スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
住宅ローンの固定金利が再び引き上げられるという報道を受け、「今後さらに金利は上がるのか」「住宅購入や借り換えは見送るべきか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
とくに今回の動きは一時的なものではなく、日本の金利環境そのものが転換期に入った可能性を示しています。
本記事では、朝日新聞の報道内容を整理したうえで、日本銀行や国土交通省などの公的データを交えながら、住宅ローン金利上昇が家計に与える影響をFPの立場から専門的に解説します。
住宅ローン固定金利はなぜ引き上げられているのか
今回の固定金利引き上げの最大の要因は、長期金利の上昇です。
住宅ローンの10年固定金利は、日本国債(10年物)の利回りを基準として設定されるため、金融市場の動向がほぼ直接反映されます。
日本銀行が公表している統計によると、10年国債利回りは2020年ごろまで0%前後で推移していましたが、2024年以降は1%近辺まで上昇する局面が見られています。
この長期金利の上昇が、各銀行の固定金利引き上げにつながっています。
10年固定金利は過去20年でどの水準にあるのか
朝日新聞の報道によると、3メガバンクの10年固定住宅ローン金利は、基準金利で5%台、最優遇金利でも2%台後半に達しています。
これは、さかのぼれる2006年以降で最も高い水準であり、「低金利が前提だった住宅ローン環境」が明確に変わりつつあることを示しています。
FPの視点では、この水準を「高すぎる」と見るかどうかよりも、今後も金利が変動する前提で家計が耐えられるかを重視する必要があります。
金利1%上昇で返済額はどれくらい変わるのか
金利上昇の影響を実感するためには、返済額への影響を具体的な数字で把握することが重要です。
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅ローンの平均借入額は全国でおおむね3,000万〜3,500万円程度とされています。
仮に3,300万円を35年ローンで借りた場合、金利が1%上昇すると、総返済額はおよそ600万〜700万円程度増加します。
固定金利の上昇は、将来の金利変動リスクを回避する代わりに、返済総額が増えることを意味します。
変動金利はなぜ今すぐ上がらないのか
一方で、変動金利は現時点では大きな動きが見られていません。
これは、変動金利が日本銀行の政策金利(短期金利)を基準としているためです。
日本銀行は2024年にマイナス金利政策を解除しましたが、政策金利は依然として0%台前半にとどまっています。
ただし、日本銀行は金融政策決定会合において、賃金と物価の動向次第で追加利上げを検討する姿勢を示しています。
FPの立場では、変動金利について「上がらない」のではなく「時間差で上がる可能性が高い」と考えるのが現実的です。
住宅ローン選択で重視すべきFP的判断軸
固定か変動かを選ぶ際に重要なのは、金利予測よりも家計の耐久力です。
総務省の家計調査によると、勤労世帯の平均可処分所得は月約50万円前後で、住居費の平均負担割合は20%台とされています。
FP実務では、金利上昇後も住宅ローン返済額が可処分所得の30%以内に収まるかが、一つの安全ラインとされています。
FPに聞く!金利上昇時代の住宅ローン判断
金利上昇局面では、住宅ローンに関する相談内容も大きく変化しています。
FPの立場から、実務的な考え方を整理します。

30代男性
固定金利がここまで上がると、住宅購入自体を見送るべきでしょうか?
スマホdeほけん
購入を見送るかどうかは、金利水準そのものよりも、借入額と家計の余力によって判断すべきです。
国土交通省の住宅市場動向調査を見ると、近年は借入額を抑えて購入する世帯も増えており、金利上昇局面でも対応の余地は残されています。

30代男性
「金利が高い時に買うと損をする」という考え方は正しいのでしょうか?
スマホdeほけん
必ずしも正しいとは言えません。
金利だけで判断すると、住居費として支払う家賃や、購入時期を遅らせることで生じる別のコストを見落としがちになります。
重要なのは、購入後の住宅費が家計全体の中で無理なく回るかどうかです。

30代男性
変動金利を選ぶのは、今の状況では危険でしょうか?
スマホdeほけん
一概に危険とは言えませんが、前提条件を厳しく考える必要があります。
具体的には、将来1〜2%金利が上昇した場合の返済額を必ず試算し、その水準でも生活費や貯蓄を維持できるかを確認することが不可欠です。

30代男性
将来の金利上昇は、どの程度まで想定しておくべきですか?
スマホdeほけん
日本銀行の金融政策を見る限り、急激な上昇は想定しにくいものの、ゼロ近辺に戻る可能性は低いと考えられます。
FP実務では、少なくとも現在より1〜2%高い水準を想定したシミュレーションを行うことが一般的です。

30代男性
固定金利を選ぶメリットは、今の金利水準でもありますか?
スマホdeほけん
あります。
固定金利の最大のメリットは、返済額が確定することで、将来の家計設計が立てやすくなる点です。
教育費や老後資金など、他の長期支出と並行して考える場合、金利変動リスクを排除できる意義は依然として大きいです。

30代男性
住宅ローンの返済額は、家計の中でどのくらいが安全圏なのでしょうか?
スマホdeほけん
総務省の家計調査などを踏まえると、可処分所得の25%以内、上限でも30%以内に収める設計が望ましいとされています。
金利上昇後もこの水準を超えないかどうかが、一つの判断基準になります。

30代男性
すでに変動金利で借りている人は、今後どう考えるべきでしょうか?
スマホdeほけん
まずは、自分のローン残高と返済期間で金利が上がった場合の影響を数値で把握することが重要です。
そのうえで、家計に余裕がない場合は、固定金利への借り換えや繰り上げ返済を検討する余地があります。

30代男性
今後、住宅ローン利用者が最も意識すべき点は何ですか?
スマホdeほけん
「今の返済額」ではなく、「将来の最大返済額」を基準に家計を考えることです。
金利のある時代では、楽観的な前提ではなく、少し厳しめの想定で設計することが長期的な安心につながります。
まとめ:住宅ローン金利上昇時代は家計設計がすべて
住宅ローン固定金利の引き上げは、日本が本格的に「金利のある世界」に戻りつつあることを示しています。
金利が低いか高いかではなく、家計が変動に耐えられる設計かどうかが、これからの住宅ローン選択で最も重要な視点になります。
不安がある場合は、借入額・金利タイプ・将来収支を整理したうえで、専門家に相談することも有効です。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
今回の固定金利引き上げは、短期的なニュースではなく、日本の金融環境が構造的に変化している兆候といえます。
日本銀行や総務省、国土交通省の公的データを見ても、住宅ローンは「低金利前提」で考える時代を終えつつあります。
FPとしては、金利タイプの選択以上に、無理のない借入額設定と、将来の金利上昇を織り込んだ家計設計を重視することが、長期的な安心につながると考えています。