スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「生命保険はいらない?」と迷う背景には、公的制度の充実や貯蓄志向の高まりがあります。
ただし、万一の家計インパクトは大きく、必要保障額と貯蓄・制度のバランスを数値で確認しなければ最適解は見えません。本稿では判断軸と実務の手順を整理します。
結論:不要論は“前提次第”。必要保障額→制度→貯蓄→保険の順で最小コスト設計
まず家族構成・収入・住宅ローン・教育費を踏まえ、必要保障額を試算します。
次に遺族年金や傷病手当金などの制度、貯蓄・運用で埋めた後、残差だけを保険でカバーするのが合理的です。
1. 日本の公的制度が充実
医療費は高額療養費制度で上限があり、遺族には遺族年金が支給されます。
ただし、生活費の上振れや教育費、住宅ローンは制度で十分に賄えないことが多く、ギャップの把握が重要です。
2. 家計状況で必要性が変動
共働き・持ち家の有無・貯蓄額で必要保障額は大きく変わります。
「誰にでも同じ結論」は危険で、世帯別に数値化することが不可欠です。
保険が不要/最小でよい人の目安と理由
次の条件に複数当てはまる人は、ミニマム保障または不要の可能性があります。
ただし将来の家族計画や収入変動で必要性は容易に変わるため、定期的な棚卸しが前提です。
1. 独身・扶養なし
扶養者がいない場合、必要保障額は小さくなります。葬儀費用や最終医療費を貯蓄で賄えるなら保険は最小で可です。
一方、将来の結婚・出産を見据え、若年のうちに保険料水準を確保する戦略もあります。
2. 十分な流動資産がある
生活費12〜24か月分の現預金があるなら、多くの突発支出を自前で吸収できます。
ただし長期の就業不能や介護リスクは別設計が必要です。
注意ポイント
「いまは不要」でも、ライフイベントで必要性は急拡大します。年1回の見直しと、家族追加時の再試算をルール化しましょう。
必要性が高い人の目安:家計ショックを平準化する設計
以下に該当する場合は、死亡保障や就業不能の上乗せを検討してください。
「貯蓄で耐える」より、保険で平準化したほうが家計の効率が高いケースです。
1. 配偶者・子がいる(片働き/子小さい)
大黒柱不在は直ちに生活水準へ影響します。遺族年金+貯蓄で不足する分を、収入保障保険や定期保険で補填します。
教育費ピーク期は手厚く、独立後は段階的に縮小するレイヤー設計が合理的です。
2. 住宅ローン・借入がある
団信未加入や自営業の借入はリスク。ローン残高や家賃相当額を意識し、保障期間は返済完了までを目安にします。
金利上昇時は、返済負担増も加味して必要保障額を再計算します。
3. 貯蓄形成が遅れている
貯蓄が薄いほどショック耐性が落ちます。掛け捨て中心でコスパを重視し、余力は長期運用に回して底上げします。
変額保険のように保障+資産形成を両立する設計も一案ですが、価格変動リスクを理解して選びましょう。
4. 相続・事業承継ニーズがある
死亡保険金の非課税枠活用や納税資金の確保、遺留分対策など、保険は分割・換金性に優れます。
契約者・被保険者・受取人の設計は税務上の帰結に直結します。
タイプ別の最適設計:過不足なく・ムダなく
以下の手順で、保障の穴とダブりをなくします。重複保障は家計のムダです。
設計後は更新時期と特約を台帳管理し、見直しのトリガーを明確化します。
1. 必要保障額の算定
遺族の生活費・教育費・住居費から、遺族年金・就業不能給付・貯蓄を差し引きます。
不足分が保険の役割です。期間ごとに金額が変わるため、階段型が有効です。
2. 制度・福利厚生の棚卸し
遺族年金・傷病手当金・企業の団体保障・共済を把握し、重複と穴を特定します。
会社規程や共済の約款は、最新を確認しましょう。
3. 貯蓄・投資の配分決定
生活防衛資金を先に確保し、長期の増やす部分はNISAやiDeCoへ。
保険でしか代替できない大支出だけをカバーすると、家計効率が高まります。
4. 保険で残差をカバー
死亡リスクは定期保険、収入の下支えは収入保障保険、医療の厚みは医療・がん・就業不能で。
終身の貯蓄は返戻率と柔軟性を必ず比較します。
5. 見直しルールの設定
結婚・出産・住宅購入・転職・起業・金利変動・子の独立で見直します。
更新型は次回更新前に、特約は必要性が薄れたら削減します。
| 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 定期保険 | 大保障を低コストで確保 | 満了で保障消滅・更新で保険料上昇 |
| 終身保険 | 一生涯の保障・解約返戻金 | 保険料高め・流動性に制約 |
| 収入保障保険 | 毎月給付で生活費を平準化 | 告知・免責の条件を要確認 |
FPに聞く!生命保険のリアルな疑問

家計や就業不能保険・変額保険まで、読者が迷いやすい論点を専門家に直撃します。
34歳・女性
死亡保障は定期と終身のどちらが基本ですか?
スマホdeほけん
家計効率を優先するなら定期で大きく、老後の資産形成や相続まで考えるなら終身を必要額だけ。併用で過不足を削れます。
34歳・女性
貯蓄が少ない場合、まず何から始める?
スマホdeほけん
生活防衛資金を6〜12か月分確保→定期や収入保障で大きな穴を埋める→余力をNISA・iDeCoや変額保険へ、の順が実務的です。
34歳・女性
就業不能保険は必要?医療保険とどう違う?
スマホdeほけん
医療は医療費、就業不能は収入減を補う別物です。住宅ローンや教育費が重い家計ほど優先度が上がります。
34歳・女性
掛け捨てがもったいないと感じます。
スマホdeほけん
「確率は低いが発生時は致命傷」の費用を平準化するのが保険の本質。貯蓄で代替できない規模だけを掛け捨てで補えば合理的です。
34歳・女性
見直しの頻度と基準は?
スマホdeほけん
年1回の棚卸し+ライフイベント時が基本。固定費率・必要保障額・返戻率の3点を指標に、重複と不足を同時に調整します。
生命保険Q&A(5選)

Q1. 掛け捨てと貯蓄型はどちらが得?
A. 保障は掛け捨て中心でコスパを取り、増やす部分は運用や貯蓄で役割分担するのが原則です。返戻金は柔軟性も比較しましょう。
Q2. 高齢になってから加入する意味は?
A. 一般に割高です。葬儀費用の確保や相続目的など、用途が明確な限定設計なら検討価値があります。
Q3. 専業主婦(夫)やシングルマザーの必要性は?
A. 専業のみ世帯は大黒柱中心で調整。ただし家事労働の外部化費用も加味を。単親世帯は就業不能・医療も含め広めの設計が安全です。
Q4. 公務員は不要?
A. 福利厚生は厚めですが、終身保障・先進医療・相続対策は不足しがち。過不足を台帳で可視化し、最小限を上乗せします。
Q5. 新卒は加入不要?
A. まず貯蓄が優先。ただし結婚・持ち家予定が近いなら、若年割安なうちに基礎保障を確保する戦略は有効です。
まとめ
生命保険の「不要論」は、十分な貯蓄・手厚い制度・低い家計リスクが揃う前提でのみ成立します。
必要保障額→制度→貯蓄→保険の順で設計し、家計の固定費を最小で最大の安心に変えましょう。年1回の見直しでムダと不足を同時に解消できます。
監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
「いまの家計に何が足りないか」を数値で把握することが、保険選びの出発点です。掛け捨て中心でリスクの山だけを平準化し、余力は長期運用で地力を上げる。変額保険を含む商品選定は、役割の切り分けとコスト・柔軟性の比較が鍵になります。ライフイベントの都度、必要保障額を更新しましょう。