スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「母子家庭で私立は厳しい…」と悩む方でも、就学支援金や給付型奨学金を組み合わせれば負担は大きく減らせます。授業料だけでなく制服・交通費などの実費対策、申請の落とし穴、家計全体の見直しまで、迷わず行動できる手順でまとめました。
この記事だけで、利用できる制度の全体像と優先順位、申請タイムライン、足りない分を補う家計戦略が分かります。まずは全体像をつかみ、今日から準備を始めましょう。
まず押さえる:母子家庭が使える主な学費支援と選び方
学費対策は「返済不要(給付)」「要返済(貸付)」「ローン」「自治体独自」に整理すると迷いません。該当可否・上限・申請時期を並べて、重複利用できるものから優先して検討しましょう。
ここで全体像を押さえると、学校決定後の出費ラッシュでもブレずに手続きが進められます。
1. 就学支援金(授業料実質無償化)
世帯の所得要件を満たせば、私立でも年間最大39万6千円まで授業料が支給対象となり、実質無償化が可能です。学校経由で申請し、年1回の収入状況確認に対応します。
授業料以外(施設費・教科書・交通費)は対象外のため、別制度と組み合わせましょう。
2. 高校生等奨学給付金(給付)
非課税や生活保護等の世帯へ、授業料以外の教育費をカバーする給付です。制服・教材・通学費など広く活用できます。
都道府県ごとに窓口・要件が異なるため、学校配布の案内と自治体サイトで必ず二重確認を。
3. 自治体・学校の減免/特待
私立校の特待(授業料・入学金免除)や自治体の補助と就学支援金を組み合わせると、実質負担は大きく低減します。選考基準(学力/内申/家計)を早めに確認。
「合否後にしか詳細が出ない」ケースも多いので、想定額のレンジで家計シミュレーションを。
4. 母子父子寡婦福祉資金ほか(貸付)
修学資金・就学支度資金など、無利子中心の公的貸付。入学時費用の山を越えるのに有効です。返済開始時期や据置の有無も確認しましょう。
貸付は「足りない分だけ最小限」が原則。返済原資の見通しを立ててから申請を。
5. 国の教育ローン(公庫)
世帯所得の上限が比較的ゆるく、受験前申込も可。ひとり親は金利優遇があります。学費の大枠が見えた段階で、他の給付/貸付とのバランスを見て検討します。
長期返済になるため、総支払額と家計への影響を必ず試算しましょう。
注意ポイント
支援は「授業料」と「それ以外」で対象が分かれます。
授業料=就学支援金/それ以外=奨学給付金・自治体助成等。重複可否と申請時期のズレをカレンダー化して管理しましょう。
就学支援金のしくみ・判定・申請
私立の授業料負担を左右する中心制度です。所得判定・支給額・申請書類・年次スケジュールをまとめました。
学校経由の手続きが基本のため、提出漏れや期限超過を防ぐチェックリストを用意しましょう。
1. 判定指標と支給額の考え方
所得情報に基づく判定で、上限39.6万円/年まで授業料が実質相殺されます。閾値付近の世帯は、扶養や控除の変動で支給額が上下しやすい点に注意。
年途中で家計が変わった場合、翌年度の判定に影響するため、見込みの家計設計が有効です。
2. 必要書類と提出ルート
学校配布の受給資格認定申請書、マイナンバー関連書類等を準備。スマホ申請対応の自治体も増えています。コピー控えを必ず保管。
家族構成や住所変更がある場合は、早めに学校・自治体に申告しましょう。
3. 新入生/在校生の時期別スケジュール
新入生は入学時、在校生は夏前後に収入確認が集中します。入学金・制服・教材費の支払いが重なるため、資金繰り表で先行支出を吸収。
口座引落日・カード決済日を揃えると、キャッシュアウトの見通しが安定します。
4. 対象外コストの備え方
施設費、学年費、交通費、修学旅行積立、部活動費は対象外。給付金・特待・自治体助成・校納金分割等を組み合わせて平準化します。
年間コストを「月額」に割り戻すと、家計への定着が容易です。
5. よくあるつまずき
期限超過、書類不備、所得判定の勘違い、授業料以外の過小見積りが代表例。学校からの配布物をすべて写真保存し、提出チェックリスト化を。
不明点は学校事務・自治体窓口に早めに照会しましょう。
家計の平準化コツ
入学年は支出ピーク。入学前年の夏から「入学準備積立」を開始。制服・端末・定期代の見積を取り、12分割で仮積立するとブレを吸収できます。
給付/貸付/ローン:代表制度の使い分け
返済不要の給付は最優先、次に無利子貸付、最後にローンの順で検討します。重複可否・学年ごとの使い所を整理しましょう。
「初期費用は貸付」「毎月の学納金は給付で平準化」のように役割分担させるのが賢い組み方です。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 高校生等奨学給付金(給付) | 返済不要・授業料以外も対象 | 所得要件と自治体差、申請期限 |
| 母子父子寡婦福祉資金(貸付) | 無利子・入学時費用に強い | 返済開始時期/据置の確認 |
| 国の教育ローン | 幅広い所得が申込可・優遇あり | 長期返済で総支払増に留意 |
私立vs公立の費用感と「差額」を埋める考え方
統計ベースでは、私立は公立より年間で数十万円高くなりがち。就学支援金で授業料を抑えつつ、残る施設費・活動費・通学費をどう平準化するかが鍵です。
三年総額の「差額」を月割りにして、児童手当・奨学給付・バイト収入(校則内)等で分散吸収しましょう。
家計戦略:今日からできる資金準備3ステップ
学費は「準備×支出削減×収入強化」の掛け算で乗り切れます。まずは可処分所得に直結する部分から改善しましょう。
固定費・保険・通信の見直し、児童手当の目的別積立、必要に応じた貯蓄型保険の活用など、無理なく続く設計が重要です。
1. 児童手当の目的別口座化
受給月に自動振替で学費専用口座へ移すだけで、取り崩しを防げます。高校入学までの累計を年次表で見える化しましょう。
余裕があれば少額の積立投資も選択肢ですが、元本変動リスクは理解した上で。
2. 定期積立&入学準備積立
毎月定額の定期積立で「見込み不足分」を先取り。入学前年からは端末・制服・通学定期分を12分割して上乗せします。
使途が明確な積立は心理的に続けやすく、家計のブレを吸収します。
3. 保険/通信/サブスクの固定費最適化
通信プラン変更、不要サブスク解約、保険の重複保障見直しで月数千円~の原資を捻出。貯蓄型保険は流動性と返戻率を見極め、無理のない範囲で。
医療・がん・収入保障などの保障は、家計の耐久力向上に寄与します。
4. 特待・減免・自治体助成の横串確認
学校ごとの特待条件、自治体助成、就学支援金の同時適用可否を一覧化。入試方式(一般/推薦)で特待が変わることも。
オープンスクールや説明会で最新条件を必ず確認しましょう。
5. 不足分は無利子貸付→優遇ローン
入学金・指定購入品など一時費用は無利子貸付でブリッジ。残る学納金は給付で平準化、最後に優遇ローンで補完という順番が負担軽減に有効です。
返済計画は卒業後の収入見通しまで含めて作りましょう。
よくある質問Q&A(5問)

Q1. 授業料以外(施設費・部費・修学旅行)は就学支援金の対象ですか?
A. 対象外です。高校生等奨学給付金、自治体助成、学校の減免制度の活用を検討しましょう。
Q2. 私立の特待と就学支援金は併用できますか?
A. 併用可のケースが多いですが、学校規定によります。必ず学校の募集要項・事務へ確認してください。
Q3. 入学金の支払い前に間に合う支援はありますか?
A. 就学支援金は授業料相殺が中心。入学金は「就学支度資金」「母子父子寡婦福祉資金」「自治体貸付」等の一時金を検討ください。
Q4. 収入が年途中で下がった場合、支給額は変わりますか?
A. 判定は原則翌年度に反映。現年度の学納金は貸付や分納でつなぎ、翌年度の給付増で調整するのが一般的です。
Q5. 母子家庭向けの民間給付はありますか?
A. 企業・財団の給付型奨学金が多数あります。応募時期が早いものも多いので、春~夏に募集要項を確認しましょう。
まとめ:制度の横断活用+家計平準化で乗り切れる
母子家庭でも、就学支援金・奨学給付・特待・自治体助成を横断活用すれば授業料と実費の双方を軽くできます。さらに、入学準備積立と固定費最適化でキャッシュフローを平準化すれば、想定外の出費にも強くなります。
申請は期限との勝負。学校・自治体の最新情報を確認しつつ、必要ならFPに相談して計画を固め、無理のない進学を実現しましょう。
監修者からひとこと



スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
私立進学では「授業料以外」の見落としが家計を圧迫しがちです。制度は複数を重ねて使えるため、就学支援金で授業料を抑え、奨学給付や自治体助成で実費を平準化、初期費用は無利子貸付で橋渡しという設計が効果的です。
入学前年からの積立と固定費見直しは早いほど効きます。各制度は年度ごとに要件や上限が変わることもあるため、最新情報を必ず確認のうえ、家庭の状況に合わせて最適化しましょう。