

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「iDeCoで厚生年金が減るの?」と不安を抱く人は多いです。SNSの断片情報で迷い、家計や老後資金の判断が止まる人も少なくありません。
結論は明快で、iDeCoでは厚生年金は減りません。一方で選択制企業型DCは設計次第で影響します。誤解を解き、最適な資産形成と制度活用を解説します。
結論:iDeCoは厚生年金に影響なし、選択制DCは設計次第
iDeCoは個人拠出の私的年金で、標準報酬月額は変わりません。したがって厚生年金額は原則不変です。
一方の選択制企業型DCは、給与の一部を掛金へ振替えると標準報酬が下がり、将来の厚生年金が減る可能性があります。
1. iDeCoは報酬に影響しない
iDeCoは個人が掛金を拠出し、運用益は非課税です。給与からの控除扱いではないため、標準報酬は変化しません。
結果として、厚生年金の算定基礎に影響なし。節税しつつ老後資金の自助を進められます。
2. 選択制DCは報酬が下がり得る
給与の一部を掛金へ振替える仕組みでは、標準報酬が下がります。社会保険料は軽くなりますが年金額は目減りします。
制度理解が浅いと、短期の手取り増と長期の年金減を取り違えかねません。
3. 節税と年金のトレードオフ
標準報酬を下げれば保険料は減りますが、将来の老齢厚生年金も連動します。生涯値での損益を比較しましょう。
掛金の税控除や運用益非課税の恩恵と、年金減少の影響を同一土俵で試算する視点が要です。
4. 転職・退職時の移換手続き
企業型DCは退職・転職で資産移換が必要です。放置すると自動移換となり、運用停止や手数料増の不利益が生じます。
スケジュール管理と必要書類の準備を、退職前から着手するのが安全です。
5. 家計と老後資金のバランス
当面の可処分所得を確保しつつ、老後の取り崩しリスクを抑える設計が理想です。固定費が重い場合は掛金を絞ります。
長期の資産形成では、つみたてNISAや変額保険の活用で分散を効かせるのも有効です。
注意ポイント
選択制DCの採用は、税・社保・年金の総合最適で判断。短期の節税だけで決めないことが重要です。
企業型DCのメリット・デメリットを一気に整理
企業型DCは仕組みが多様で、理解不足が誤解の温床です。良い点と注意点を対で捉え、意思決定を明確にします。
制度は会社規約で異なるため、就業規則と運営管理機関の資料は必ず確認しましょう。
特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
選択制企業型DC | 所得税・住民税・社保料が軽くなる | 標準報酬が下がり年金が減る可能性 |
マッチング拠出 | 会社拠出に上乗せ可・非課税運用 | 会社制度有無に依存・上限がある |
運営機関・商品 | 運用益非課税で複利が効く | 商品ラインナップは会社選定に依存 |
ケースで学ぶ:厚生年金を減らさず資産形成する設計
厚生年金を守りつつ、税制メリットを確保する道筋はあります。ここでは実務的な手順に落とし込みます。
迷ったら「数字に置き換える」。家計収支と年金見込み、節税額を並べることが第一歩です。
1. 会社制度の把握と就業規則確認
自社のDC種別、マッチング拠出、選択制の有無を確認します。運営管理機関と商品一覧も入手しましょう。
同時に、iDeCo同時加入可否を規約で確認します。ここが設計の起点です。
2. 標準報酬と年金見込みの算出
標準報酬月額に掛金振替の影響を反映し、将来年金見込みの差額を見積もります。生涯値で比較します。
公的年金の下支えを基礎に、老後の最低必要生活費との差を可視化しましょう。
3. 選択制DCとiDeCoの比較試算
選択制DCの節税と年金減少、iDeCoの控除メリットを同条件で並べます。家計に適した組み合わせを選びます。
高コスト商品は避け、低コストの分散投資を基本に据えます。
4. 転職・退職時の移換計画
次の勤務先の制度を確認し、iDeCoや企業年金連合会への移換をスムーズに行えるよう事前準備をします。
自動移換のデメリット(運用停止・手数料)を避けるため、スケジュールを管理しましょう。
5. 運用商品の分散設計
国内外の株式・債券インデックスを軸とし、リスク許容度に応じて配分。長期・積立・分散が基本です。
リスク管理として、NISAや変額保険も選択肢に加え、目的別に資産を配置します。
設計のコツ
短期の手取り増だけで判断せず、生涯の税・社保・年金・運用益を合算して比較することが重要です。
FPに聞く!iDeCoと厚生年金、だまされないための疑問整理
読者代表がFPに率直に質問しました。家計や傷病手当金、就業不能保険との関係も含め、勘所を短く明快に押さえます。

34歳・女性
iDeCoで厚生年金が減ると聞きました。本当でしょうか?
スマホdeほけん
iDeCoでは標準報酬が変わらないため減りません。噂は選択制企業型DCの振替と混同された誤解が多いです。


34歳・女性
選択制DCは家計に有利ですか?だまされるなと言われ不安です。
スマホdeほけん
短期の可処分所得は増え得ますが、将来年金は下がる可能性があります。生涯値の損益で判断しましょう。


34歳・女性
病気で働けない時期の備えは?傷病手当金だけで足りますか?
スマホdeほけん
長期化に備え傷病手当金に加え就業不能保険を検討。資産取り崩し回避に役立ちます。


34歳・女性
老後資金はiDeCoとNISA、どちらを優先?
スマホdeほけん
目的が年金ならiDeCo優先、流動性や中途引出しの柔軟さはNISA。併用で弱点を補完しましょう。


34歳・女性
企業型DCの商品が高コストです。どう対応すれば?
スマホdeほけん
低コストのインデックスが無い場合は最良案を選択し、社内に要望。併せてiDeCoやNISAで補完します。

Q&A:確定拠出年金と厚生年金のよくある誤解
Q1. iDeCoと企業型DCを同時に使うと厚生年金は減りますか?
A. iDeCoは報酬に影響せず減りません。選択制DCの給与振替で標準報酬が下がると、年金が減る可能性があります。
同時利用時も、振替の有無を確認し、影響のあるのは選択制側だと理解しましょう。
Q2. 選択制DCの掛金は多いほど得ですか?
A. 掛金増は節税効果を高めますが、標準報酬の低下も拡大します。生涯受取年金と運用益で総合比較が必要です。
家計の流動性も見て、掛金は段階的に調整してください。
Q3. 退職時にDCを放置するとどうなりますか?
A. 自動移換され運用停止や手数料増の不利益が発生します。受取開始は遅れ、機会損失が生じます。
退職前に移換先と手続きを確定し、期限内に実行しましょう。
Q4. 企業型DCの商品が少なく、思うように運用できません。
A. 会社選定に依存します。低コスト商品の範囲で分散し、外部ではNISAやiDeCoで補完するのが現実解です。
社内の改善要望と、個人枠の活用を並行してください。
Q5. 医療費や休業時の備えは年金設計と関係しますか?
A. 大いに関係します。医療費や収入途絶は資産形成に影響し、iDeCoの継続も揺らぎます。
傷病手当金の理解と就業不能保険の検討で、家計の耐久力を高めましょう。
まとめ:制度を正しく使えば「年金減少」は回避できる
iDeCoは厚生年金に影響せず、非課税で老後資金を積み上げられます。選択制企業型DCは設計次第で影響が出ます。
短期の節税と長期の年金を生涯値で比較し、移換や商品選定の実務を丁寧に。家計と老後資金の両立が実現します。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
「だまされるな」という強い言葉の背景には、選択制DCの給与振替とiDeCoの仕組みの混同が見受けられます。厚生年金を守りたいなら、標準報酬に影響する制度か否かをまず切り分けましょう。次に、節税・年金・運用益・手数料・流動性を生涯値で比較し、家計の現金余力と両立させることが肝要です。
退職・転職時の移換遅延や高コスト商品の長期保有は、成果を目減りさせます。制度の強みを活かしつつ、外部のNISAやiDeCo、必要に応じて変額保険等で分散し、リスクと税制の最適化を図る姿勢を推奨します。