【迷わない】年金繰り下げ受給のメリット・デメリットと損益分岐点をプロが徹底ガイド

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

老後資金や家計の不安が増すなか、「年金は繰り下げた方が本当に得なのか」を具体的に知りたい方は多いはずです。

本記事では制度の全体像から増減の根拠、損益分岐点は約11.9年という計算ロジックまで、初心者にもわかりやすく解説します。

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年金繰り下げの結論と全体像【クリックで重要ポイントを先取り】

繰り下げ受給は月0.7%の増額で最大75歳まで可能、増額は生涯続きます。一方で税負担や医療費負担の増加など、手取りに影響するデメリットもあります。

損益分岐点は受給開始から約11.9年が目安。平均余命や貯蓄、就労状況を踏まえた最適化が重要です。

そもそも「繰上げ・繰り下げ受給」とは?制度の基本

老齢基礎年金・老齢厚生年金は原則65歳開始ですが、60~65歳で繰上げ、66~75歳で繰り下げが選べます。繰上げは一括扱い、繰り下げは基礎と厚生を別々に選択できます。

繰上げは月0.4%の生涯減額、繰り下げは月0.7%の生涯増額です。家計のキャッシュフローと税・社会保険の影響を必ず併せて検討しましょう。

まず押さえるべき判断ポイント【チェックリスト】

「何から考えれば良いか分からない」という方のために、検討の流れをリンク化しました。各項目を順に確認していきましょう。

この後に続く各セクションで、リンク先と同じ見出しを詳しく解説します。

1. 必要生活費と必要保障額の把握

まずは毎月の基礎生活費、突発費、ゆとり費を分けて把握します。年金・就労収入・金融資産の取り崩しで賄えるかを試算しましょう。

住居費や介護費の将来増加も織り込み、「何歳からいくら必要か」を年齢軸で可視化するのがコツです。

2. 年金開始時期別の手取り試算

65歳開始・68歳開始・75歳開始など複数シナリオを用意し、月ごとの受取額と累計額、そして損益分岐点を比較します。

「就労収入の有無」「退職金の活用」「iDeCo・新NISAの取り崩し」など家計の全体設計で最適解は変わります。

3. 税金・社会保険(医療費負担)への影響

繰り下げで額面が増えると、所得税・住民税だけでなく後期高齢者の窓口負担割合にも影響します。

手取りは額面どおりに増えない前提で、医療費自己負担や介護保険料の段階も併せて確認しましょう。

4. 加給年金・遺族年金の取り扱い

厚生年金の加給年金は、老齢厚生年金を受給している間に限られます。繰り下げ中は受け取れない点に注意が必要です。

遺族厚生年金は繰り下げで増えません。権利が生じたら速やかに請求する運用が基本です。

5. 専門家(FP)への相談活用

税・社会保険・投資を横断して判断できるのはFPの強みです。無料オンライン相談で現状を棚卸ししましょう。

就業不能リスクや医療保障も含めた総合設計が、「損をしない繰り下げ」の近道です。

注意ポイント

保険料や税・社会保険料は毎年改定の可能性があるため、直近制度で再試算することが重要です。

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繰り下げのメリットと増額カーブ【数字で理解】

繰り下げは月0.7%、年8.4%の増額で、75歳開始なら65歳比で184%になります。増額は生涯固定で、長生きほどメリットが拡大します。

月単位で指定できるため、退職金や在職収入、新NISA・iDeCoの取り崩しとのバランス調整が可能です。

特徴 メリット 注意点
終身保険 生涯保障と貯蓄性 保険料が割高
変額保険 資産形成と保障の両立 運用リスクあり
養老保険 満期時に資金受取 返戻率が低め

ここもチェック

老後資金の原資づくりには、新NISAやiDeCo、変額保険など長期・積立・分散の仕組みを組み合わせると効果的です。

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デメリットとリスク管理【見落としがちな落とし穴】

早期死亡で総受取が減る、税・社会保険の負担増、加給年金の喪失、遺族年金が増えないなど、見逃せない注意点があります。

リスクは回避・低減・移転の3手法で対処。就業不能保険や医療保険との連携でキャッシュフローを安定化させましょう。

実務で役立つ比較リンク【目的別ナビ】

次のリンク集から、あなたの状況に近い項目を確認してください。各リンク先の見出しへジャンプし、具体策を解説します。

2つ目のリンク集は後段に用意し、視点を変えて検討できるようにしています。

6. 在職中(厚生年金加入)の最適開始年齢

在職老齢年金や雇用収入の税・社保を踏まえると、受給の繰り下げで手取りが増えるケースが多くなります。

就労収入で65~68歳を賄えるなら、68歳以降の受給開始が現実解になりやすいでしょう。

7. 退職金・貯蓄の活用順序

退職所得控除を活かしつつ、生活防衛資金6~12か月分を確保。その上で積立投資や個人年金の受取開始を調整します。

固定金利負債がある場合は繰上げ返済との比較も行い、キャッシュフローの谷を作らない設計にします。

8. 医療・介護費用の将来見積り

後期高齢者の窓口負担割合は収入で変わります。世帯合算で段階が上がると、実負担が増える点に注意しましょう。

高額療養費制度や介護保険の自己負担上限も確認し、手取りベースで判断します。

9. 配偶者の加給年金・振替加算の確認

夫婦の年齢差がある場合、繰り下げで加給年金が失われる期間が生じやすくなります。個別に年齢軸で試算しましょう。

遺族年金の給付要件も併せて確認し、請求漏れを防止します。

10. セカンドライフの投資と取り崩し

新NISAの成長投資枠、iDeCo、個人年金保険、変額保険を組み合わせ、税制優遇を最大化。取り崩しは定率法で長寿リスクに対応します。

ボラティリティと生活費の同期を避けるため、現金クッションを厚めに確保します。

働く人のたより

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損益分岐点11.9年の意味と使い方

68歳開始なら65歳開始との増額差が25.2%、未受給3年分を取り返すまで約11.9年かかります。75歳開始でも同じく約11.9年です。

平均余命・健康状態・家族歴・働き方を反映し、「何歳まで生きる前提か」を置いたうえで開始年齢を決めましょう。

FPに聞く!傷病手当金や就業不能時の備えも同時に考える

繰り下げ判断は、病気やケガで収入が止まるリスクと表裏一体です。実生活の疑問をFPにぶつけました。

34歳・女性

働けなくなった場合の生活費は、年金繰り下げ中だとどう確保すべきですか?

スマホdeほけん

傷病手当金は標準報酬月額の約3分の2が目安ですが、期間は通算1年6か月です。就業不能保険を併用し、家計の固定費を賄える給付額を設定すると安心です。

34歳・女性

医療費の自己負担が2割や3割に上がる基準は意識した方が良いですか?

スマホdeほけん

はい。世帯収入で判定されるため、繰り下げにより年金額が増えると負担割合が上がる可能性があります。年間医療費の想定と合わせて受給開始時期を調整しましょう。

34歳・女性

加給年金は繰り下げで失うと聞きました。回避策はありますか?

スマホdeほけん

老齢基礎年金のみを繰り下げ、老齢厚生年金は65歳から受け取る方法があります。夫婦の年齢差や開始時期を年齢軸で最適化しましょう。

34歳・女性

投資と保険はどう組み合わせるべきですか?

スマホdeほけん

新NISAやiDeCoで長期分散を行い、就業不能や医療の大きなリスクは保険で移転します。変額保険を活用する場合は、リスク許容度と保険料負担のバランスを重視してください。

34歳・女性

無料相談ではどこまで具体的に試算してもらえますか?

スマホdeほけん

年金の受給時期別キャッシュフロー、税・社会保険の手取り比較、保険の必要保障額、取り崩し計画まで可能です。資料を事前共有いただくと精度が上がります。

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よくある質問(年金繰り下げの疑問を解消)

Q&A

Q1. 年金繰り下げはいつまで可能?

A. 66~75歳の間で月単位に指定できます。月0.7%の増額が生涯続くため、在職や貯蓄状況に応じて柔軟に開始時期を決めましょう。

Q2. 繰り下げで本当に得するのは何歳から?

A. 受給開始から約11.9年が損益分岐点です。平均余命と健康状態、医療費負担の段階を踏まえ、手取りベースで判断してください。

Q3. 税金・医療費の負担はどう変わる?

A. 受取額の増加で所得税・住民税が増え、後期高齢者の窓口負担割合が上がる場合があります。額面=手取りではない点に注意しましょう。

Q4. 加給年金や遺族厚生年金は増える?

A. 繰り下げで増えるのは本人の老齢年金のみです。加給年金は繰り下げ中は受け取れず、遺族厚生年金も増えません。

Q5. どんな人が繰り下げに向いている?

A. 在職収入がある、退職金や金融資産でつなげる、長寿家系で健康—こうした条件があれば有利です。逆に高年金世帯や医療費が多い世帯は慎重に。

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まとめ:手取りベースで最適な開始年齢を選ぶ

繰り下げは生涯増額という強力なメリットがある一方、税・医療費で手取りが減る可能性があります。したがって「額面ではなく手取りで比較」し、就労・貯蓄・保険を総合設計することが重要です。

迷う場合は、年金・税・保険を横断できるFPに相談し、家計の将来キャッシュフローと併せて損益分岐点を検証しましょう。

監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

年金の繰り下げ可否は、平均余命の統計だけで決めると誤ります。実際は家計の現金収支、医療・介護費の見込み、配偶者の年金構成、税・社会保険の段階など多変数の最適化です。

まず生活防衛資金を確保し、在職収入や退職金、新NISA・iDeCo、個人年金や変額保険の活用を整理したうえで、受給開始時期を月単位で調整しましょう。無料相談の活用も有効です。