妊婦健診は医療費控除の対象?助成金の書き方・年またぎ対応まで徹底ガイド

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

「妊婦健診や出産費用も医療費控除になるの?」という疑問はとても多いです。結論、妊婦健診は医療費控除の対象です。ただし、助成金や出産手当金などの扱い、里帰り出産や年またぎの清算など、落とし穴もたくさんあります。

本記事では、助成適用時の明細書の書き方、対象・対象外費用、交通費の取り扱い、還付額の考え方まで、はじめての方でも迷わないように丁寧に解説します。

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結論:妊婦健診は控除対象。まずは線引きを押さえる

妊婦健診(妊婦検診)は、母体と胎児の状態把握を目的とする診療・検査であり、医療費控除の対象です。自治体の補助券利用分を除いた自己負担額が計上できます。

一方で、美容・予防・快適性のための費用は対象外。差額ベッド代や自家用車のガソリン代などは計上しないように注意しましょう。

1. 妊婦健診は対象、助成金は差し引き

補助券や償還払いにより公費負担された分は計上不可で、自己負担分のみが医療費控除の対象です。明細書には医療機関名と自己負担額を記載します。

助成金を受けた場合は、その受給額を医療費から差し引く処理が必要です。控除重複を避けるため、受給日・金額のメモを残しましょう。

2. 出産育児一時金と出産手当金の違い

出産育児一時金は分娩費の補填であり、医療費から差し引く対象です。一方、出産手当金は休業中の所得補填で、医療費控除の差し引き対象ではありません。

名称が似ているため混同しがちです。「医療費の補填か、所得の補填か」で整理しましょう。

注意ポイント

医療費控除では、補助・保険金・公的給付などの補填額を医療費から差し引くのが原則です。助成の種別ごとに受給額を台帳管理し、明細書と突合しましょう。

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妊婦健診以外で対象になる費用/ならない費用

出産関連の支出は多岐にわたります。対象・対象外の代表例を把握して、計上漏れと誤計上を防ぎましょう。

以下のリストから、自分のケースに該当する項目をチェックしておくと申告がスムーズです。

1. 入院基本料・分娩費用

診察料、看護料、室料(一般)、分娩費用などは対象です。差額ベッド代(特別療養環境室料)は対象外である点に注意しましょう。

医療費の領収書は原本5年保存が必要です。スキャンでのバックアップも推奨します。

2. 病院食・院内クリーニング

入院中に病院が提供する食事代、病院のシーツや枕のクリーニング代は対象です。外食や自分の衣類のクリーニングは対象外です。

明細に「入院食事療養費」等の記載があれば控除対象の判断が容易になります。

3. 医療用器具の購入・レンタル

医療上必要な器具(例:母体管理に必要な器具)の費用は対象になり得ます。医療的必要性を確認できる書類を保管しましょう。

快適性向上のみを目的としたグッズの購入は対象外です。

4. 通院・入院の公共交通機関運賃

電車・バスなどの実費は対象です。やむを得ない事情(陣痛、深夜等)でのタクシーも認められる場合があります。

自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外です。日付・経路・金額のメモを残しましょう。

5. 産後1か月健診(診療性あり)

産後の状態観察としての診療に当たる費用は対象です。単なる健康診断の対価にすぎないものは対象外となります。

診療の内容が分かる明細や案内を保存しておくと判断がしやすくなります。

実務のコツ

ドラッグストア購入分は「医療費」と「日用品」を区分してレシート管理。家計簿アプリで対象/対象外を色分けしておくと年末の集計が速くなります。

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交通費の取り扱い:OKとNGの境界

通院・入院の交通費は、手段と事情で取り扱いが異なります。迷いやすいポイントを整理します。

陣痛タクシーなどやむを得ないケースは領収書必須。理由メモを添えましょう。

特徴 メリット 注意点
公共交通機関(電車・バス) 原則対象・領収書不要 定期券区間内の通院は対象外
タクシー 陣痛等やむを得ない場合は対象 楽だから利用は対象外、領収書を保管
自家用車 ガソリン・駐車場は対象外

年またぎ・里帰り・明細書:つまずきやすい論点

年末年始の出産や里帰り出産は、医療費控除の処理が複雑になりがちです。基準日の考え方と明細書の書き方を押さえましょう。

クレジット払いは「カード提示日=支払日」と扱われるため、口座引落日ではなく決済日で年を判定します。

1. 年またぎの基準日(医療費・給付)

医療費は支払日基準、保険金は支払日基準で按分、出産育児一時金は受給日基準で差し引きます。入院が12月~1月に跨る場合は日数按分が必要です。

支給通知書・領収書に日付注記を残し、年度ごとの台帳を作りましょう。

2. 里帰り出産の交通費

里帰り自体の移動は医療費控除の対象外です。医療とは別目的の移動と扱われます。

里帰り先で補助券が使えず自己負担になった妊婦健診は、自治体の償還払いの対象となる場合があります。

3. 領収書は提出不要でも5年保存

平成29年分以降は「医療費控除の明細書」を添付し、領収書は提出不要。ただし税務署から求められた場合に備え、5年間の保存義務があります。

電車・バスはメモで代替可能。日付・経路・金額を一覧にしておきましょう。

4. 明細書の医療費区分と記載

「診療・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他の医療費」の区分を選択。交通費は「その他の医療費」にチェックします。

支払先は医療機関名、交通費は「JR」「○○交通バス」等で記載すればOKです。

5. 過去5年の還付申告

年末調整のみで確定申告の義務がない人でも、医療費控除は過去5年分まで還付申告が可能です。対象年の翌年1月1日から受付されます。

期限に追われない制度なので、落ち着いて書類を整えて提出しましょう。

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マイナンバーカード対応スマホがあれば、スマホ申告が便利。自動計算でミスを防ぎ、提出控えも電子保存できます。

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還付額の考え方:医療費控除額 × 所得税率

医療費控除額は「年間医療費-補填額-(10万円 or 所得の5%)」で計算します。所得200万円以上は10万円、未満は5%が基準です。

還付額は「医療費控除額 × 所得税率」で概算。住民税の軽減効果も見込めます(時差あり)。

だれが申告する?夫婦で有利な方を選ぶ

同一生計の家族分は合算して代表者が申告可能です。一般に税率の高い方が申告すると軽減効果が大きくなる傾向があります。

ただし所得200万円未満のケースでは基準が「所得の5%」となるため、双方試算のうえ有利判定をしましょう。

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妊婦健診と医療費控除の基本を押さえるインタビューガイド

妊婦健診や出産費用の控除は複雑で、家計管理との両立に迷いやすいテーマです。まずは押さえるべき基礎ポイントを簡潔に整理します。

制度の仕組みを理解しておくことで、後の個別の質問もより分かりやすくなります。

FPに聞く!妊婦健診の医療費控除で知っておきたいポイント

妊婦健診の医療費控除は、家計への影響が大きいため不安を抱く人も多いです。よくある疑問をFPが分かりやすく回答します。

34歳・女性

妊婦健診の自己負担額はどこまで医療費控除に入れられますか?

スマホdeほけん

助成を差し引いた自己負担額が対象になります。明細書には医療機関名と支払った金額をそのまま記載すれば大丈夫です。

34歳・女性

出産費用と妊婦健診費用は同じ欄にまとめて記載してもよいのでしょうか?

スマホdeほけん

明細書では診療内容ごとに分けておく方が適切です。後日の確認がしやすく、税務署からの問い合わせにもスムーズに対応できます。

34歳・女性

交通費はどの範囲まで対象になりますか?

スマホdeほけん

公共交通機関の運賃が基本で対象です。陣痛時などやむを得ずタクシーを利用した場合も、事情が分かるメモを添えるとより確実です。

34歳・女性

里帰り出産の場合の妊婦健診は控除できますか?

スマホdeほけん

自治体補助が使えず自己負担になった健診は対象です。補助の償還払いがある場合は、給付額を差し引くことを忘れないようにしましょう。

34歳・女性

医療費控除と傷病手当金の関係はありますか?

スマホdeほけん

傷病手当金は所得補填であり医療費の補填ではないため、差し引き対象にはなりません。万一の収入減に備え、就業不能保険を併用する方もいます。

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よくある質問Q&A(5問)

Q&A

Q1. 妊婦健診の補助券を使った場合はどう記載しますか?

A. 医療費控除の明細書には自己負担額のみを記載します。補助分は医療費から差し引かれているため、二重計上を避けられます。

Q2. 陣痛タクシーの費用は対象ですか?

A. 公共交通機関の利用が現実的でない状況なら対象になり得ます。領収書と事情メモをセットで保管してください。

Q3. 産後健診は医療費控除になりますか?

A. 健康診断の対価にすぎないものを除き、診療としての性格がある産後1か月健診は対象です。明細の内容を確認しましょう。

Q4. 差額ベッド代は計上できますか?

A. 快適性向上の費用(特別療養環境室料)は対象外です。医療上の必要で病院都合の個室だった場合は請求されないのが通常です。

Q5. 年をまたいだ入院費はどう分けますか?

A. 入院日数で按分し、それぞれの年の医療費に計上します。保険金も同様に日数按分して差し引きましょう。

働く人のたより

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まとめ:妊婦健診は控除対象。助成・給付の差し引きを忘れずに

妊婦健診は医療費控除の対象で、自己負担分を明細書へ計上します。出産育児一時金は差し引き対象、出産手当金は対象外と覚えておけば、多くの迷いは解消できます。

年またぎや里帰りの特例、交通費の扱いも要チェック。e-Taxと家族合算を賢く使い、還付の取りこぼしを防ぎましょう。

監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

出産関連の医療費控除は、「助成・給付の差し引き」「交通費の線引き」「年またぎ処理」の3点が肝です。特に差額ベッド代や自家用車費用の誤計上が多いので、日付・金額・区分を徹底管理しましょう。家族合算とe-Taxの活用で事務負担は大きく減らせます。

迷ったら明細と通知を手元に、FPや税の専門家へ相談を。出産後の家計は変動が大きい時期。保険の見直しや資産形成の初期設計も同時に進めると、家計不安の軽減につながります。