内縁の妻は相続できる?法律・対策・家計への影響をFPが徹底解説

スマホdeほけん編集部監修者

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生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

長年連れ添ってきたにもかかわらず、「内縁の妻は相続できるのか」と不安を抱える方は少なくありません。

実務の現場では、法律上の配偶者ではないという理由だけで、生活基盤を一気に失いかねないケースに直面することがあります。本記事ではFPの立場から、内縁の妻と相続の基本ルール、現実的な対策、家計や老後資金への影響までを専門的に解説します。

内縁の妻に相続権はあるのか|まず結論を整理

結論から言うと、内縁の妻には法律上の相続権はありません。

婚姻届を提出していない以上、民法上の配偶者には該当しないため、「事実婚」と「法律婚」の違いが、相続では決定的な差になります。

同居期間が長く、夫婦同然の生活を送っていても、法律上の扱いは変わりません。相続人として認められないため、遺産分割協議に参加する権利もなく、住居や生活費が相続人に引き継がれると、住み続けられない場合があります。

ただし、相続権はなくても、財産を受け取る方法が全くないわけではありません。生前の設計が鍵になります。相続発生後にできることは限られているため、事前対策が結果を大きく左右します。

1. 法定相続人ではない

内縁の妻は、民法上の配偶者に該当しません。そのため、相続人として扱われず、法定相続分を主張することはできません。

民法では、配偶者は「法律上の婚姻関係にある者」に限定されており、婚姻届を提出していない内縁関係は含まれません。

2. 遺産分割協議に参加できない

相続人ではないため、遺産分割協議に加わる権利もありません。話し合いの場にすら立てない点が大きな問題になります。

例えば、被相続人の子どもや兄弟姉妹が相続人になる場合、内縁の妻は遺産分割協議に参加できず、住居や生活費の確保を相続人の判断に委ねることになります。

3. 生活保障が不十分

住居や生活費が相続人に引き継がれると、住み続けられない場合があります。生活基盤が不安定になりやすいです。

特に、不動産の名義が被相続人である場合、相続人が売却や立ち退きを要求するケースもあり、内縁の妻は法的に抵抗する手段が限られています。

4. 対策次第で受け取れる場合がある

相続権はなくても、財産を受け取る方法が全くないわけではありません。生前の設計が鍵になります。

遺言書の作成、生命保険の活用、死因贈与契約、特別縁故者の申立て、生前贈与など、複数の対策を組み合わせることで、内縁の妻も財産を受け取ることが可能です。

5. 生前準備の重要性

相続発生後にできることは限られています。事前対策が結果を大きく左右します。

特に、遺言書の作成や生命保険の受取人指定は、被相続人の意思が明確であれば、相続人との争いを避けやすくなります。元気なうちに対策を講じることが重要です。

内縁の妻が直面しやすい相続トラブルの実態

内縁関係の場合、相続が発生すると現実的な問題が一気に表面化します。

FPとしては、感情面と法律面のギャップが最も大きい分野だと感じています。相続人との関係悪化、住居の喪失、生活費不足など、複数の問題が同時に発生するケースが少なくありません。

特に深刻なのは、住居の喪失です。被相続人名義の不動産に同居していた場合、相続人が売却や立ち退きを要求すると、内縁の妻は法的に抵抗する手段が限られています。また、預金口座が凍結されると、生活費の引き出しができなくなり、日常生活が立ち行かなくなるケースもあります。

さらに、相続人との関係が悪化すると、遺品整理や葬儀費用の負担を巡ってトラブルに発展することもあります。内縁の妻は、相続において「守られる立場」ではなく「対策が必要な立場」であることを理解しておく必要があります。

問題点 表面的な状況 注意点
住居の喪失 同居継続が困難 不動産名義の確認が必須
生活費不足 収入源が断たれる 預金引出不可で日常生活に支障
親族トラブル 相続人との関係悪化 交渉権限なく話し合いに参加できない

1. 住居の喪失リスク

被相続人名義の不動産に同居していた場合、相続人が売却や立ち退きを要求すると、内縁の妻は法的に抵抗する手段が限られています。

特に、相続人が複数いる場合、遺産分割協議で不動産の処分方針が決まるため、内縁の妻の意向は反映されにくいです。

2. 預金口座の凍結

被相続人の死亡が確認されると、金融機関は預金口座を凍結します。内縁の妻は相続人ではないため、預金を引き出すことができず、日常生活に支障をきたします。

生活費の確保が困難になるため、生前に内縁の妻名義の口座に生活費を移しておくなどの対策が重要です。

3. 相続人との関係悪化

相続人が内縁関係を認めない場合、遺品整理や葬儀費用の負担を巡ってトラブルに発展することがあります。

特に、被相続人の子どもや兄弟姉妹が相続人になる場合、内縁の妻との関係が悪化しやすい傾向があります。

4. 生活費の確保困難

被相続人の収入や年金に生活を依存していた場合、相続発生後は収入源が断たれ、生活費の確保が困難になります。

特に、自営業や個人事業主の場合、事業継続が難しくなり、内縁の妻の生活基盤が一気に崩れるケースもあります。

5. 遺品整理・葬儀費用の負担

相続人が遺品整理や葬儀費用の負担を拒否する場合、内縁の妻が全額負担することになるケースがあります。

法的には、葬儀費用は相続人が負担すべきものですが、相続人が協力しない場合、内縁の妻が立て替えざるを得ない状況に陥ることもあります。

重要なポイント

内縁の妻は、相続において「守られる立場」ではなく「対策が必要な立場」です。相続人との関係悪化を避けるため、生前に明確な意思表示と対策を講じることが重要です。

内縁の妻が財産を受け取るための現実的な方法

内縁の妻でも、条件や準備次第で財産を受け取ることは可能です。

代表的な方法を整理し、それぞれのメリットと注意点を解説します。

1. 遺言書の作成

遺言で財産を遺贈することで、内縁の妻も受け取れます。公正証書遺言が望ましいです。

遺言書は、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類がありますが、公正証書遺言は公証人が作成するため、法的有効性が高く、相続人との争いを避けやすい特徴があります。

2. 死因贈与契約

死亡を条件に財産を渡す契約です。遺言に近い効果があります。

死因贈与契約は、被相続人と内縁の妻が生前に契約を結び、死亡時に財産を贈与する仕組みです。遺言と異なり、契約書を作成するため、相続人に対して法的拘束力があります。

3. 生命保険の活用

受取人を内縁の妻に指定すれば、確実に資金を残せます。相続人ではなくても受取可能です。

生命保険金は、受取人固有の財産とされるため、相続財産には含まれません。そのため、相続人との争いを避けやすく、内縁の妻の生活保障に最も有効な手段の一つです。

4. 特別縁故者の申立て

相続人がいない場合、家庭裁判所への申立てが可能です。適用範囲は限定的です。

特別縁故者とは、被相続人と特別な関係にあった者を指し、内縁の妻もこれに該当する可能性があります。ただし、相続人が存在する場合は適用されないため、利用できるケースは限られています。

5. 生前贈与

計画的に贈与を行えば、生活基盤を整えられます。贈与税への配慮が必要です。

生前贈与は、被相続人が生前に財産を内縁の妻に贈与する方法です。年間110万円までの贈与は非課税ですが、それを超える場合は贈与税が課されるため、計画的な実施が重要です。

注意ポイント

遺言書や生命保険は、被相続人の意思が明確であれば、相続人との争いを避けやすくなります。早い段階で対策を講じることが重要です。

家計・老後資金への影響をFP視点で考える

内縁の妻にとって、相続は老後の生活を左右する重大な要素です。

特に、被相続人の収入や資産に生活を依存していた場合、影響は深刻になります。相続発生後、収入源が断たれると、生活費の確保が困難になり、老後資金の計画が大きく狂います。

FPとしては、内縁関係であるほど「相続に頼らない生活設計」が重要だと考えます。自分名義の資産形成と、確実な資金受取手段の確保が不可欠です。具体的には、以下の3点を重視すべきです。

第一に、内縁の妻名義の預金・資産を積み上げることです。被相続人の収入に依存せず、自分名義の資産を確保することで、相続発生後も生活を維持できます。第二に、生命保険の受取人指定を活用することです。被相続人が生命保険に加入し、受取人を内縁の妻に指定することで、確実に資金を受け取れます。第三に、遺言書の作成を促すことです。被相続人の意思を明確にすることで、相続人との争いを避けやすくなります。

1. 収入源の喪失リスク

被相続人の収入や年金に生活を依存していた場合、相続発生後は収入源が断たれ、生活費の確保が困難になります。

特に、自営業や個人事業主の場合、事業継続が難しくなり、内縁の妻の生活基盤が一気に崩れるケースもあります。

2. 住居費の負担増加

被相続人名義の不動産に同居していた場合、相続人が売却や立ち退きを要求すると、新たに住居を確保する必要があり、住居費の負担が急増します。

賃貸住宅への引越しが必要になる場合、敷金・礼金・引越し費用など、初期費用だけで数十万円以上かかることもあります。

3. 自分名義の資産形成

被相続人の収入に依存せず、内縁の妻名義の預金・資産を積み上げることで、相続発生後も生活を維持できます。

例えば、毎月一定額を内縁の妻名義の口座に移し、老後資金として積み立てる方法が有効です。年間110万円までの贈与は非課税のため、計画的に実施しましょう。

4. 生命保険の活用

被相続人が生命保険に加入し、受取人を内縁の妻に指定することで、確実に資金を受け取れます。

生命保険金は、相続財産には含まれないため、相続人との争いを避けやすく、内縁の妻の生活保障に最も有効な手段の一つです。

5. 遺言書の作成促進

被相続人の意思を明確にすることで、相続人との争いを避けやすくなります。

公正証書遺言は、公証人が作成するため、法的有効性が高く、相続人に対して強い拘束力があります。早い段階で作成を促すことが重要です。

実体験から学ぶ内縁の妻の相続対策

実際に内縁関係で相続を経験した方の事例から、対策の重要性を学びましょう。

以下の3つのケースは、対策の有無が結果を大きく左右した実例です。

Aさん(58歳・内縁の妻)のケース:遺言書で住居を確保

Aさんは、パートナーと20年以上同居していましたが、婚姻届は提出していませんでした。パートナーが公正証書遺言を作成し、不動産をAさんに遺贈する旨を明記していたため、相続発生後も住居を確保できました。相続人(パートナーの子ども)は当初反発しましたが、遺言書の法的効力により、最終的にAさんの権利が認められました。Aさんは「遺言書がなければ、家を失っていた」と話しています。

Bさん(62歳・内縁の妻)のケース:生命保険で生活資金を確保

Bさんは、パートナーが生命保険の受取人をBさんに指定していたため、相続発生後も生活資金を確保できました。保険金は2,000万円で、相続財産には含まれないため、相続人との争いを避けられました。Bさんは「保険金があったおかげで、老後の生活に不安を感じずに済んだ」と満足しています。

Cさん(65歳・内縁の妻)のケース:対策不足で住居を喪失

Cさんは、パートナーと30年以上同居していましたが、遺言書や生命保険の対策を講じていませんでした。相続発生後、相続人(パートナーの兄弟)が不動産の売却を決定し、Cさんは立ち退きを余儀なくされました。預金口座も凍結され、生活費の確保が困難になりました。Cさんは「対策の重要性を知らなかった。今からでは遅い」と後悔しています。

FPに聞く!内縁の妻の相続と家計管理のリアル対策

実際に内縁関係で相続に直面した方が、気になるポイントをFPに質問しました。

30代女性

内縁の妻は本当に1円も相続できませんか?

スマホdeほけん

法定相続はできませんが、遺言書や生命保険、死因贈与契約などで財産を受け取ることは可能です。対策の有無が分かれ目になります。

30代女性

長年同居していても相続権はありませんか?

スマホdeほけん

同居年数に関係なく、婚姻届を提出していない限り、法律上の相続権は認められません。これが法律婚との決定的な違いです。

30代女性

内縁の妻は住み続けられますか?

スマホdeほけん

不動産の名義次第です。被相続人名義の場合、相続人の判断に左右されます。遺言書で不動産を遺贈するか、生前に名義を変更するなどの対策が重要です。

30代女性

相続税はかかりますか?

スマホdeほけん

遺贈や保険金には相続税が課されます。ただし、配偶者控除は使えないため、法律婚の配偶者よりも税負担が重くなります。

30代女性

いつ対策すべきですか?

スマホdeほけん

元気なうちに行う必要があります。相続発生後では対策が限られるため、早い段階で遺言書の作成や生命保険の受取人指定を行うことが重要です。

30代女性

FPに相談するメリットは何ですか?

スマホdeほけん

家計全体を見ながら、最適な対策を提案できる点です。遺言書や生命保険だけでなく、生前贈与や資産形成など、総合的なアドバイスが可能です。

内縁の妻の相続に関するよくある質問Q&A

Q1. 内縁の妻は1円も相続できませんか?

A. 法定相続はできませんが、遺言書や生命保険、死因贈与契約などで財産を受け取ることは可能です。

対策の有無が分かれ目になります。遺言書は公正証書遺言が望ましく、生命保険は受取人を内縁の妻に指定することで確実に資金を残せます。

Q2. 長年同居していても相続権はありませんか?

A. 同居年数に関係なく、婚姻届を提出していない限り、法律上の相続権は認められません。

これが法律婚との決定的な違いです。たとえ30年以上同居していても、法律上は「他人」として扱われます。

Q3. 内縁の妻は住み続けられますか?

A. 不動産の名義次第です。被相続人名義の場合、相続人の判断に左右されます。

遺言書で不動産を遺贈するか、生前に名義を変更するなどの対策が重要です。対策がない場合、立ち退きを余儀なくされるケースもあります。

Q4. 相続税はかかりますか?

A. 遺贈や保険金には相続税が課されます。ただし、配偶者控除は使えないため、法律婚の配偶者よりも税負担が重くなります。

例えば、法律婚の配偶者は1億6,000万円まで非課税ですが、内縁の妻にはこの控除が適用されません。

Q5. いつ対策すべきですか?

A. 元気なうちに行う必要があります。相続発生後では対策が限られるため、早い段階で遺言書の作成や生命保険の受取人指定を行うことが重要です。

特に、高齢になるほど対策の選択肢が狭まるため、50代から準備を始めることをおすすめします。

まとめ:内縁の妻の相続は「事前対策」がすべてを左右する

内縁の妻には、法律上の相続権は認められていません。遺言書・生命保険・死因贈与契約を組み合わせた生前対策こそが、生活と老後資金を守る唯一の現実的な手段です。

相続発生後にできることは限られているため、早い段階で対策を講じることが重要です。FPに相談し、家計全体を見ながら最適な対策を検討しましょう。内縁関係は信頼で成り立つ一方、相続では制度に守られないという厳しい現実があります。感情論ではなく、制度と数字で備えることが、残される側への最大の配慮になるでしょう。

監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

内縁の妻の相続相談では、「一緒に暮らしてきたのに、こんなに弱い立場だとは思わなかった」という声をよく聞きます。FPとして感じるのは、内縁関係は信頼で成り立つ一方、相続では制度に守られないという厳しい現実です。

だからこそ、感情論ではなく制度と数字で備えることが重要になります。早い段階で対策を講じることが、残される側への最大の配慮になるでしょう。遺言書の作成、生命保険の受取人指定、生前贈与など、複数の対策を組み合わせることで、内縁の妻の生活と老後資金を守ることができます。専門家に相談し、具体的な行動を起こすことが何よりも大切です。