スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「健康維持のために買ったサプリも医療費控除になるの?」と迷う方は多いです。結論から言うと、多くのサプリは対象外ですが、制度の正しいラインを理解すればムダなく還付を受けられます。
本記事では、サプリが対象外となる根拠と例外、セルフメディケーション税制の活用、見落としやすい対象医療費までを、初心者にも分かりやすく解説します。確定申告前の最終チェックにご活用ください。
結論:サプリは原則対象外。ただし制度の筋を押さえれば迷わない
サプリメントは法律上「食品」に位置づけられ、治療・療養に直接必要な費用とはみなされません。そのため、原則として医療費控除の対象になりません。
一方で、医師の診療・治療に直結する支出や、一定のスイッチOTC医薬品は別制度で控除対象となる可能性があります。以下で線引きを具体化します。
1. 自己判断で買ったサプリは対象外
ドラッグストアや通販で購入したサプリは、健康増進・予防目的の「食品」。治療に不可欠とまでは言えないため、医療費控除の対象にはなりません。
確定申告の医療費控除の明細書に記載しないよう注意しましょう。
2. 栄養療法・食事療法目的でも対象外
医師の一般的な助言があっても、サプリの購入が診療・治療そのものに該当しない限り対象外です。食品区分である点は変わりません。
「体質改善のため」など幅広い目的は、制度上の医療費には含まれません。
3. 不妊治療向けサプリも対象外
不妊治療と併用したサプリでも、購入費は医療費控除の対象外です。診療・治療行為そのものに該当しないためです。
ただし、病院での検査・処置・投薬費用は通常どおり対象です。
4. 医師処方のビタミン剤は対象
医師の診療に基づき、治療目的で処方されたビタミン剤等の費用は医療費控除の対象になります。領収書・明細書を保管しましょう。
同じ成分名でも、市販サプリとして買った場合は対象外になる点に注意が必要です。
5. スイッチOTCは特例で控除可
本来は医療用だった成分が一般用医薬品となった「スイッチOTC医薬品」は、セルフメディケーション税制の対象。年間購入額が12,000円を超えた部分が特例控除の対象です。
外箱やレシートに対象マークがあるか確認し、合算管理しましょう。
注意ポイント
医療費控除とセルフメディケーション税制は原則どちらか一方の適用です(同一年での併用は不可)。総額試算して有利な方を選びましょう。
医療費控除の基礎:対象になる費用・ならない費用
制度理解の起点は、「診療・治療に直接必要な費用」かどうかです。対象の代表例と、対象外の典型を整理します。
後段のリストから、該当しやすい支出をチェックして抜け漏れを防ぎましょう。
1. 病院・歯科の診療費
診療・検査・入院・手術・リハビリなどの費用は基本的に対象です。自由診療でも治療性が認められれば含まれます。
美容や予防目的の施術は対象外となる点に注意しましょう。
2. 処方薬・治療に必要な医薬品
医師の処方薬はもちろん、市販薬でも治療・療養のために購入した医薬品は対象です。レシートの品名が分かるものを保管してください。
健康増進・ビタミン補給目的のサプリはここに含まれません。
3. 通院の公共交通機関運賃
バス・電車などの実費運賃は対象です。領収書が無くても、日付・経路・金額を一覧化すれば申告可能です。
自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
4. 付き添い交通費(条件付)
幼児・要介護など本人が一人で通院できないケースに限り、付き添い者の交通費が対象になります。見舞い目的は対象外です。
事情が分かるメモと領収書をセットで保管しましょう。
5. 施術・医療器具の一部
柔道整復・あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう等の施術費、松葉杖など医療上必要な器具費用は対象となることがあります。
治療性の立証がポイント。明細の記載を確認しましょう。
実務のコツ
家計簿アプリでレシート読取→「医療費」ラベルで一括管理。毎月の振り返りで対象/対象外を色分けしておくと、申告時の仕分けが一気に楽になります。
比較で理解:医療費控除とセルフメディケの違い

2つの制度は目的と対象が異なります。特徴・メリット・注意点を一覧で押さえましょう。
どちらが有利かは、年間の医療費水準と購入した医薬品の内訳で変わります。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 医療費控除 | 治療関連の幅広い費用を対象 | 10万円(または所得の5%)超が前提 |
| セルフメディケ税制 | スイッチOTC購入が12,000円超で控除 | 医療費控除と同年併用不可 |
| 処方ビタミン剤 | 医師の診療に紐づけば対象 | 市販サプリ購入は対象外 |
申告ステップ:ミスなく還付を受ける手順
年明けに慌てないために、月次で準備を進めましょう。以下の手順で迷いを排除します。
家族分をまとめて管理し、有利な制度を年末に選択するのがコツです。
1. 医療費の領収書・明細を集約
医療機関ごとに月次で合算し、家族単位でファイル化。保険金等の補填額も同時に記録します。
原本保管を前提に、スキャンでバックアップも行いましょう。
2. 交通費メモを一覧化
日付・医療機関・経路・金額・備考(やむを得ない事情)を表計算で管理。領収書が出ない運賃も記録で代替可能です。
タクシーは領収書必須。理由メモを添えると安心です。
3. 対象/対象外を仕分け
サプリ購入は原則対象外、処方薬は対象といった基準で分類。曖昧な支出は備忘メモを付与します。
年末の総額確認時に迷わないよう、月次で色分けしましょう。
4. 制度比較で有利判定
医療費控除のボーダー(10万円または所得の5%)と、スイッチOTCの年間購入額を試算し、どちらが有利か判定します。
同一年での併用不可のため、選択は一度だけ。根拠メモを残すと翌年以降も最適化できます。
5. 明細書作成と電子申告
国税庁サイトの様式で医療費控除の明細書を作成。マイナポータル連携を使うと入力が時短できます。
e-Taxでの提出は還付が早い傾向。提出控えは必ず保存しましょう。
よくある質問Q&A(5問)

Q1. ビタミンCサプリは一切対象になりませんか?
A. 市販のビタミンCサプリ購入は対象外です。ただし、医師の診療に基づく治療目的で処方されたビタミン製剤なら対象になります。購入経路と目的の違いが線引きの鍵です。
Q2. 不妊治療と一緒に勧められたサプリは?
A. サプリ購入費は対象外です。不妊治療に関する検査・処置・投薬などの医療行為は対象なので、領収書を整理しておきましょう。
Q3. 風邪薬や絆創膏など市販薬はどう扱う?
A. 治療・療養目的なら医療費控除の対象です。レシートで品名が分かるように保管し、ドラッグストア支出を医療費と日用品に仕分けしましょう。
Q4. スイッチOTCと医療費控除は両方使える?
A. 同一年では併用不可です。年間の医療費・購入額を試算し、有利な制度を選択してください。選択根拠をメモに残すと翌年の判断も素早くなります。
Q5. 家族分はどう申告するのが得?
A. 同一生計の医療費は代表者が合算申告できます。家族でレシートを一元管理し、10万円(または所得5%)超えを狙うと効率的です。
まとめ:サプリは原則NG。制度を賢く選んで家計を守る
サプリ購入は原則として医療費控除の対象外です。一方、処方薬や治療関連費、公共交通機関の通院費は対象になり得ます。スイッチOTCは特例のセルフメディケーション税制で控除可能です。
迷ったら支出の目的と根拠を記録し、有利な制度を選択。専門家への無料相談を活用して、還付の取りこぼしを防ぎましょう。
監修者からひとこと



スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
サプリと医療費控除の線引きは「食品か医薬品か」だけでなく、治療への必要性と購入経路の整理が重要です。家計全体では、月次でのレシート集約と制度比較のフローを作ると、確定申告時の迷いが減り、必要書類の不足も防げます。
セルフメディケーション税制は条件を満たせば有効ですが、医療費控除との同年併用は不可です。どちらが有利かは世帯の医療費水準で変わるため、早めに試算して選択しておきましょう。判断に迷う場合はFPや税理士に相談して、制度を正しく使い切ってください。