

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「礼金ってそもそも何?敷金とは違うの?」と迷う人は少なくありません。用語の誤解は初期費用のムダにつながり、家計を圧迫します。
本記事では、礼金の意味と歴史、返金不可の理由、最新の相場感、初期費用を賢く下げる交渉術まで、はじめての賃貸でも迷わない順序で解説します。
礼金の基本|意味・由来・敷金とのちがいをまず整理
礼金は賃貸借契約時に貸主へ支払う「お礼金」で、原則として返金されません。敷金は預り金で性質が異なります。
由来を知ると交渉の勘所が見え、契約書でチェックすべき箇所も明確になります。
まず押さえる礼金の基礎ポイント
1. 礼金の定義と歴史的背景
礼金は、賃貸契約を結んでくれたことへの謝意として貸主へ支払う一時金です。関東大震災後の住居不足下での「入居のお礼」に起源があるとされます。
高度成長期に都市部へ流入する学生・就労者が貸主へ挨拶金を渡した慣習も、今日の礼金慣行に影響しています。
2. 敷金とのちがい(返金の可否)
敷金は未払い家賃や原状回復費に備える預り金で、精算後の残額は返金されます。一方、礼金は貸主への贈与性の強い一時金で、原則返ってきません。
「礼金=戻らない」「敷金=原則戻る」を出発点に、項目ごとの金額を見直しましょう。
3. 法的な位置づけと相場感
礼金は法律で金額や要否が定められていない「慣習」項目です。ゆえに金額や有無は地域・物件・市況で変動します。
相場は家賃の0〜1か月分が目安。大都市中心部や新築・人気エリアでは1か月超の条件もあります。
4. 礼金アリ/ナシ物件の傾向
礼金ナシ物件は初期負担を抑えられる一方、クリーニング費や家賃に反映されるケースも見受けられます。
礼金アリ物件は募集条件が整っている傾向がありますが、他費目が割高な例もあるためトータルで比較しましょう。
5. 契約書で確認すべき条項
「礼金額」「更新料」「ハウスクリーニング費」「原状回復基準」「短期解約違約金」「ペット特約」など、後日トラブル化しやすい条項を精査します。
入居前の現況写真の保存、退去時の立会い方法・鍵交換費の扱いも事前に確認を。
礼金・敷金・保証金のちがいが一目でわかる
似た費目でも性質はバラバラ。返金可否・使途・交渉余地を一覧で把握して、無駄を削ります。
初期費用は「総額で比較」し、各費目の役割がダブっていないかも要チェックです。
特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
礼金 | 入居優先・条件提示で有利になる場合 | 原則返金なし。金額根拠は慣習ベース |
敷金 | 退去精算後に残額返金の可能性 | 原状回復基準次第。特約の読み込み必須 |
保証金(関西圏等) | 敷金+礼金の混合形態 | 敷引特約の有無で返金額が大きく変動 |
注意ポイント
礼金の有無だけで判断せず、家賃・更新料・クリーニング費・解約違約金など総額で比較しましょう。
初期費用を抑える5つの戦略|交渉フレーズまで具体例
時期・物件・代替案を押さえれば、初期費用は想像以上に下げられます。礼金削減が難しい場合も、他費目で調整余地があります。
ここでは実務で使える優先度の高い打ち手を順に解説します。
1. 敷金・礼金ゼロ物件の活用
ゼロ物件は初期負担が大きく下がりますが、家賃・退去時費用で回収されることがあります。募集図面の注記を細部まで確認しましょう。
相場家賃と比べ、総支払額が適正かを必ず試算してください。
2. 費目別の値引き交渉テク
閑散期(7〜8月など)は交渉が通りやすい時期です。「値引き可なら即決」を明言するのがコツ。礼金が難しければ敷金へ振替も有力です。
例)「礼金1→敷金へ振替(礼金0・敷金2)にできれば本日申込します」。貸主側のリスク低減となり合意しやすくなります。
3. カード分割・立替プラン
不動産会社や決済代行の提携で、初期費用の分割が可能なケースがあります。現金分割不可や一部費目のみ対象など条件は必ず確認を。
利手数料を加味し、家計のキャッシュフローに無理がない範囲で選択しましょう。
4. フリーレントの活用
1〜2か月賃料無料の代わりに、短期解約違約金が付くのが一般的です。転居予定の有無や在住年数の見込みをもとに損益分岐を計算してください。
フリーレントと礼金の同時緩和は通りにくいため、優先度を決めて交渉しましょう。
5. 引越し費の自助化
自家用車・カーシェアで小口搬送に切替えるだけでも総額は下がります。大型家電だけ業者に依頼する「ハイブリッド」も有効です。
破損リスクや時間コストも加味し、保険の有無も確認しましょう。
礼金を「敷金へ振替」するメリット
礼金減額が難しくても、敷金へ振替できれば双方にメリット。貸主は滞納・原状回復リスクを抑え、借主は返金可能性を確保できます。
退去時に原状回復費が少額なら敷金の戻りが期待でき、家計のダメージを和らげられます。
契約書と見積書での要注意ポイント
「ハウスクリーニング定額」「鍵交換費」「エアコンクリーニング」「短期解約違約金」など、法的根拠や金額妥当性が問われやすい費目は特に要確認。
原状回復は国交省ガイドライン準拠が基本。経年劣化は借主負担とならないのが原則です。
FPに聞く!礼金と初期費用をムダにしない実践相談
実際に引っ越しを検討している読者(34歳女性)から、礼金や敷金、フリーレントなど初期費用の疑問をFPがわかりやすく回答します。家計のインパクトや万一の収入減(傷病手当金の範囲、就業不能時の備え)もあわせてチェックしましょう。

34歳・女性
礼金がある物件と礼金なし物件、家計への影響はどちらが有利ですか?
スマホdeほけん
短期入居なら礼金なしが有利なことが多いですが、家賃やクリーニング費で回収されて総額が高くなる例もあります。必ず「入居期間×家賃+初期費用-フリーレント」で総額を試算し、家計のキャッシュフローで比較しましょう。


34歳・女性
礼金の値引き交渉が難しいと言われました。代わりにできる打ち手はありますか?
スマホdeほけん
有効なのは礼金→敷金への振替提案です。貸主は滞納・原状回復リスクを抑えられ、借主は精算後に戻る可能性を確保できます。「振替に応じていただければ本日申込します」と即決条件を添えると通りやすいですよ。


34歳・女性
フリーレントが付くと言われました。お得に見えますが注意点は?
スマホdeほけん
短期解約違約金がセットのことが多く、指定期間内の退去でフリーレント分を返還する条項があります。転居予定やライフイベントを踏まえ、在住予定年数で損益分岐点を計算してから判断しましょう。


34歳・女性
原状回復の請求が心配です。退去トラブルを避けるコツは?
スマホdeほけん
入居時にキズや汚れの写真を日付付きで保存し、契約書の原状回復基準(国交省ガイドライン準拠か)を確認しましょう。ハウスクリーニングの定額設定や鍵交換費の有無も事前に明文化しておくと安心です。


34歳・女性
もし病気やケガで収入が減ったら、家賃が家計を圧迫しそうで不安です。備えはありますか?
スマホdeほけん
会社員なら一定条件で傷病手当金が支給されますが、手取りより少なくなるのが一般的です。収入空白を補う選択肢として就業不能保険を検討すると、家賃や固定費の支払いが安定します。住居費は手取りの25〜30%以内を目安に見直しましょう。


34歳・女性
初期費用が足りません。分割やカード払いは使っても大丈夫?
スマホdeほけん
カード分割でキャッシュアウトを平準化するのは有効ですが、手数料を含めた総額が上がらないか確認を。分割対象は仲介手数料や鍵交換費など一部に限られることも多いので、対象費目・回数・手数料率を必ず書面で確認してください。


34歳・女性
最終的にどこを見れば“妥当な初期費用”と言えますか?
スマホdeほけん
「家賃相場±5%以内」「礼金0〜1か月」「敷金1〜2か月(敷引特約の有無確認)」「更新料の有無」「クリーニング費の根拠」の5点をチェックし、3物件以上で総額比較を。交渉は“代替案の提示+即決意思”が成功の鍵です。

Q&A|礼金のよくある疑問をサクッと解決
Q1. 礼金は必ず払う必要がありますか?
A. 法的義務ではありません。募集条件として設定されているため、合意できなければ申込を見送る・交渉する選択肢があります。
地域・市況次第で礼金ナシ物件も多く見つかります。
Q2. 礼金が高いときの現実的な交渉は?
A. 「礼金→敷金へ振替」「フリーレント付与」「仲介手数料の調整」の順で代替提案を提示。即決の意思表示が有効です。
家賃の長期値引きは通りにくいため、初期費用側での調整が現実的です。
Q3. 退去時に『礼金の返金』はありますか?
A. 原則ありません。返金が前提の敷金と性質が異なります。領収書・契約書の記載で項目名を必ず確認してください。
項目の取り違えが後日のトラブル原因になります。
Q4. 礼金ナシ物件は本当に得ですか?
A. 総額次第です。家賃やクリーニング費で回収されていないか、更新料の有無などを含めて合算比較しましょう。
短期入居なら初期費用の軽さが効きやすいです。
Q5. ペット可の特約で追加礼金は妥当?
A. 追加礼金や敷金上乗せは一般的です。原状回復の負担想定分として妥当性がありますが、金額の過大感は比較で判断しましょう。
退去時の負担基準やクリーニング費の定額設定も併せて確認を。
まとめ|礼金の本質を理解して初期費用の最適化を
礼金は慣習的な「お礼金」で返金されません。一方で、敷金へ振替・フリーレント・手数料調整など代替策は多く、総額最適化は十分可能です。
契約書・見積書は総額比較で精査し、不明点は事前に明文化。家計へのインパクトを抑え、納得感のある住まい選びを実現しましょう。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
初期費用は「礼金の有無」よりも総額と契約条項の質が重要です。礼金は返らない一時金、敷金は精算前提の預り金という基本を押さえ、振替提案やフリーレントで柔軟に最適化してください。
退去トラブルを避けるには、入居前の現況記録と原状回復基準の共有が要。交渉は「即決の意思表示」と「代替案の提示」が鍵になります。