スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「糖尿病だと保険に入れない?」と不安を抱く方は多いですが、結論は条件次第で加入可能です。通常加入・引受基準緩和型・特定疾病に配慮した設計まで、選択肢は拡大しています。
本記事は、加入可否の目安、告知のポイント、費用対効果の高い設計、利用できる公的制度を網羅。家計や老後資金、資産形成(変額保険など)との整合までをわかりやすく解説します。
結論|糖尿病でも加入余地はある。告知を正しく、比較と設計でムダを削減
糖尿病はリスクが高まるため審査は厳格ですが、数値・治療状況・合併症の有無次第で通常型の可能性もあります。難しい場合でも、引受基準緩和型や疾病配慮型でカバーできます。
大切なのは、必要保障を明確化して重複を避けること。家計のキャッシュフローと老後資金計画を損なわず、最小コストで安心を確保しましょう。
まずは加入判断の地図を確認してください。
1. 通常加入を狙えるケースの目安
直近のHbA1cがおおむね良好域、通院コントロールが安定、合併症なし・初診からの経過が長い、などは前向きに評価されやすい傾向です。
服薬状況や体重・生活習慣の改善もプラス材料になります。証跡(検査結果)を整理しましょう。
2. 引受基準緩和型で通しやすいケース
通常審査が難しい場合でも、告知項目が少ない緩和型なら加入余地があります。持病部位に一部条件(部位不担保等)が付く設計も選択肢です。
保険料は上がりやすいため、必要保障を絞って費用対効果を高めましょう。
3. 無選択型を検討すべきケース
告知が困難・直近入院や重い合併症があるなど、他が不可のときの最終選択肢です。保険料高め・保障限定のため短期的なつなぎ利用が現実的です。
一定期間経過後に再審査し、より好条件へ乗り換える前提で設計します。
4. 告知・診断書で注意すべき点
告知義務違反は重大です。数値や治療歴、合併症の有無は正確に開示しましょう。「軽いから省略」は危険です。
診断書の期間・検査項目の指定など、事前に必要書類を把握しておきます。
5. 家計・老後資金との整合方法
保障は目的別に分けるのが基本です。短期の医療費は保険と現金クッション、長期の資産形成は変額保険・つみたて投資などで維持します。
医療費で長期資産を崩さない設計が全体最適に直結します。
注意ポイント
糖尿病を隠して加入することは告知義務違反です。将来の給付否認・契約解除につながるため、正しい手続きを徹底しましょう。
加入条件の基礎|通常・緩和・無選択の違い
加入ハードルは商品群で大きく異なります。ここでは一般的な特徴を整理し、比較の視点を提供します。
具体的な基準は保険会社・商品で異なるため、個別確認が不可欠です。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常型(標準) | 保険料が割安、保障が広く設計自由度が高い | 数値・合併症次第で不可、部位不担保が付く場合あり |
| 引受基準緩和型 | 持病があっても加入しやすい | 保険料高め・給付削減や待機期間など条件が付く |
| 無選択型 | 告知なしで契約しやすい | 保険料が最も高く、初期免責や給付制限が重い |
設計の実務|保障を絞り、重複をなくす
糖尿病の方は、入院・手術・先進医療・就業不能の4点を軸に、二段構えで備えるのが実務的です。重複は家計効率を下げます。
以下のナビに沿って、無駄のない設計を作りましょう。
設計ステップ(過不足のない保障)
1. 必要保障の棚卸し(入院・手術・通院・一時金)
短期入院・通院の実費は一時金で、長期入院は日額で手当てする発想が有効です。糖尿病性合併症も視野に入れ、保障を重ねます。
入院一時金+日額のハイブリッドは、費用対効果が高くなりやすい設計です。
2. 就業不能と収入補填(傷病手当金の有無)
会社員は傷病手当金で一定の補填がありますが、自営業はゼロです。就業不能保険の月額と期間を家計に合わせて設定します。
家計表に反映し、生活防衛資金を温存する形を優先します。
3. 先進医療・差額ベッドなど保険外費用
高額療養費の対象外費用は要注意です。先進医療特約や一時金で、思わぬ持ち出しを抑える設計にしておきます。
遠方受診なら交通・宿泊も見積もりましょう。
4. 保険料の上限(家計・老後資金と整合)
保険料は手取りの目安10%以内に収め、将来の掛け過ぎを防止。変額保険やiDeCoなどの資産形成枠を維持できる水準に設計します。
保障は必要最小限、資産形成は長期で最大化が基本です。
5. 見直し計画(数値改善後の乗換)
緩和型でスタートしても、HbA1cや合併症リスクが改善したら標準型へ乗換を検討。定期点検の時期をカレンダー化しましょう。
見直しでトータル保険料を圧縮できます。
ここが核心
最初から完璧を目指さず、今の体況で通る最小限→数値改善後に最適化、の二段構えが現実的です。
公的制度の基礎|高額療養費・医療費控除・障害年金
民間保険の前に、公的制度を最大限活用しましょう。自己負担の天井と税制メリット、万一の所得補償を押さえます。
制度は変更され得るため、最新情報を所管で必ず確認してください。
1. 高額療養費制度
月ごとの自己負担が所得区分ごとの上限を超えた分が払い戻し対象です。限度額適用認定証で窓口支払いの立替負担を抑制します。
差額ベッド・食事・交通などは対象外のため、別途備えが必要です。
2. 医療費控除
年間一定額を超える医療費は確定申告で所得控除の対象です。領収書・交通費メモを保管し、翌年の税負担を軽減します。
短期資金にはならない点は留意しましょう。
3. 障害年金(該当時)
糖尿病性腎症・網膜症などの障害等級該当で、障害年金の対象になり得ます。初診日の保険加入状況や認定基準の確認が重要です。
民間の就業不能給付と併用し、所得の谷を浅くします。
糖尿病の基礎知識|タイプ・症状・入院の実務
糖尿病は、インスリンの作用不足で高血糖が続く病気です。大別して1型と2型があり、妊娠糖尿病や二次性糖尿病も存在します。
初期は自覚が乏しいことも多いため、健診の数値を定点観測し、早期介入と生活改善を継続しましょう。
1. 主な症状と合併症
多尿・口渇・体重減少・倦怠感などが代表的です。進行すると網膜症・腎症・神経障害、さらには脳卒中・心疾患リスクが高まります。
治療の継続と生活習慣の見直しが、長期合併症の抑制に直結します。
2. 入院の目安と期間
教育入院は1~2週間が一般的で、合併症治療では長期化する場合があります。期間の不確実性に備え、保険と現金の二本立てが現実的です。
差額ベッドや家族の交通費など、保険外費用の見積もりも忘れずに。
よくある間違い|告知・重複・資産取り崩し
加入・見直しで起こりやすい誤りを事前に回避しましょう。小さな判断が将来の給付可否や家計の持続性を左右します。
次の落とし穴に要注意です。
1. 告知を軽視する
通院歴・数値・治療内容の省略はリスクです。後の給付否認・契約解除を招きます。正確な開示と書類準備を徹底しましょう。
担当FPと約款の解釈も合わせて確認してください。
2. 保障の重複で保険料が肥大化
がん・医療・団体保障の重複はムダの温床です。役割を分けて最小限に重ねる設計でコスパを高めます。
見直し時は解約控除や更新時の条件も確認しましょう。
3. 医療費で長期資産を取り崩す
相場下落時に変額保険や長期投資を解約すると損失が拡大します。短期資金は保険・現金、長期資産は維持が原則です。
家計の安全余裕資金を別枠でキープしましょう。
FPに聞く!糖尿病と保険のリアルな疑問(インタビュー)

読者の悩みにFPが簡潔・具体に回答します。家計・就業不能・告知・制度活用まで、実務目線で整理しました。
34歳・女性
通常加入と引受基準緩和型、どちらを優先すべき?
スマホdeほけん
通る可能性があるなら通常型を最優先に。難しければ、緩和型で必要最小限に絞り、数値改善後に標準へ乗換える作戦が現実的です。
34歳・女性
家計がきついです。どこから整えれば?
スマホdeほけん
まず公的制度(高額療養費・医療費控除)を最大化。次に就業不能の月額を確保し、医療は一時金+日額の最小構成で重複を排除します。
34歳・女性
告知で迷ったらどうすれば?
スマホdeほけん
軽微でも開示が基本です。検査結果・服薬歴・初診日を整理。解釈に迷う部分はFP経由で事前照会し、誤解を防ぎましょう。
34歳・女性
変額保険は解約して医療費に充てるべき?
スマホdeほけん
原則NGです。解約控除や相場で不利になりがち。医療費は特約と現金で、資産形成は長期で守ると全体効率が上がります。
34歳・女性
遠方の専門病院に通います。費用対策は?
スマホdeほけん
先進医療特約や入院一時金で保険外費用をカバー。交通費・宿泊費の家計予算も確保し、領収書管理で医療費控除を活用します。
よくあるQ&A

Q1. 糖尿病でも保険はおりますか?
A. 加入済み契約の条件に従い支払われる可能性があります。部位不担保や免責により制限されることもあるため、約款と告知内容を確認しましょう。
不明点は保険会社へ照会し、書面で回答を保管するのが安心です。
Q2. 生命保険に入りにくいのはなぜ?
A. 入院・手術・死亡リスクや合併症の増加が理由です。心・脳・腎のイベントは特に審査で重視されます。
コントロール状況や生活改善は前向き材料になります。
Q3. 安い保険はありますか?
A. ありますが、安さだけで選ぶと保障が不足します。必要保障を絞り、複数社比較でコスパの良い選択にしましょう。
緩和型でも条件差が大きいため、商品横断の比較が必須です。
Q4. 加入後に糖尿病になったら?
A. 契約どおりに入院給付・就業不能・一時金等の対象になり得ます。高度障害に該当する事象では保険金対象の可能性もあります。
給付手続きは診断書や領収書を整えて迅速に行いましょう。
Q5. どのタイミングで見直すべき?
A. 数値や治療方針が変わった時、昇給・転職・住宅購入など家計イベント時、更新や保険料改定時が好機です。
年1回の定期点検を習慣化すると、ムダが蓄積しません。
まとめ|今できる最善から。最小構成→改善後に最適化
糖尿病でも保険加入の扉は閉じていません。正しい告知と比較で、必要最小限の保障を低コストで確保するロードマップを踏めば、家計と老後資金を守れます。
公的制度の活用、就業不能の補強、医療のハイブリッド設計、そして数値改善後の乗換――段階的に整える発想が、無理のない最短ルートです。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
糖尿病の加入戦略は、現時点の体況で通る範囲を冷静に見極め、保障の役割分担を明確にすることが肝要です。入院・手術・先進医療の実費と、収入補填(傷病手当金・就業不能)の二層構造で家計の谷を浅くしてください。
資産形成と保障は目的が異なります。変額保険等の長期運用は維持し、医療費は特約と現金クッションで機動的に対応する。数値が改善したら、標準条件への乗換でトータルコストを下げる――この手順が再現性の高い解です。