

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「振替加算って自分は対象?いくらもらえる?」と不安な方へ。振替加算は加給年金が打ち切られた後に、一定の生年月日と加入要件を満たす配偶者の老齢基礎年金へ上乗せされる仕組みです。
本記事では、対象者の早見表、年齢別の受給額、停止・繰上げ・繰下げとの関係、具体的な手続きの流れまで、家計目線で分かりやすく整理します。
振替加算の基礎|まず押さえる「対象・趣旨・受け取り方」
振替加算は、国民年金が任意加入だった時代の救済の側面を持つ制度で、加給年金の対象配偶者が65歳到達後に老齢基礎年金へ振り替えて上乗せ支給されます。
生年月日や厚生年金の加入月数など複数の要件を同時に満たす必要があり、該当しない世代には適用されません。
1. 誰が対象か(生年月日の要件)
対象は原則、大正15年4月2日~昭和41年4月1日生まれの配偶者です。56歳未満(2022年時点)の世代は対象外です。
任意加入期の不足救済という趣旨のため、現行制度下のみで保険料を納めた若年世代には適用されません。
2. 加入期間の要件(20年以上/未満)
加算の前提となる加給年金は、主たる生計維持者(夫・妻どちらでも可)が厚生年金通算240か月(20年)以上加入していることが条件です。
一方、配偶者側は厚生年金・共済の加入期間が20年未満であることが必要です。月数は合算・端数切り落としに注意します。
3. 金額はいくらか(年齢別一覧)
配偶者の生年月日により年額が決まります。年長世代ほど金額は大きく、最大は年223,800円(月18,650円)です。
該当生年ごとの具体額は後段の早見表で確認し、老後資金計画に反映しましょう。
4. いつまで・停止事由
原則は終身支給ですが、配偶者が障害基礎年金・障害厚生年金の受給権を得た場合などは停止されます。
停止要件は限定的ですが、状況変化時は必ず記録と通知を確認しましょう。
5. 繰上げ・繰下げとの関係
繰上げでも振替加算額は減額されず、繰下げでも増額はされません。支給開始は原則65歳到達時点(繰下げ時は受給開始時)に合わせます。
繰下げで年金増額を狙う際は、振替加算の受給期間短縮とのトレードオフを試算しましょう。
注意ポイント
要件は「生年月日・主たる生計維持者の厚年20年以上・配偶者の厚年20年未満」の3本柱。いずれか欠けると対象外です。
加給年金→振替加算の流れ|いつ・どう切り替わる?
主たる生計維持者の加給年金は、配偶者が65歳になると停止し、その時点から配偶者の老齢基礎年金へ振替加算が上乗せされます。
原則手続き不要ですが、例外(後述)に該当する場合は届出が必要です。誕生月前後の年金振込額に変化が出るため確認しましょう。
1. 65歳到達後に厚年240か月へ到達
主たる生計維持者が65歳以降に退職等で通算240か月に到達した場合は、到達時点に応じて支給開始時期が変わります。
「到達のタイミング別」開始日の考え方は年金機構の案内に沿って確認しましょう。
2. 中高齢の特例に該当
主たる生計維持者が40歳以降の厚生年金加入が一定年数以上あれば、特例により対象となることがあります。
生年月日別の必要月数を満たすかどうかを一覧でチェックしましょう。
3. 障害年金の新規認定
配偶者が障害基礎・障害厚生の受給権を得ると、振替加算は原則停止となります。
認定通知の受領後は、支給調整の有無を必ず確認しましょう。
4. 離婚・死亡など続柄変更
生計維持関係の変更は支給要件に影響する可能性があります。戸籍・住民票等の更新と併せて届出の要否を確認しましょう。
未届は後日の過払・返還の原因になります。
5. 受給権者の住所・氏名変更
年金記録と相違があると支給に支障が出ます。マイナンバー連携でも、変更の都度の届出が安全です。
通知書の宛先不達も避けられます。
年齢別の受給額早見表|いくらもらえる?
以下は代表的な生年月日帯ごとの年額・月額イメージです(制度の趣旨説明に基づく目安)。年長帯は配偶者加給年金額と同額の223,800円、若年帯ほど減額されます。
老後資金のシミュレーションでは、年額ベースで生活費に組み入れると把握しやすくなります。
生年月日帯(配偶者) | 年額(目安) | 注意点 |
---|---|---|
~昭和2年4月1日 | 223,800円(18,650円/月) | 配偶者加給年金額と同額 |
昭和5年前後 | 約205,896円 | 年齢が若いほど段階的に減額 |
昭和10年前後 | 約170,088円 | 年間差は数千~1万円程度で推移 |
昭和20年前後 | 約116,376円 | 受給有無と金額は要件充足が前提 |
昭和30年前後 | 約50,803円 | 該当生年であることを確認 |
昭和41年4月2日以降 | 給付なし | 対象外世代 |
繰上げ・繰下げ・停止の取り扱い|よくある勘違いを整理
繰上げは老齢年金本体が減額されても、振替加算の金額は減りません。繰下げは老齢年金が増えても、振替加算は増えません。
障害年金の受給権取得で停止となる点は見落としがちです。家計設計では複数のケースを試算し、最適解を選びましょう。
家計設計のコツ
振替加算は「固定の上乗せ」と捉え、生活固定費の一部に充当。変動費は別途クッション資金で吸収する設計が安定します。
インタビュー|FPに聞く「振替加算」ここが不安・ここで差がつく
制度は分かりづらいもの。読者代表(34歳女性)がFPに率直な疑問をぶつけました。

34歳・女性
私は対象外世代ですが、親の家計ではどこを見ればいい?
スマホdeほけん
まず生年月日と加入月数が要件を満たすか。次に金額の把握と、停止要件(障害年金)を確認し、生活費と介護費の計画に反映します。


34歳・女性
繰上げや繰下げとどちらが得か迷います。
スマホdeほけん
振替加算は増減しないので、老齢年金本体の増減・受給期間・寿命仮定で複数パターンを比較。損益分岐年齢の試算が有効です。


34歳・女性
手続きは本当に不要?
スマホdeほけん
原則自動ですが、例外(65歳到達後の240か月到達や中高齢の特例等)は届出が必要。通知書類は必ず保管してください。


34歳・女性
家計としては何に注意?
スマホdeほけん
上乗せ分を固定費に回しすぎず、医療・介護の変動費に余力を残すこと。保険や就業不能リスクも併せて点検しましょう。


34歳・女性
親が対象か分からない時は?
スマホdeほけん
年金定期便・加入記録で確認し、分からなければ年金事務所か専門家に相談を。要件の見落としが最も多いです。

Q&A|振替加算のよくある疑問
誤解の多いポイントを、やさしく解消します。各項目は該当者のチェックにも使えます。
Q1. 自分が対象かどうか一番早く知る方法は?
A. 生年月日の要件を満たすかを最初に確認し、次に主たる生計維持者の厚生年金通算240か月と、配偶者の20年未満要件をチェックします。
年金定期便・加入記録・配偶者の記録を突き合わせると判断が早いです。
Q2. 受給額は毎年変わるの?
A. 生年月日に応じた基準で決まり、物価・賃金改定等の影響を受ける場合があります。個別の改定は通知で確認しましょう。
家計シミュレーションは保守的に見積もると安全です。
Q3. 配偶者の障害年金受給で必ず停止?
A. 原則停止ですが、具体の組み合わせで扱いが異なることがあります。受給権取得時は必ず年金事務所に確認してください。
放置すると過払・返還のリスクがあります。
Q4. 繰上げ受給をしたら損になりますか?
A. 振替加算額自体は減りません。老齢年金の減額と受給期間の延伸との損益分岐年齢を比較して判断しましょう。
健康状態・寿命仮定・貯蓄残高で最適解は変わります。
Q5. 申請し忘れるとどうなる?
A. 原則自動ですが、例外ケースは請求しないと反映されないことがあります。該当が疑われる場合は早めに照会しましょう。
必要書類(本人確認・年金手帳等)はあらかじめ整理しておくと安心です。
まとめ|振替加算は「要件×金額×手続き」を整理すれば怖くない
振替加算は、該当世代の老後を下支えする上乗せ制度です。生年月日・加入月数の3要件を満たすかを最初に確認し、年齢帯ごとの年額で生活設計へ落とし込みましょう。
停止・繰上げ・繰下げの取扱いも把握すれば、損得の判断がシンプルになります。迷う場合は専門家へ相談し、家計全体で最適解を選びましょう。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
振替加算は、加給年金→配偶者の老齢基礎年金への上乗せという「受け皿の移行」を理解すると全体像が掴めます。判断の鍵は、生年月日帯・厚生年金加入月数・停止事由の3点。繰上げ・繰下げは振替加算額に影響しない一方、受給期間は変わるため、損益分岐の試算が不可欠です。
実務では通知書の保管・記録照合の徹底が重要です。適用の見落としや届出遅れは過不足の原因となるため、疑義は年金事務所や専門家へ早めに確認しましょう。