スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「家族の通院に付き添った交通費は医療費控除になるの?」と迷う方が多いです。
本記事では、対象/対象外の線引き、認められる条件、明細書への書き方、節約術までをFPがわかりやすく解説します。家計・老後資金と両立する実務も学べます。
基本ルール|付き添い交通費は「必要性」が鍵
医療費控除で交通費が対象となるのは、治療に直接必要な移動に限られます。付き添いも「本人のみでの通院が困難」な状況であれば対象になり得ます。
利便性や快適性のための追加費用(グリーン席・指定席・単なる送迎など)は対象外です。判断は使途・時期・必要性の整合で行われます。
対象になる条件の整理|迷ったらここからチェック
まず、付き添いが必要といえる医学的・実務的事情を言語化します。小児・高齢・判断困難、医師が同席を求める説明などが典型です。
以下のチェック項目のリンク先を順に確認し、自分のケースに当てはめてください。
付き添い交通費・対象判断チェック
1. 本人のみで通院が困難か
小児や高齢、術後・骨折などで移動・判断が難しい場合は付き添いが必要と評価されやすいです。必要性を一言メモで残しましょう。
「心配だから同行」だけでは弱く、具体的な困難と支援内容(移動・説明理解の補助等)を示すことが大切です。
2. 医師が同席を求めたか
手術や治療方針の説明で家族同席が求められた場合、付き添いの交通費が対象になり得ます。案内文や日時を台帳に記録します。
同席要請がない単なる見舞いは対象外です。説明会出席などの目的も明記しましょう。
3. 交通手段は公共交通が原則か
電車・バス・標準運賃が原則です。グリーン席・指定席等の上乗せは計上しません。IC利用でも最短経路で運賃を算定できます。
定期券区間内の運賃計上は不可。区間外のみが対象となる点に注意します。
4. やむを得ないタクシー利用か
夜間救急・歩行困難・妊産婦・公共交通が実質利用不可などは対象になり得ます。領収書と利用理由のメモを保管します。
雨で混雑・時間短縮など利便目的は対象外です。必要性の説明可能性を基準にしましょう。
5. 遠方専門病院など代替不可か
地域に代替がない専門治療が遠方に限られる場合、運賃(新幹線・航空機)が対象です。宿泊費やグリーン料金は除外します。
評判や知名度のみを理由とした遠方受診は対象外になりやすい点に注意してください。
注意ポイント
付き添い交通費を計上する際は、「誰の何のための支援か」を明記。日時・経路・運賃・理由を台帳で一元管理しましょう。
対象外になりやすい支出|やりがちなNGを回避
対象外の典型は、定期券、グリーン・指定席、マイカー費、不要な同伴、お見舞いの交通費、里帰り出産の移動費です。
申告直前の仕訳ミスを防ぐため、次のポイントをチェックしてください。
1. 定期券・グリーン・指定席は除外
定期は通勤通学費で治療費ではありません。グリーン・指定席は快適性の上乗せです。乗車運賃のみを対象にしましょう。
区間内は計上せず、区間外のみ実費で整理します。
2. マイカーのガソリン・駐車場は不可
自家用車の費用は対象外です。やむを得ない場合はタクシーの可否を検討し、原則は公共交通で算定します。
地方在住でも原則は同じ。説明可能な根拠で申告しましょう。
3. 不要な同伴・お見舞いは対象外
「心配だから同行」「お見舞い」は対象外です。医師の同席要請や実質的支援の必要性があるときのみ計上します。
目的と役割を書き残すと後日の照会に対応しやすくなります。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 終身保険 | 貯蓄性と保障で医療費・介護の予備資金に | 早期解約は元本割れのリスク |
| 変額保険 | 資産形成と保障の両立で将来の医療費・老後資金を後押し | 市場変動で評価額が上下 |
| 養老保険 | 満期金を計画的に受け取れる | 返戻率が低めでコスパ要検討 |
明細書の書き方|e-Taxで迷わない入力手順
交通費は「その他の医療費」区分で、運賃のみを合計計上します。電車・バスは領収書がなくても、経路と金額の台帳で申告可能です。
付き添いが対象となるケースでは、誰の付き添い・必要理由・医師の要請有無をメモし、通院日と対応づけます。
1. 台帳作成(日付・区間・運賃・理由)
最短経路の運賃で統一し、付き添いの必要性や医師の同席要請の有無も併記します。IC利用でも問題ありません。
タクシーは領収書必須。裏面に「夜間救急」「歩行困難」など理由を記録します。
2. 対象/対象外の色分け
定期区間・グリーン料金・駐車場などは除外列に。対象のみ合計する設計にすると入力時の誤りを防げます。
家族で台帳を共通化すると運用が楽になります。
3. 家族分の合算と負担者の確認
実際に支払った人が申告します。扶養か否かは問いませんが、負担者の原則を守りましょう。
複数人分は病院ごと・月ごとに集計しておくと効率的です。
4. e-Taxで「その他の医療費」に入力
「病院・薬局等の名称」に交通機関名(JR○○線等)を記入し、合計運賃を入力。上乗せ料金は含めません。
明細書の作成後はデータ送信し、控えを保存します。
5. 領収・メモの5年保存
提出は不要でも保存義務があります。クラウドに画像保管し、台帳と紐づけておくと照会対応がスムーズです。
家族分の資料も同じフォルダ構成で整理しましょう。
実務メモ
入力は「運賃のみ」。宿泊費・グリーン料金・駐車場は別管理し、原則計上しない運用でブレを防ぎます。
家計と節約術|対象外でもコストを抑えるテク
付き添い交通費が対象外でも、家計負担は工夫で軽減できます。回数券・IC連携・時差利用などで実費を圧縮しましょう。
短期の負担増には予備費、長期はつみたてNISAや変額保険などで資産形成を並走させます。
1. 回数券・オフピーク活用
利用回数が読める期間は回数券が有利なことがあります。オフピーク割引も確認し、運賃の実効単価を下げます。
高頻度なら定期と比較し、費用対効果で選びます。
2. IC×クレカ連携でポイント二重取り
オートチャージや特定路線ポイントで実質負担を圧縮。家計簿アプリと連携して可視化します。
家族カードで集約すると管理が簡単になります。
注意ポイント
節約と同時に受診の質を落とさないこと。移動手段の選択で体調を悪化させないよう安全を最優先にしましょう。
FPに聞く!付き添い交通費・医療費控除のリアル

実務で迷いがちな論点をインタビュー形式で整理しました。傷病手当金や就業不能保険など家計リスクの対策にも触れます。
34歳・女性
付き添いの交通費はどんな場合に対象ですか?
スマホdeほけん
本人だけでの通院が難しい、または医師が家族同席を求める説明などです。目的と必要性を台帳に残すと判断が明確になります。
34歳・女性
タクシーはどこまで認められますか?
スマホdeほけん
夜間救急や歩行困難、公共交通が使えない状況などやむを得ない場合です。領収書と理由メモは必ず保管しましょう。
34歳・女性
明細書ではどこに入力しますか?
スマホdeほけん
「その他の医療費」区分で、交通機関名と合計運賃を入力します。グリーン料金など上乗せは除外してください。
34歳・女性
家計と老後資金はどう両立させるべき?
スマホdeほけん
固定費の圧縮と目的別口座の自動積立が基本です。短期は予備費、長期は分散投資や変額保険で再発防止と資産形成を並走させます。
34歳・女性
収入が減った場合の備えは?
スマホdeほけん
会社員なら傷病手当金が手取りの約3分の2支給されます。就業不能保険を補完に使い、受診継続と家計の安定を図りましょう。
よくある質問(Q&A)

申告前の最終チェックに。対象線引き・入力ミス・家計連動の疑問を解消します。
各回答は一般論です。最新運用は公的情報で必ず確認してください。
Q1. 付き添いが必要かどうかの判断基準は?
A. 医師の同席要請、年齢・病状、判断能力、移動の困難さです。具体的な必要性の記載があれば説明しやすくなります。
Q2. 付き添いが複数人でも対象?
A. 原則は必要最小限です。複数名が不可欠な事情(体位保持・車椅子介助など)がある場合のみ、妥当性を台帳に記録しましょう。
Q3. 里帰り出産の交通費は計上できる?
A. 原則不可です。治療のために不可欠な移動ではないためです。通院運賃のみ対象と覚えておきましょう。
Q4. マイカー費用は一切NG?
A. ガソリン・駐車場は対象外です。やむを得ない事情がある場合はタクシーの可否を検討し、公共交通で算定してください。
Q5. 家族分は誰が申告する?
A. 実際に負担した人が申告します。扶養内外は問いませんが、負担者の原則を守ってください。
まとめ|付き添い交通費は「必要性×運賃のみ」で判断
付き添い交通費は、本人のみで通院が難しい等の必要性があり、標準運賃での移動に限って対象になり得ます。利便目的の費用は除外しましょう。
台帳整備とe-Taxでの正確な入力を徹底し、家計のムダな負担を抑えつつ、資産形成と老後資金の準備を並走させていきましょう。
監修者からひとこと



スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
付き添い交通費の扱いは、必要性・妥当性・時期の3軸で説明できるかが成否を分けます。運賃のみを対象とする原則を守り、上乗せ費用を初期から分離する台帳設計に切り替えましょう。医師の同席要請や患者の状態といった根拠を記載しておくと、申告の確度が上がります。
家計全体では、固定費の最適化と目的別口座の自動化で現金余力を確保し、医療費の突発増にも耐性を持たせることが重要です。予備費と長期の資産形成を両立させ、保険・公的制度の点検も並行して進めましょう。