

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「加給年金は自分も対象?」と悩む人は少なくありません。受給条件・金額・停止要件を一気に整理すれば、取り漏れや返還リスクを防げます。
本記事は共働き・公務員・年の差夫婦まで網羅し、振替加算の有無や手続きの実務ポイントも解説。家計と老後資金の視点から賢く活用しましょう。
加給年金の基礎|「年金の家族手当」を短時間で理解
加給年金は、老齢厚生年金に上乗せされる家族手当のような制度です。厚生年金の加入者が65歳に達した時点で、要件を満たす配偶者や子がいれば加算されます。
まずは全体像をつかみ、次項で受給可否を判定しましょう。重要語だけに偏らず、支給停止の落とし穴も最初に押さえるのがコツです。
受給チェックの要点(ここから確認)
1. 厚生年金の被保険者期間
原則として厚生年金の被保険者期間が20年以上であることが必要です。転職で共済期間がある場合は例外的な算入ルールがあり、判定を誤りやすいので注意してください。
65歳時に20年未満でも、到達後の定時改定・退職改定で加算される場合があります。到達タイミングをカレンダー化し、機を逃さない運用が大切です。
2. 配偶者・子の年齢条件
配偶者は65歳未満、子は18歳到達年度末(障害1・2級は20歳未満)が目安です。該当しないと加給は発生しません。
年の差夫婦では該当期間が長くなることがあり、受給総額に差が出ます。スケジュールと家計の見通しに反映しましょう。
3. 生計維持(所得要件・同居/別居)
対象者の前年収入が一定基準以下で、生計維持関係が確認できることが必要です。別居でも仕送り等のエビデンスがあれば認められる余地があります。
所得要件を満たさないと加算が外れるため、年末調整・確定申告の結果も踏まえた確認が欠かせません。
4. 配偶者の年金受給権の有無
配偶者に老齢厚生年金や退職共済年金の受給権が生じると、加給は支給停止の対象です。実際に受給していなくても「権利がある」だけで停止されます。
令和4年の見直し以降は経過措置もあり、要件を満たす世帯は継続できる場合があります。自分が該当するか必ず確認しましょう。
5. 経過措置・特別加算の該当
配偶者加給年金には生年月日に応じた特別加算が設けられています。年の差夫婦の家計平準化を狙う制度で、該当すれば年額が上振れします。
経過措置や停止解除の条件も併せて把握し、見落としによる返還や不足を防ぎましょう。
受給条件を深掘り|落とし穴と判定フロー
「対象のつもりが停止だった」「別居で不可と思い込み」など、誤解が多い領域です。条件を一つずつ潰すと判断がブレません。
ここでは被保険者期間、配偶者・子の要件、支給停止要件、経過措置の順で整理します。迷ったら年金事務所で事前確認も有効です。
注意ポイント
停止・再開は届出が必要です。状況変化(就職・離婚・死亡・所得変動)を放置すると、過払いや未支給の原因になります。
金額と特別加算をサクッと確認|早見表つき
配偶者・子の区分で年額は異なります。特別加算の有無で合計額が大きく変わるため、早見で把握しましょう。
家計計画では受給期間の見込みを置き、老後資金や予備費の積み増しと合わせて管理します。
特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
配偶者加給(65歳未満)223,800円 | 老齢厚生に上乗せで家計を平準化 | 配偶者に受給権が生じると停止 |
子(1・2人目)各223,800円 | 18歳年度末まで手厚い | 所得・婚姻・生計維持の確認必須 |
子(3人目以降)各74,600円 | 人数に応じて加算 | 金額は抑えめで期間限定 |
特別加算(配偶者) | 生年月日により3.3万〜16.5万円上乗せ | 該当可否の確認漏れに注意 |
申請のしかた|必要書類・期限・ミス防止チェック
原則、65歳到達時に「加給年金額加算開始事由該当届」を提出します。状況変化時は停止・再開の届出も必要です。
書類は年金機構の様式を用意し、戸籍や住民票、生計維持の証明(仕送り記録等)をセットで準備しましょう。
申請ステップ(抜け漏れ防止)
1. 対象確認と家族情報の整理
被保険者期間、配偶者・子の年齢、所得、生計維持の有無を整理します。別居の場合は送金履歴や賃貸契約などの証憑を用意します。
確認表を作ると、届出後の照会にも即応でき、処理がスムーズです。
2. 必要書類の収集
該当届、戸籍(謄抄本)、住民票、所得証明または非課税証明などを揃えます。コピー不可の書類は原本で準備しましょう。
生計維持は客観資料で示すのが原則です。口頭説明だけでは不十分と心得てください。
3. 年金事務所での届出
65歳誕生日の前日以降に最寄りの年金事務所・相談センターで手続きを行います。予約を活用すると待ち時間を短縮できます。
代理提出の場合は委任状の要否も確認しておきましょう。
4. 通知受領と内容確認
届出後は日本年金機構からの通知を確認します。支給開始月や加算額、特別加算の有無をチェックしてください。
記載に疑義があれば、早期に照会し修正を依頼します。
5. 停止・再開の事後届出
配偶者の65歳到達、就労・離職、婚姻・離婚、死亡などは停止・再開の対象です。速やかな届出が過払いや未支給の防止につながります。
家計管理表に届出期限を記載し、スケジュール化しておくと安心です。
支給停止・共働き・公務員|ケース別に損しない立ち回り
停止は「受給権の有無」で判定される点が誤解の元です。共働きや公務員も基本は同じですが、手続きの時期で過払いが生じやすいので要注意です。
停止・経過措置・振替加算の関係を一枚のメモで持ち歩くと、相談や届出がスムーズになります。
実務メモ
配偶者に受給権が生じたら停止、65歳で振替加算の可能性。別居は生計維持の証明が鍵。過払いは返還・利息のリスクあり。
打ち切り後はどうなる?振替加算の仕組み
配偶者が65歳になり加給が打ち切られても、要件を満たせば配偶者本人の老齢基礎年金に振替加算がつきます。生年月日や加入期間の基準を満たすか確認しましょう。
振替加算は自動付与が基本ですが、事由発生が後ズレした場合は個別届出が必要なこともあります。通知を見落とさず、必要なら追加手続を行いましょう。
家計インパクトと備え|老後資金・民間保険の役割分担
加給年金は家計の平準化に有効ですが、期間限定です。終了後の収支ギャップは、予備費と私的年金・保険で補います。
資産形成にはiDeCo・新NISAに加えて、長期での選択肢として変額保険の積立を検討する余地もあります。ただし元本変動リスクと手数料を理解し、保障と投資を混同しない設計が重要です。
FPに聞く!加給年金のリアルな疑問
制度の境界で迷いやすいポイントを、現場感覚でQ&A形式にまとめました。家計や老後資金の設計にも触れながら解説します。

34歳・女性
共働きでも加給年金は受け取れますか?
スマホdeほけん
配偶者に老齢厚生年金等の受給権が発生すると停止対象です。受給していなくても「権利がある」段階で停止される点に注意し、発生時は速やかに届出しましょう。


34歳・女性
別居の子は対象になりますか?
スマホdeほけん
仕送り記録などで生計維持関係が確認できれば対象になり得ます。所得や婚姻の有無も条件なので、証憑一式の準備がポイントです。


34歳・女性
特別加算の確認はどこを見ますか?
スマホdeほけん
生年月日に応じた加算表で判定し、年金機構からの通知で最終確認します。該当漏れが疑わしければ年金事務所で照会しましょう。


34歳・女性
加給終了後の家計が不安です。
スマホdeほけん
振替加算の見込み額を反映し、生活費ギャップは予備費と私的年金で補います。変額保険などは長期で活用し、元本変動リスクを許容できる範囲に留めましょう。


34歳・女性
停止・再開の届出を忘れないコツは?
スマホdeほけん
家族イベントの年表に「届出チェック」を組み込みます。65歳到達・就職・離婚・死亡など、届出トリガーを可視化すると漏れを防げます。

よくある質問(FAQ)
加給年金の基礎から応用まで、迷いがちな論点をQ&Aで補足します。最終的な判断は最新の約款・ガイドで確認しましょう。
疑問は年金事務所や専門家に相談し、記録を残しておくと後日の照会に役立ちます。
Q1. 加給年金はいつまで受け取れますか?
A. 配偶者は65歳到達まで、子は18歳到達年度末(障害1・2級は20歳未満)が一般的です。前提が変われば停止・再開の届出が必要です。
Q2. 配偶者が受給権を得たのに受給開始していない場合は?
A. 受給の有無に関わらず「受給権の発生」で停止対象です。継続受給は原則できないため、速やかに停止届を提出しましょう。
Q3. 別居中で仕送りが少額でも生計維持になりますか?
A. 金額よりも継続性・客観資料が重視されます。送金記録や生活費負担の証憑を整え、審査で説明できる状態にしてください。
Q4. 特別加算は自動で付きますか?
A. 多くは通知で自動反映されますが、条件充足が後発の場合は要届出です。通知内容と生年月日の整合を確認してください。
Q5. 加給年金と民間保険の関係は?
A. 加給は期間限定の収入上乗せ、保険は恒常的なリスク補完です。役割分担を明確化し、老後資金はNISA/iDeCoや変額保険などの長期枠で別建てにしましょう。
まとめ|加給年金は「条件・届出・期間」を押さえて家計に活かす
加給年金は老齢厚生に上乗せされる家族手当で、該当すれば年額が大きく増えます。受給権の発生で停止されるルールや振替加算の有無、特別加算の確認を欠かさず、届出を確実に行いましょう。
終了後の収支は予備費と私的年金・保険で補い、老後資金の計画に組み込むと安心です。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
加給年金は「もらえる・止まる・振り替わる」の転換点が明確な制度です。配偶者の受給権や生計維持の有無など、少しの条件差で結果が変わります。届出のタイミング管理と証憑の準備を習慣化すれば、過払い・未支給の多くは防げます。家計面では、加給の増額分を固定費に組み込まず、予備費や老後資金に優先配分するのが安全です。投資性保険等を使う場合も、保障と資産形成を混同しない設計を徹底してください。