スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
住宅ローンで変動金利を選ぶべきか迷っている方は多いでしょう。住宅金融支援機構の調査によると、2023年時点で約73%の人が変動金利型を選択していますが、金利上昇時の返済額増加リスクを理解せずに選んでいるケースも少なくありません。
この記事では、住宅ローン変動金利の仕組み、固定金利との違い、金利上昇時のシミュレーション、そして後悔しないための選び方と対策を、ファイナンシャルプランナーの視点から徹底解説します。5年ルールや125%ルールの落とし穴、あなたに適した金利タイプの見極め方まで、住宅ローン選びで失敗しないための実践的な知識が得られます。
この記事を読んでわかること
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変動金利の仕組みと5年ルール・125%ルールの落とし穴(未払利息リスク)
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変動金利vs固定金利|3,000万円借入時の総返済額シミュレーション比較
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変動金利を選んで後悔しないための5つの条件とリスク対策
住宅ローン変動金利とは?金利の決まり方と見直し時期
変動金利型住宅ローンは、市場金利の変動に応じて適用金利が変わるタイプです。短期プライムレート(銀行が優良企業に貸し出す際の最優遇金利)に連動し、半年ごとに金利が見直されます。
2024年現在、変動金利は0.3%から0.5%程度と固定金利(1.5%から2.0%程度)より約1%低く設定されており、低金利メリットが変動金利を選ぶ最大の理由となっています。
変動金利の5年ルールと125%ルール|本当に安全なのか
変動金利には急激な返済額増加を防ぐ「5年ルール」と「125%ルール」がありますが、リスクがゼロではありません。これらのルールの仕組みと落とし穴を理解することが重要です。
ここでは、変動金利特有のルールと、知らないと危険な未払利息リスクについて解説します。
1. 5年ルール|返済額は5年間変わらない
5年ルールとは、金利が変動しても5年間は月々の返済額を変更しないルールです。これにより急激な家計負担の増加を避けられますが、金利が上昇すると返済額は変わらないまま利息の割合が増え、元金の返済が減ることになります。
5年経過後は返済額が見直されるため、その時点で金利が大幅に上昇していれば、返済額が一気に増加するリスクがあります。
2. 125%ルール|返済額は前回の1.25倍まで
125%ルールとは、5年後に返済額が見直される際、新しい返済額は前回の125%を上限とするルールです。月々10万円の返済額であれば、見直し後の上限は12.5万円となります。
このルールにより段階的な増加となりますが、金利が大幅上昇した場合、返済額が利息を下回る可能性があります。
3. 未払利息が発生する危険性
金利が大幅に上昇し、125%ルールにより返済額の上昇が抑えられた場合、月々の返済額が利息額を下回ると「未払利息」が発生します。支払いきれなかった利息は元金に組み込まれ、複利で増えていきます。
未払利息はローン完済時に一括返済する必要があるため、極端な金利上昇局面では要注意です。
4. すべての銀行に適用されるわけではない
5年ルールと125%ルールは多くの銀行で採用されていますが、全ての金融機関に適用されるわけではありません。一部のネット銀行では、金利変動時に即座に返済額が変わる商品もあります。
契約前に必ず確認し、ルールの有無を把握しておきましょう。
5. 金利上昇時のシミュレーション
借入額3,000万円、35年返済、金利0.5%の場合、月々の返済額は約7.7万円です。金利が2.0%に上昇すると月々約10万円に増加し、年間約28万円の負担増となります。
金利が3.0%まで上昇した場合、月々約11.5万円となり、初期より年間約46万円の負担増となります。
変動金利vs固定金利|総返済額シミュレーション比較
変動金利と固定金利では、総返済額に大きな差が出る可能性があります。ここでは、借入額3,000万円、35年返済のケースで、金利タイプ別の総返済額を比較します。
どちらが有利かは金利動向次第ですが、具体的な数字で違いを理解しましょう。
注意ポイント
変動金利のメリットを享受できるのは、金利が低水準で推移する期間中のみです。金利上昇局面ではメリットが縮小し、固定金利より不利になる可能性があります。
| 金利タイプ | 金利 | 総返済額 |
|---|---|---|
| 変動金利(ずっと0.5%) | 0.5% | 約3,240万円 |
| 変動金利(途中から1.5%) | 0.5%→1.5% | 約3,600万円 |
| 変動金利(途中から2.5%) | 0.5%→2.5% | 約4,100万円 |
| 固定金利35年 | 1.5% | 約3,850万円 |
変動金利が有利になるケース
変動金利が0.5%のまま35年間推移した場合、総返済額は約3,240万円となり、固定金利1.5%の約3,850万円と比べて約610万円の差が生まれます。低金利が長期間続けば、変動金利が圧倒的に有利です。
日本は長期間低金利が続いており、この恩恵を受けられる可能性があります。
固定金利が有利になるケース
変動金利が途中で2.0%以上に上昇した場合、総返済額は固定金利とほぼ同等またはそれ以上になります。金利が3.0%まで上昇すれば、固定金利の方が有利になります。
将来的な金利上昇リスクを避けたい方、返済額を確定させたい方は固定金利が適しています。
変動金利を選んで後悔しないための5つの条件
変動金利が適しているかどうかは、年収、貯蓄額、返済期間、リスク許容度などによって判断されます。ここでは、変動金利を安全に選べる条件を具体的に解説します。
自分の状況と照らし合わせて、変動金利を選択すべきかどうかを判断してください。
1. 貯蓄がローン残高の20%以上ある
住宅ローン残高3,000万円に対して600万円以上の貯蓄がある方は、金利上昇時に繰上返済で対応できるため、変動金利のリスクを許容できます。貯蓄が少ない場合は、金利上昇時に対応できず家計が破綻するリスクがあります。
緊急予備資金とは別に、住宅ローン対策用の貯蓄を確保しておくことが重要です。
2. 返済期間が20年以内と短い
返済期間が短ければ、金利上昇の影響を受ける期間も短くなります。15年から20年以内で完済予定の方は、変動金利のメリットを享受しやすくリスクを抑えられます。
35年など長期借入の場合、金利上昇リスクに長期間さらされるため、固定金利またはミックスプランを検討する価値があります。
3. 繰上返済を積極的に行う予定
ボーナスや余剰資金を使って積極的に繰上返済を行う予定の方は、変動金利が適しています。変動金利と固定金利の返済額の差(月2万円程度)を繰上返済に充てれば、年間24万円の追加返済が可能です。
繰上返済により元金を早期に減らせば、金利上昇の影響を最小限に抑えられます。
4. 収入が安定している会社員・公務員
会社員や公務員で収入が安定している方は、金利が多少上昇しても返済を継続できる可能性が高いため、変動金利のリスクを許容しやすくなります。また、万が一の備えとして就業不能保険に加入しておけば、さらに安心です。
自営業やフリーランスなど収入が不安定な方は、固定金利で返済額を確定させた方が安全です。
5. 金利上昇時に返済額増加に耐えられる
金利が1%から2%上昇した場合の返済額増加をシミュレーションし、その増加分を支払える余裕があるかを確認しましょう。月々の返済額が2万円から3万円増えても家計に余裕がある方は、変動金利を選択できます。
ギリギリの返済計画を立てている場合、金利上昇時に家計が破綻するリスクがあります。
変動金利のリスク対策|金利上昇に備える5つの方法
変動金利を選択する場合、金利上昇リスクへの備えが必須です。ここでは、金利上昇時にも安心して返済を続けるための具体的な対策を紹介します。
リスク対策を講じることで、変動金利のメリットを享受しながら安全性を高めることができます。
FPからのアドバイス
変動金利を選ぶ場合は、金利が1%から2%上昇しても返済を続けられるか、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
1. 固定金利との差額を貯蓄・繰上返済に回す
変動金利は固定金利より月々の返済額が2万円程度低くなります。この差額を貯蓄または繰上返済に充てることで、金利上昇時に備えることができます。年間24万円を繰上返済に回せば、10年で240万円の元金削減となり、金利上昇リスクを大幅に軽減できます。
差額を使ってしまわず、計画的に繰上返済することが重要です。
2. 定期的に金利動向をチェックする
変動金利を選択した場合、日本銀行の政策金利や短期プライムレートの動向を定期的にチェックしましょう。金利上昇の兆候が見えたら、固定金利への借り換えや繰上返済を検討するタイミングです。
金融ニュースに関心を持ち、適切なタイミングで行動できるよう準備しておきましょう。
3. 金利上昇時の固定金利への借り換え検討
金利が上昇し始めたら、固定金利への借り換えを検討する価値があります。借り換えには手数料がかかりますが、残高が多く残期間が長い場合、手数料を払っても固定金利に切り替えるメリットがあります。
複数の金融機関で借り換えシミュレーションを行い、最もメリットが大きい選択肢を選びましょう。
4. 就業不能保険で収入減少リスクに備える
病気やケガで働けなくなった場合、住宅ローンの返済が困難になるリスクがあります。就業不能保険に加入しておけば、月々の給付金で住宅ローン返済を継続できます。
特に自営業やフリーランスの方は、傷病手当金がないため就業不能保険の重要性が高くなります。団体信用生命保険に加えて、医療保険や就業不能保険も検討しましょう。
5. ミックスプランでリスク分散
変動金利と固定金利を組み合わせる「ミックスプラン」も選択肢の一つです。例えば、借入額の50%を変動金利、50%を固定金利にすることで、金利上昇リスクを分散しながら低金利のメリットも享受できます。
完全な安全性と最大のメリットを両立したい方に、ミックスプランは有効な選択肢です。
住宅ローン変動金利に関するよくある質問
Q1. 変動金利はやばいですか?やめたほうがいいですか?
A. 一概には言えません。貯蓄が十分にあり金利上昇リスクを許容できる方、繰上返済を積極的に行う予定の方には変動金利は有効です。一方、貯蓄が少ない方や安定志向の方は固定金利が安全です。自分のリスク許容度と家計状況で判断しましょう。
Q2. 変動金利はいつ上がりますか?
A. 正確な予測は困難ですが、日本銀行が政策金利を引き上げれば変動金利も上昇します。2024年現在は低金利が続いていますが、インフレ率の上昇や経済回復により、将来的に金利が上昇する可能性はあります。
Q3. 変動金利で3000万円借りると月々いくらですか?
A. 借入額3,000万円、35年返済、金利0.5%の場合、月々の返済額は約7.7万円です。金利が1.0%になると約8.5万円、2.0%では約10万円となります。金利上昇により返済額が大きく変わる点に注意が必要です。
Q4. 変動金利から固定金利への借り換えはいつすべきですか?
A. 金利上昇の兆候が見えたら借り換えを検討するタイミングです。ただし、借り換えには手数料がかかるため、残高が多く残期間が長い場合に検討する価値があります。複数の金融機関でシミュレーションを行い、メリットを比較しましょう。
Q5. 変動金利で繰上返済するのは有効ですか?
A. はい、非常に有効な戦略です。変動金利は返済額が低いため、固定金利との差額を繰上返済に充てることで元金を早期に減らせます。繰上返済により金利上昇リスクを軽減しながら、総返済額を大幅に削減できます。
FPに聞く!住宅ローン変動金利に関するリアルな疑問
住宅ローンの金利選択について迷っている方が、実際にFPに質問した内容をまとめました。

30代女性
変動金利はやばいと聞きましたが本当ですか?
スマホdeほけん
貯蓄が少ない状態で変動金利を選ぶと、金利上昇時に返済が困難になるリスクがあります。一方、貯蓄が十分にあり繰上返済を行う予定の方には、変動金利は有効な選択肢です。

30代女性
変動金利と固定金利、どちらが得ですか?
スマホdeほけん
金利が低水準で推移すれば変動金利の方が総返済額を数百万円抑えられます。しかし、金利が上昇すれば固定金利の方が有利になります。将来の金利動向は予測困難なため、リスク許容度で判断することが重要です。

30代女性
変動金利で借りる場合、どれくらい貯蓄があれば安心ですか?
スマホdeほけん
目安として、住宅ローン残高の20%程度の貯蓄があると安心です。3,000万円借りている場合、600万円の貯蓄があれば金利上昇時に繰上返済で対応できます。

30代女性
5年ルールと125%ルールがあれば安心ですよね?
スマホdeほけん
急激な増加は抑えられますが、リスクがゼロではありません。金利が大幅に上昇すると未払利息が発生する可能性があります。また、5年後には返済額が増加するため、長期的な備えが必要です。

30代女性
変動金利で借りた後、固定金利に借り換えることはできますか?
スマホdeほけん
はい、可能です。金利上昇の兆候が見えたら、固定金利への借り換えを検討する価値があります。ただし、手数料がかかるため、手数料と金利メリットを比較して判断しましょう。

30代女性
住宅ローンを組む際、保険にも入るべきですか?

30代女性
ミックスプランとは何ですか?メリットはありますか?
スマホdeほけん
ミックスプランは変動金利と固定金利を組み合わせる方法です。例えば半分ずつにすることで、金利上昇リスクを分散しながら低金利のメリットも享受できます。完全な安全性と最大のメリットを両立したい方におすすめです。
まとめ:変動金利は条件を満たせば有効|リスク対策が必須
住宅ローン変動金利は、固定金利と比べて約1%低い金利が魅力で、低金利が続けば総返済額を数百万円削減できる可能性があります。約73%の人が変動金利を選択している理由は、この明確なメリットにあります。しかし、金利上昇により返済額が増加するリスクがあり、5年ルールや125%ルールがあっても未払利息が発生する可能性があります。
変動金利を安全に選べるのは、貯蓄がローン残高の20%以上ある方、返済期間が20年以内の方、繰上返済を積極的に行う予定の方です。逆に、貯蓄が少ない方、長期借入の方、安定志向の方は固定金利またはミックスプランを検討すべきです。変動金利を選ぶ場合は、金利動向のチェック、繰上返済の計画、そして就業不能保険などで万が一の備えを整え、総合的なリスク対策を講じることが重要です。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
変動金利を選ぶ方の多くが金利上昇リスクを軽視している印象があります。確かに現在の低金利環境では変動金利が有利ですが、過去には変動金利が8%を超えた時期もあり、将来的に金利が上昇する可能性はゼロではありません。変動金利を選ぶ場合は、金利が1%から2%上昇しても返済を続けられるか、事前にシミュレーションしておくことが重要です。
また、変動金利と固定金利の返済額の差を貯蓄や繰上返済に回すという戦略は非常に有効です。金利上昇リスクを軽減しながら、低金利のメリットを享受できます。住宅ローンは長期にわたる大きな負担であり、金利タイプの選択は慎重に行うべきです。自分のリスク許容度、家計状況、ライフプランを総合的に考慮し、必要に応じて保険による備えも整えながら、無理のない返済計画を立てることをおすすめします。迷った場合は、ミックスプランでリスクを分散する選択肢も検討してください。