

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
離婚が決まると住宅ローンと名義の扱いが最大の課題になります。借り換えで名義変更を実現する手順と審査の見通しを整理し、迷いなく進められるよう要点を網羅します。
本記事はFP視点で、条件・必要書類・費用・家計影響までを解説。老後資金や資産形成と両立しつつ、トラブルを避ける現実解を提示します。
まず結論:借り換えで名義変更は「可能」だが条件次第
結論から言うと、住宅ローンは契約途中の単純な名義変更が難しい一方、借り換えで実質的な名義切替は可能です。新ローンで単独名義になり、旧ローンを完済します。
ただし審査や所有権移転などの条件を満たす必要があります。費用や手間も伴うため、総額での損益と家計への影響を同時に検討しましょう。
名義変更の可否チェック(先に押さえる5項目)
1. 所有権を新名義へ移せるか
借り換えで名義変更する前提として、物件の所有権を借り換えする人の単独名義に整える必要があります。共有名義のままでは認められないのが一般的です。
名義移転に伴う登録免許税や司法書士費用も見積もりに含め、資金繰りを設計しましょう。
2. 実際の居住要件を満たすか
自ら居住する住宅であることが条件となるケースが大半です。賃貸化や別居中だと審査が厳しくなる可能性があります。
元配偶者の居住継続を希望する場合は、事前に金融機関へ相談し、可否と条件を確認してください。
3. 収入・返済負担率・信用情報が適合するか
年収、他債務、勤続年数、過去の延滞、団信加入可否が重要です。返済負担率の基準に収まるかを事前に試算しましょう。
単独収入での審査に不安がある場合、返済期間や金利タイプの見直しで適合させる方法もあります。
4. 離婚協議書など根拠資料が準備できるか
財産分与や住宅の扱いを明記した離婚協議書のコピー提出を求められることがあります。合意の明確化が審査の前提です。
条項が金融機関の担保権に不利な場合、借り換えが認められないこともあります。
5. 旧ローンの連帯関係を解消できるか
借り換えで旧ローンを完済し、連帯保証人・連帯債務者の責任を外します。信用情報上のリスク低減に直結します。
完済手続きと同日に抵当権の抹消・新設定が並行するため、スケジュール管理が重要です。
注意ポイント
返金や分与の入金時期と諸費用の支払時期はズレます。短期の資金繰りを別枠で確保し、家計に影響が出ないよう設計しましょう。
メリットの具体像:家計と法的リスクの両面を軽くする
離婚時の借り換えは、単なる名義変更に留まりません。家計の固定費削減や法的責任の整理につながる可能性があります。
一方でメリットの大きさは人により異なります。試算で定量評価し、意思決定の材料にしましょう。
1. 住宅ローンの名義変更を実現
単独名義で再契約することで、住み続ける権利と返済責任が一致します。トラブルの芽を早期に摘み取れます。
固定資産税や火災保険の名義もそろえて、管理体制を一本化しましょう。
2. 連帯保証・連帯債務の解消
旧ローンの連帯関係を外せば、相手の返済状況に左右されません。将来の住宅取得やカード審査にも好影響です。
信用情報の独立は、再スタートの重要基盤になります。
3. 返済条件の改善余地
低金利や期間再設計で総返済額を圧縮できる可能性があります。固定化で金利上昇リスクを抑える選択も有効です。
浮いたキャッシュは教育費や老後資金へ優先配分しましょう。
デメリット・リスク:費用と審査、スケジュールの壁
借り換えは費用が発生し、審査に通らなければ成立しません。時間軸の管理を誤ると、生活への影響も出ます。
代表的なリスクを理解し、回避策をあらかじめ講じましょう。
1. 諸費用の負担
融資手数料・登記費用・印紙税・保証料などがかかります。総額は条件次第で数十万円規模になることもあります。
費用は見積りを集約し、損益分岐で判断してください。
2. 既存ローン完済の手数料
全額繰上げ返済手数料や抵当権抹消費用が必要です。旧・新ローンの実行日をそろえ、資金決済の齟齬を避けましょう。
完済証明と登記書類の遅延は全体工程を止めるため、事前準備が肝要です。
手続きフロー:比較→審査→契約を一気通貫で管理
行程を分解して管理すると、漏れや遅延を防げます。各ステップの所要や必要書類を一覧化し、カレンダーに落とし込みましょう。
候補行の仮審査は同時並行が有効です。否決時のリードタイム短縮に役立ちます。
実務フロー(チェックリスト付き)
1. 借り換え先の比較・絞り込み
金利・手数料・団信・繰上げ条件を横断比較します。総返済額と初期費用の両面で可否を評価しましょう。
申込条件とあなたの属性が適合しているかも必ず確認してください。
2. 仮審査:必要書類と申込
本人確認、収入証明、物件資料、離婚協議書の写し等を準備します。複数行を同時に出すとスピード感が出ます。
他債務や延滞情報は正確に申告し、審査落ちのリスクを抑えましょう。
3. 本審査:返済負担率・団信
仮審査より厳密に、年収・勤続・健康状態・返済履歴が確認されます。団体信用生命の告知は誠実に行ってください。
否決に備えた第二候補の確保も並行しておくと安心です。
4. 契約:金銭消費貸借・担保設定
契約内容、金利タイプ、返済方法、繰上げ条件、諸費用の最終確認を行います。疑問点は必ず契約前に解消しましょう。
固定・変動の選択は家計の耐性とライフプランに基づきます。
5. 実行:旧ローン完済と名義整備
新ローン実行と同日に旧ローンの完済を行い、抵当権の抹消・新設定を完了させます。関係者のスケジュール調整が重要です。
住民票や登記事項証明書の更新漏れがないかもチェックしてください。
実務メモ
住所・氏名変更の公的書類は早めに整えましょう。通帳名義と書類の相違は手続き遅延の典型要因です。
費用と損益分岐:数字で判断するための要点
借り換えの是非は総額で判断します。費用の抜け漏れは誤った結論を導きます。
次の表で代表費目の特徴を確認し、あなたの見積書に転記してください。
特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
融資手数料(定額/定率) | 定額は予算化しやすい | 定率は高額化しやすい |
保証料(外枠/内枠) | 外枠は返金余地あり | 内枠は返金期待が薄い |
登記・司法書士費用 | 専門家依頼で確実 | 実費込みで高く見える |
損益=新ローン総返済+諸費用−旧ローン残利息削減−返金等で比較します。家計キャッシュのタイミングも合わせて検討しましょう。
家計・資産形成に効かせる:保障と運用のリバランス
離婚後は収支構造が変わります。住宅ローンの見直しと同時に、生活防衛資金や保障の最適化が不可欠です。
新NISAやiDeCoに加え、変額保険を活用して保障と資産形成を一体設計する選択肢もあります。コストとリスクを理解し、分散の一部として検討しましょう。
FPに聞く!傷病手当金・家計・就業不能保険のリアル
離婚後は働けないリスクにも敏感になる時期です。制度と保険の基礎を、読者目線の疑問で確認しました。

34歳・女性
傷病手当金はどのくらいもらえて、期間はどれくらいですか?
スマホdeほけん
支給額は標準報酬月額の約3分の2で、最長は通算1年6か月です。復職や休職を挟んでも通算でカウントされる点を押さえましょう。


34歳・女性
住宅ローン返済は傷病手当金で足りますか?
スマホdeほけん
手取りより少なくなるため不足が出やすいです。就業不能保険や生活防衛資金で補完し、固定費の圧縮も同時に進めましょう。


34歳・女性
就業不能保険を選ぶコツは?
スマホdeほけん
免責期間・支給期間・精神疾患の補償範囲を確認しましょう。住宅ローン残高と生活費から必要給付額を逆算します。


34歳・女性
離婚直後の家計設計で最優先は何ですか?
スマホdeほけん
まず予備費3〜6か月を確保し、次に保障と積立のバランスを整えます。借り換え効果は長期計画とセットで評価しましょう。


34歳・女性
名義変更と家計見直し、どちらを先に?
スマホdeほけん
同時並行が理想です。手続き待ち時間に見積りとシミュレーションを固めれば、全体の遅延を防げます。

Q&A:離婚時の借り換え・名義変更の疑問
Q1. 離婚時、借り換えで必ず名義変更できますか?
A. 可能ですが条件次第です。所有権の単独化・居住要件・審査適合が要件となります。否決リスクに備え第二候補も準備しましょう。
離婚協議書の内容が担保権に不利だと断られることがあります。
Q2. 連帯保証・連帯債務は必ず外せますか?
A. 旧ローン完済で解消できます。新ローンの契約が成立しない限り連帯関係は残るため、スケジュールを厳密に組んでください。
完済証明と抵当権抹消の手続きも同日に進めるのが理想です。
Q3. 諸費用はどのくらい見ておけば良いですか?
A. 条件により幅がありますが、数十万円規模を見込むケースが一般的です。定率の融資手数料は特に高額化しやすい点に注意。
見積りは一枚に集約し、上振れ余地を持たせて資金繰りを設計しましょう。
Q4. 返済が厳しいときの代替策は?
A. 期間延長・元金据置・一部繰上げなど、借り換え以外の調整もあります。金融機関へ早めに相談すると選択肢が広がります。
家計の固定費見直しと併せて実施すると効果が高まります。
Q5. 子どもの居住や面会への配慮はどうすべき?
A. 住宅の利用方針は離婚協議書に明記し、居住継続と費用負担のルールを合意しておきましょう。金融機関への説明にも役立ちます。
登記や保険の名義も合わせて整備すると後々のトラブルを防げます。
まとめ:名義変更は「条件×費用×家計」で総合判断を
借り換えで名義変更は可能ですが、カギは条件適合と費用対効果です。審査・所有権・居住要件を満たし、損益とキャッシュのタイミングを押さえましょう。
迷うときは第三者の視点で比較表を作成し、家計と老後資金の両立を前提に意思決定するのが最短ルートです。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
離婚時の名義変更は、借り換えによる実質切替が現実的です。所有権の単独化、居住要件、審査適合の3点を軸に、費用とスケジュールを綿密に設計してください。特に登記・司法書士関連の実費と、定率の融資手数料は見落とされがちです。返済条件の改善効果を定量化し、固定費の削減分を教育費や老後資金に振り向ける運用設計まで踏み込むと、家計の安定度が高まります。判断に迷う場合は、複数行の見積りと返済シミュレーションを並べて比較するのが最も効率的です。