費が残りがちです。とはいえ全員に厚い保障が必要なわけではなく、貯蓄や生活設計で「縮小」も現実解になります。
まずは制度で賄える部分と自己負担の想定額を分け、必要保障を数値化しましょう。次に家計の上限保険料を決めると、迷いが減ります。
1. 長期入院のリスクと在院日数
60代は入院の頻度・在院日数が増えやすく、費用のばらつきも拡大します。平均値だけでなく、持病や既往の有無で上振れシナリオも想定しましょう。
日額給付は短期・長期の両面を意識し、通院・リハビリの継続費も加味して設計します。
2. 差額ベッド代・食事など制度外費用
高額療養費制度では医療費自己負担に上限がありますが、差額ベッド代・食事・日用品・交通・証明書代は対象外です。
個室志向や長期化があるなら、一時金や入院日額でバッファを確保するのが現実的です。
3. 現役収入・就業不能の影響
60代でも現役・自営で収入に依存している場合、療養による収入減が家計に直撃します。医療費と生活費の二重負担を同時に考えます。
医療保険に加え、就業不能保険を組み合わせると収入リスクを平準化できます。
4. 貯蓄と取り崩しルール
自由に使える予備資金が十分で、教育・住宅・老後資金と分離できているなら、保障は縮小も選択肢です。取り崩し順序を家族と共有しましょう。
資産形成は保険と分けるのが基本ですが、長期分散を前提に変額保険の位置づけを検討する方法もあります。
5. 既契約の重複と保障の穴
共済・がん・医療の特約などが重複していないかを横断チェックします。同名給付でも条件が違うため、一覧化が近道です。
穴があるなら最小限の特約や一時金で補完し、余剰は削減します。
注意ポイント
全解約は最後の手段です。まずは特約整理や給付水準の見直しから着手し、家計の固定費を適正化しましょう。
タイプ別の特徴:必要性が高い人・低い人
必要性が高いのは、現役収入に依存、持病・既往あり、療養環境の希望が明確な人です。一方、貯蓄が厚く健康管理が行き届いている人は縮小・不要も検討できます。
以下の観点で自分の立ち位置を確認して、設計の方向性を固めましょう。
必要性が高い人の例
先進医療や個室を希望、持病で再入院リスクが高い、収入が途絶えると家計が厳しい――こうした方は一時金+入院日額を軸に備えます。
就業不能保険の待期や給付期間も合わせて最適化します。
必要性が低い人の例
自由に使える貯蓄が十分で、付加給付や家族支援が厚く、外部サービス費が抑えられる世帯は、最小限保障または見直し縮小が現実的です。
高額療養費の上限と想定実費を引き算し、残りを現金で賄えるかを確認します。
保険タイプの比較と家計への影響
医療保険(標準/引受緩和/無告知)やがん保険、就業不能保険の組み合わせでリスクを分散します。資産形成は基本的に投資枠や変額保険と切り分けて管理しましょう。
代表的な保険タイプの特徴・メリット・注意点を以下に整理します。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 終身保険 | 生涯保障と貯蓄性 | 保険料が割高 |
| 変額保険 | 資産形成と保障の両立 | 運用リスクあり |
| 養老保険 | 満期時に資金受取 | 返戻率が低め |
設計の手順:必要保障→上限保険料→商品比較
感覚ではなく数値で決めるとブレません。必要保障額を算出し、家計が許容できる月額上限を設定、条件に合う商品を横断比較します。
以下のリンクを順に実践し、ムダな保険料を削減して最適化しましょう。
1. 必要保障の棚卸し(医療費/実費/収入減)
入院・通院の医療費に、差額ベッド代や交通・日用品、就業不能時の生活費を合算し、最小・標準・最大の3水準で見積もります。
家族構成や働き方によって必要額は変わるため、個別事情を反映します。
2. 家計の上限保険料を設定
固定費比率・貯蓄率・年金/給与の水準から、長期継続できる上限を決めます。更新で上がるタイプは将来負担も見込みます。
長期継続性を優先し、短期の安心のために過剰な特約を足さないのがコツです。
3. 給付条件と待ち期間の精査
同名給付でも対象範囲や支払回数が異なります。先進医療の限度額、通院・手術の定義、再入院の扱いを確認します。
診断一時金を複数回で設定できるかも、回復期の安心感に直結します。
4. 既契約の重複・不足を補正
共済・医療・がん・就業不能の重複を整理し、足りない部分のみ追加します。削減期間や部位不担保の条件も確認します。
一覧化して比較すると、無駄な二重カバーを発見しやすくなります。
5. 専門家相談とセカンドオピニオン
告知文面や条件交渉は難易度が高めです。第三者の専門家に客観評価を依頼すると、ミスが減り短時間で結論に到達できます。
契約後はライフイベントに合わせて計画的に見直しましょう。
ワンポイント
見直しの基準日は誕生月や更新月に固定せず、健康診断結果や家計の変化で柔軟に。必要保障と負担のバランスを保ちましょう。
FPに聞く!傷病手当金と家計のリアル(インタビュー)

60代の療養と収入減リスク、就業不能保険、そして傷病手当金の使い方を、読者の疑問に沿って確認します。
34歳・女性
60代・現役で働いています。傷病手当金はどのくらい受け取れますか?
スマホdeほけん
標準報酬日額の約3分の2が目安です。手取りより少ないため、家計の固定費と貯蓄の取り崩し計画を合わせ、就業不能保険で不足を補う設計が有効です。
34歳・女性
どのくらいの期間もらえますか?長期療養が心配です。
スマホdeほけん
通算1年6ヶ月です。復職と休職を繰り返しても通算管理なので、長期化の可能性があるなら医療保険の入院給付と一時金を組み合わせて備えましょう。
34歳・女性
高額療養費制度があれば医療保険は不要ですか?
スマホdeほけん
医療費の上限は抑えられますが、差額ベッド代や食事・日用品は対象外です。そこは入院日額や一時金でカバーし、家計のキャッシュアウトを平準化します。
34歳・女性
資産形成と保障、同じ商品で兼ねても良い?
スマホdeほけん
原則は分離が基本です。どうしてもまとめたい場合は変額保険の仕組みとコスト、リスクを理解し、保障の主目的がぶれないように設計しましょう。
34歳・女性
告知で迷う点があります。失敗しないコツは?
スマホdeほけん
推測で書かず診療情報で事実ベースに。提出前に第三者チェックを受けると表現のブレが減り、審査がスムーズになります。
よくある質問(Q&A)

Q1. 60代は医療保険の保険料が高いと聞きます。どう抑える?
A. 不要特約を外し、一時金+最低限の日額で設計すると効果的です。更新型の上昇幅も見込んで上限保険料を先に決めましょう。
Q2. 公的制度があれば十分では?
A. 医療費の自己負担上限はありますが、差額ベッド代や食事・交通・証明書代は対象外です。入院が長引くと実費が積み上がります。
Q3. 既往症があります。加入は難しいですか?
A. 標準型が難しくても引受基準緩和型で加入余地があります。給付の削減期間や上限を理解し、不足分のみを補う使い方がコスパを高めます。
Q4. がん保険と医療保険、どちらを優先?
A. 診断一時金が大きいがん保険は柔軟性がありますが、入院・手術・通院を広くカバーする医療保険と役割が違います。生活設計に合わせて併用を検討しましょう。
Q5. 保険と貯蓄、どの比率が目安?
A. 目安は世帯の固定費と貯蓄率次第ですが、保険料は手取りの数%に留め、3〜6か月分の生活予備費を先に確保するのが基本です。
まとめ
60代は医療費と在院日数が増えやすく、公的制度だけでは実費が残りがちです。必要保障を数値化し、家計の上限保険料を先に決めると迷いなく設計できます。
差額ベッド代・生活関連費は保険でバッファ、収入減は就業不能保険で補完。資産形成は分離し、定期的な見直しで家計と老後資金の両立を図りましょう。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
60代の医療保険は「医療費」だけでなく、差額ベッド代や交通・日用品といった実費、さらに収入減まで含めて設計するのが要点です。必要保障→上限保険料→商品比較の順序を守れば、過不足のない保障に着地できます。
全解約かフル加入の二択ではなく、特約整理や一時金の活用など中間解が現実的です。既契約の重複を解消し、更新時の保険料上昇を見越して長期継続可能なプランへ整えることを推奨します。